インソース AIセールスストラテジー部

安全教育のマンネリを防ぐ~事故報告書を「生きた教材」に変える

安全教育を実施していても、事故や不具合が部署を変えて繰り返される場面があります。

担当者の方は、事故発生後の対応として、報告書の作成や是正内容の確認、社内ルールに沿った管理まで、すでに適切に行っているケースが多いでしょう。

一方で、そうして蓄積された事故報告書が、教育の場で十分に活用されているかという点は別の問題です。報告書は存在していても教材として整理されず、過去の事例が現場の判断に結びついていないケースは少なくありません。

本記事では、安全教育の方法論を解説するのではなく、事故情報がどのように扱われ、どの段階で教育との接続が途切れてしまうのかを整理します。そのうえで運用を見直す際の判断軸を提示します。

現場で安全教育が形骸化しやすい背景

安全教育は計画に沿って実施され、受講履歴や資料配布の記録も残ります。事故や不具合が発生した場合、現場担当は状況を整理し、報告書を作成します。危機管理担当は内容を確認し、是正内容を追記したうえで管理場所へ登録します。この流れ自体は業務として定着しています。

一方で、教育内容は年度計画に基づいて運用されることが多く、直近で発生した事故がすぐに反映されるとは限りません。そのため、別の部署で似た判断が求められる場面が起きても、過去の事故を教育資料として参照できず、担当者が個別に報告書を探すことになります。事故対応は完了していても、その判断や教訓が教育として共有されないまま残っているのが実情です。

安全教育における「ケーススタディ」の位置づけ

ケーススタディは、過去に発生した事故や不具合の事例を基に、判断や行動を振り返るための教育手法です。作業手順やルールを説明する座学とは異なり、具体的な状況を前提に、どの場面でどの判断が求められたかを整理します。安全教育の中では、作業者や管理者が自分の業務に近い事例を通じて、判断の分岐点を確認する目的で用いられます。

一方で、ケーススタディは事例選定や設問設計を伴うため、教材として成立させるには一定の準備作業が必要です。事例の内容や対象者によって構成を変える必要があり、単純な資料配布では運用できません。安全教育におけるケーススタディは、実務判断を扱う教材として位置づけられます。

従来のケーススタディ運用で生じやすい限界

事故や不具合が発生すると、現場担当者は事実関係を整理し、所定の様式で報告書を作成します。危機管理担当は内容を確認し、発生状況や是正内容の記載不足を補い、管理システムや共有フォルダに登録します。ここまでの工程は、多くの職場で業務として組み込まれています。

事故報告を教材に変換できる担当者が限られている

問題は、その先の工程です。報告書を教育に使うためには、単なる事実の羅列では足りません。担当者は報告書を読み直し、時系列を整理し、判断が分かれた場面や手順が逸脱した箇所を抜き出します。そのうえで、どの選択肢があり得たのかを整理し、設問として成立する形に書き換えます。さらに、誰に向けた教材かを決め、作業者向けか管理者向けかで表現を調整します。

この作業は、報告書作成とは性質が異なります。文章の再構成、設問設計、対象者の切り分けといった判断が連続します。結果として、対応できる担当者は限られます。通常業務と並行して行うため、教材化は後回しになりやすく、作成途中で止まることもあります。

最新の事故は教材になるまで時間がかかる

事故が増えるほど、この作業は積み上がります。一件ずつ人手で処理する構造のため、新しい事例が発生するたびに未処理の報告書が増えます。既存教材の見直しや更新に手が回らず、結果として教育で扱う事例は固定化します。数年前の事例を使い続け、最新の事故は教育に反映されません。

別の部署で、以前と似た判断が必要になる場面は少なくありません。それでも、参考にできる事例は共有されていないのが実情です。報告書は残っていても、教材として使える形にはなっていないためです。教育が軽視されているわけではありません。事故を教材に変える仕組みが、現場で回っていないのです。その結果、ケーススタディは増えず、使われる事例も固定化しています。

安全教育を見直す際の判断軸

安全教育を見直す際、すべての組織に当てはまる手法があるわけではありません。管理職や危機管理担当者にとって重要なのは、自社に合わせて複数の観点から判断することです。たとえば、教材をどの頻度で更新できるか、部署や業務内容ごとに内容を分けられるか、教材作成や管理にどれだけの工数がかかるかといった点です。これらの比較軸を整理することで、自社の状況に合った教育手法を検討できます。こうした判断軸の一つとして、「事故報告書を安全教育に活用する」という考え方があります。

事故報告書を安全教育に活用するという考え方

事故報告書には、発生状況、作業内容、判断の経緯、是正内容などが記載されています。これらは安全教育に使える情報ですが、報告書の形式のままでは教材として使いにくい場合があります。

教育に転用するには、報告書をそのまま読ませるのではなく、どの場面でどの判断が求められたのかを切り出す必要があります。さらに、同じ事例でも、作業者向け、管理者向けなど、立場によって問う内容は変わります。

ここで重要なのは、「事故報告書を活用するかどうか」ではありません。報告書を教材に変える作業を、継続的に回せる設計になっているかという点です。個別対応に頼る形では、事例が増えるほど教育への反映が追いつかなくなります。

AIを用いたケーススタディ生成という選択肢

近年、AIを業務支援に利用する取り組みが進んでいます。ケーススタディの作成においても、AIを使って文書を整理したり、設問案を生成したりする方法があります。インソースで開発した「AI-OJT」というサービスは、この工程を内製で回すための選択肢として位置づけられます。

社内に蓄積された事故報告書や障害報告書をから、AI-OJTへ読み取らせると、状況・原因・対応といった情報を整理したうえで、ケーススタディ形式の教材を生成します。担当者は、対象文書を選び、生成結果を確認し、社内展開する作業に集中することができます。

人が一から教材を作成する場合と比べ、新しい事例が増えても即対応、即反映できます。AI-OJTは、事故報告書を「保管する情報」から「教育に使い続ける情報」へ切り替える運用を支えるサービスとなっています。

AIが企業独自のケーススタディを生成し、現場での事故を未然に防ぐプラットフォーム「AI-OJT」

現場から上がってくる事故報告書を、有効活用したい。現場での事故や不祥事を未然に防ぐ教育を、もっと実効性のあるものにしたい。そんな企業の声に応える形で誕生したのが、事故予防に特化した生成AIプロダクト「AI-OJT」です。

ご希望の利用用途をヒアリングさせていただき、ニーズに合わせて共同開発いたします。導入時の技術サポートから運用体制構築まで伴走いたしますので安心してお任せください。

>AI-OJTの詳細はこちら

セットでおすすめの研修・サービス

(製造業向け)人材が多様化する職場の労働安全対策研修(半日間)

近年、職場では高年齢者、外国人労働者、派遣労働者など、人材が多様化しています。従来の「平均的な労働者像」を前提とした安全対策では対応しきれない場面が増えています。

研修では、分野別の安全衛生対策を学び、実際の事例をもとにして、発生要因や防止策を検討します。多様な人材が共に働く現場で、事故を防ぐための視点を身につけます。

>講師派遣型研修の詳細はこちら

安全衛生活動研修~現場の環境を見直し、労働災害を防ぐ

本研修では、労災防止の基本的な考え方である5S・リスク管理・危険予知訓練の型を習得し、さまざまなケーススタディで想像力や洞察力を鍛えます。

また、職場の改善点や施策をメンバーと議論し、安全衛生活動を形骸化させず、協力して実践できるようになることを目的とします。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

関連読み物一覧

関連シリーズ一覧

新作記事