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労働基準法から解説|「公休」とは?

2019.01.16

  • ライフ

最近の夏期休暇は1週間以上の長期休暇が取得可能な企業が多くなりました。有給休暇消化推進期間として、「長期夏期休暇=公休+有給休暇」として、会社全体の夏期休暇を決めている企業も多いようです。そんなとき、有給休暇発生前の新入社員はどうしたら良いのでしょうか?

労働基準法から解説|「公休」とは?

公休とは、一般的に就業規則に規定されている「休日」のことで、会社が労働を免除した休日のことです。しかし、労働基準法には「公休」という言葉はありません。

公休の解釈に入る前に、労働基準法の「休日」の規定について解説しましょう。

労働基準法35条に「休日」の規定が有ります。この規定のことを「法定休日」といい、労働者に付与される「休日」の最低日数を明確にした規定です。

法定休日:最低週1日以上、あるいは4週間を通じて合計4日以上の休日を与えることで補完可能。

この法定休日以外に、会社が独自に就業規則で規定している労使協定で決められた「休日」を「法定外休日」といいます。

労働基準法の「休日」を理解した上で、公休について解説しましょう。 例えば、最近増えてきた週休2日の会社の場合、就業規則に規定された「休日」を公休とします。この公休には2種類あります。

①「公休=法定休日」

②「公休=法定休日(1日:最低条件)+法定外休日」

法定外休日は労使協定で決められた規定ですから、何処までを法定外休日にするかは会社によって異なります。

労働基準法は、労働者の最低条件を規定した法律なのですから、労働基準法に満たない労働条件は違法ですが、労働者に有利な労働基準法に勝る労働条件に対しては、全て合法なのです。

余談ですが、法定休日に労働すると「休日出勤」としての割増賃金(3割5分増)ですが、法定外休日に労働しても、公休なのに休日出勤扱いにならず、週40時間を超える労働時間のみ通常の時間外割増賃金(2割5分増)となります。

割増賃金の割り増し料率が異なりますので、就業規則の「給料」の項目で確認しましょう。

話が少しそれましたが、「公休」とは会社が労働を免除した日なので、そもそも公休に有給休暇をとることはできません。

夏期休暇が長期に及ぶときは、会社カレンダーで、公休扱いでない日の有無を確認しましょう。公休でない日は、有給休暇取得推進期間とされている可能性大です。

有給休暇取得推進期間が有給休暇発生前の新入社員には大問題です。この問題については、次の項目で解説します。

労働基準法から解説|「休暇」とは?

休暇とは、「労働者が会社に申請して得ることのできる休日」のことで、労働基準法に「休暇」の規定はありません。
しかし、労働基準法の福利厚生として様々な休暇の規定があります。

この福利厚生として与えられてる休暇(生理休暇・誕生日休暇・慶弔休暇・産休・育休etc)、これらの休暇の待遇は、申請方法から就業規則の規定により定められています。

但し、別の法律で様々に定められているものもは、就業規則よりもそれら法律の方が優先します。

さて、夏期休暇・正月休暇に関しては、その名の通り「休暇」です。 しかし、休暇であるものの、自己申請ではなく、労使協定によって、就業規則で休暇の取り方が定められているのが一般的です。

とくに夏期、正月休暇をまとまって取得する企業の場合は、公休の他に、有給休暇消化推奨期間として休暇を追加し、まとまった期間夏期休暇を取得が容易である場合が多いでしょう。

だから、有給休暇取得推奨期間の休暇でも、会社を閉めてしまって出勤不能にしているような場合は、有給を取得できない社員については、不利益を被らないように何かしらの救済処置が必要です。

ただし、このような救済処置の義務は、労使協定による規定ですから、労働組合に加盟している正社員でないと該当しません。

【筆者が知る企業の救済処置の例】

①有給休暇発生前の社員に関しては会社都合の強制休業として、有給休暇発生前の新入社員に限り臨時公休扱いとする。

②有給休暇推奨期間はあくまで本人の自由意志と選択の余地を残しておく。

③夏期休暇に影響しないように新入社員の有給休暇取得開始を入社後3ヶ月の使用期間を経過した日としている。

etc

その他、7月~9月の間に交代にとることができると規定している企業もあります。

この場合は、「○日(公休日数)」としていて、有給休暇や会社の元々の公休を合わせて各自休暇申請をしますので、有給休暇発生前の新入社員にも悪影響は発生しませんね。

夏期休暇に有給休暇日数が含まれている場合

もしも救済処置がないまま、夏期休暇が強制日程で固定されており、一部有給休暇消化期間が含まれている場合、有給開始前の社員であることを上司に相談しましょう。

有給推奨期間の場合、業務の忙しい部署では出勤している社員もいることがありますので、電話番等の出勤が許されるかもしれません。独りでは可哀想だからと、貯まった仕事を片付けに上司も予定がなければ出勤してくれるかもしれません。

