管理職のための「働き方を支える」労務管理~3つの要素と実務対応のポイントで組織の生産性を高める
多様な働き方の浸透により、労務管理にこれまで以上に複雑な対応を求められています。管理職には、権限とともに「メンバーを守る責任」も課されています。
これは単なるコンプライアンス対応にとどまらず、メンバーが安心して働ける環境を整えることを通じて、組織の生産性や活力を高めるという戦略的な意味も持ちます。
管理職がおさえるべき労務管理の3要素と実務対応のポイント
1.労働時間管理の徹底
労働時間管理の徹底が不十分な場合、企業はさまざまな損失を被る可能性があります。例えば、サービス残業による社員の士気低下、過重労働による健康問題の発生、労使トラブルへの発展、そして最終的には企業イメージの損害など、目に見えない形で企業の活力を奪いかねません。
<実務対応のポイント>
- 勤怠管理のルールを正確に把握し、部下の労働時間を可視化・把握する
- 残業や休日出勤の指示は慎重に行い、必要性と法的制限を明確にする
- フレックスタイム制など柔軟な働き方を取り入れる場合は、運用ルールを正しく理解し、過重労働にならないよう配慮する
2.安全衛生管理と心の健康
社員の心身の健康を守ることは、管理職の最も重要な責務の一つであり、企業の安全配慮義務として法律で定められています。メンタルヘルス不調を抱える社員が出た場合、企業は生産性の低下、休職者や退職者の増加、そして対応コストの増大といった大きな損失を被る可能性があります。職場の安全と社員の健康確保は、単に義務を果たすだけでなく、社員のパフォーマンスを最大限に引き出し、生産性を向上させるための重要な業務改善策でもあります。
<実務対応のポイント>
- 労働環境、業務量、人間関係の3点に注目して、部下の様子を日常的に観察する
- 定期的な対話を通じて、変化の兆しに気づける関係性を築く
- ストレスチェック制度の活用や、専門機関への橋渡しができるよう体制を理解しておく
3.育児・介護支援への理解
育児・介護と仕事の両立に対応するための制度は、今や誰にとっても他人事ではありません。制度の存在だけでなく、その円滑な運用こそが社員のエンゲージメントを高め、離職防止にもつながります。管理職が制度に対する理解を深めることは、多様な働き方を支える基盤づくりに欠かせません。
<実務対応のポイント>
- 育児・介護休業法の基本的な仕組みや、具体的な適用条件をおさえる
- 制度を利用する社員がキャリア上の不利益を被らないよう配慮し、必要に応じて業務分担を見直す
成果とルールの両立を目指して
労務管理は単なる「義務」ではありません。法律やルールを遵守することは、社員の定着率向上、モチベーション維持、そして何よりも企業の信頼性向上に直結し、結果として持続的な「成果」につながる重要な「戦略」です。
管理職としての役割を果たすためにも、正しい知識と現場での実践を通じて、自身のマネジメント力を日々アップデートしていくことが求められています。
労務管理研修~管理職として「使用者」の立場で成果とルールの両立を目指す
本研修は、主に使用者(=経営側)の立場から労務管理を捉え、成果につながる運用の仕方について考えていただく研修です。
労務管理はマネジメントにおける中核的な要素に位置づけられ、その遂行にあたっては、法律や就業規則といったルールを遵守することが求められます。一方、管理職は部下が業務を通じて成果を上げることや、メンタル面を含めた安全性に努めることも重要です。そこで、管理職および使用者(=経営者)としての2つの側面から、労務管理についての知識を深めていただきます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 労働時間管理に関するルールが複雑でよくわからない
- 経営側から求められる成果と管理側から求められるルールの徹底の狭間でいつも苦労する
- 自分が一般職だったころと状況が変わっており、何を拠り所に労務管理をすればよいか悩む
本研修の目標
- 管理職に求められる労務管理の基本をひと通り理解することができる
- 残業や休日出勤の可否の判断ができるようになる
- メンタルを含めた職場の安全性確保が生産性向上につながることを理解する
受講者の声
- 労働者を守りつつ、成果を果たせるようなバランスが大事だと感じました。部下の健康第一を念頭に、労務管理等を行っていきます。
- 管理職として求められる要件を整理できました。生産性の向上・ムダの削減を図る取り組みに活かせればと思います。
- 部下とのコミュニケーションを増やし、心身の健康管理に今まで以上に取り組みます。今まで退職者も多かったため長く勤めてもらえる職場づくりをより意識していきます。
セットでおすすめの研修・サービス
【まとめ】労務管理研修
インソースの労務管理研修一覧です。労務管理とは、組織において、経営者などがその従業員に対して行う管理全般、つまり「人」を対象とした管理のことです。近年、人的資本に関する情報開示の観点からも重要視されています。現代の正しい労務管理の知識を身につけるための研修・サービスをご紹介します。
不正リスクアセスメント付きワークショップ
不正リスクアセスメントにワークショップを組み合わせ、自組織のリスクの洗い出しから対策までを一気通貫で取り行うことを目的としたアセスメント付きワークショップです。アセスメントは「機会」「動機」「正当化」の3要素に着目したインソース独自のメソッドで実施します。
ワークショップでは、まず不祥事・不正の知識を学んでから、アセスメント結果を踏まえた対策を練り、発表します。研修受講を通じて、一般社員・管理職ともに当事者意識を高める効果があります。また、ワークショップで考えた対策は、そのまま現場で取り組めるため、実効性の高いリスク対策につながります。