このように、上司の采配で、欠勤扱いを免れる可能性もあります。

もし有給開始前の社員に救済処置がなく、働く意思のある社員に強制休暇として「欠勤」扱いとなった場合は、休暇はあくまで労働者が申請したものですから、労働基準法違反です。

労働者の権利として、ハローワークが窓口となっていますが、労働監督署を通して会社に賃金未払いの請求ができます。

但し、このような有給休暇取得できない新入社員に強制休暇を無給でとらせるような企業の場合、人数の少ない労働基準法を良く知らない経営者であることが多いでしょう。

だから、会社に賃金未払い請求をして希望は叶ったとしても、その後会社に居辛くなって、退職を余儀なくされてしまうケースもあるのが現実です。

実際に、この不景気な世の中で、職を失うのを恐れ、不本意ながら数日の欠勤扱いを我慢してしまうケースも多いのです。

労働基準法を知ることは自分を守る手段に?

そもそも派遣のような時給制の非正規雇用の多い世の中ですから、夏期休暇で月給が激減してしまうケースも多いのです。

一方、最近急成長した企業に多いのですが、コンプライアンスが未だ不十分で、大手企業であるにも拘わらず、労働基準法をよく理解していない経営者のため、就業規則事態が労働基準法違反の項目が多々ある場合もあります。

そのような企業に就職してしまうと、必ず後で、労働時間や残業に関すること等、様々なことで、労働契約書や労働条件通知書と異なる状況に見舞われてしまうこともあります。

そもそも、労働基準法は労働者の最低限の権利を明記した法律ですから、労働基準法に抵触する就業規則は無効です。

でも、一旦就職してしまった後で、新入社員がその無効を訴えるのは不可能と言っても過言ではありません。

そのような状況に陥らないように、採用時の募集要項の年間休日や残業項目、休日、残業については、念入りに確認することをおすすめします。

そして、自分を守るためにも、労働基準法や様々な休暇・給与に関する法律を積極的に学習しましょう。

権利や法律を知ることは、新社会人としての自分を守る武器になります。
今はNetで検索するだけで、社労士等の労働の専門家の解説を読むこともできます。

労働環境に労働基準法を違反を感じた場合は、お近くのハローワークに相談するのもおすすめです。

新入社員の夏期休暇の取得方法の例

例えば、全社員一斉固定の夏期休暇がある企業の例で解説しましょう。

有給消化日程には有給発生前の新入社員救済処置として、公休扱い、あるいは出勤可能としています。このようなケースの場合は、何の心配もなく休暇取得ができます。

カレンダー通りの場合は、今年の8月13日は土曜日であるため、夏期休暇は15日だけで、後は有給休暇消化で各自取得となっている場合もあります。
この場合は、有給休暇発止前の新入社員は別として、12日を有給休暇にして11日~15日まで連休にする人も多いでしょう。

このような夏期休暇の付与を行っている会社の場合は、先輩社員が有給休暇でお休みの時に出勤となるかもしれませんが、会社の規定に従っていれば良いので安心です。

一方、「夏期休暇○日(公休)」とだけ指定があって、夏期休暇取得時期に幅がある場合、一般的に話し合って夏期休暇が重なり合わないように取得する場合が多いでしょう。

新入社員のうちは、自分勝手に友人や家族と旅行の予定を組んで、事後報告で休暇申請をしても叶わないこともありますので注意しましょう。

新入社員は業務に不慣れで周囲に迷惑をかけていることも多いので、日本の昔からの習慣として、先輩や上司を優先する傾向が目立つ場合があるのも事実です。

職場の雰囲気によってまちまちで一概には言えませんが、冠婚葬祭他よほどの事情がない限り、自分の予定を優先せずに、しばらくは周囲の様子を窺うことをおすすめします。

筆者の経験でいうと、先輩の予定を聞いて最後に余った時期に夏期休暇を取得しました。 9月帰省になってしまったように思います。混雑もなく交通費も安上がりで、「残りものには福!」的感覚で喜んだように思います。

一方、筆者の友人は祖母の初盆ということで、優先的にお盆にお休み取れるように先輩や上司が率先して調整してくれたと聞きました。

このように、新入社員の夏期休暇取得は、周囲の環境次第と認識しておきましょう。 新入社員の強引な夏期休暇取得は、場合によっては、夏期休暇取得後の人間関係に影響する場合もあるので、気をつけてくださいね。

まだ新入社員ですが、初めての夏期休暇の申請のときは、新入社員だからこそ発揮しなければならない、社会人としての周囲への気遣いが必要かもしれませんね。

配信元:日本人材ニュース

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