交渉の苦手意識は克服できる!「準備」と「実践」で自信をつける、交渉術の基本とテクニック
「交渉は得意ですか?」と聞かれると、「苦手」「不得意」と感じる人も多いかもしれません。
自分の意見を言うことに不安があったり、相手との関係の変化や予測できない結果への恐れがあることが、その背景にあると考えられます。
しかし、交渉術を知り、練習と経験を積むことで、交渉力は確実に向上し、苦手意識を克服することができます。本記事では、交渉の基本的な考え方から、実践的なテクニック、交渉力を高めるトレーニング方法までを解説します。
交渉を理解する~良い交渉は「勝ち負け」では語られない
ここで改めて、交渉とはどのようなものかを考えてみましょう。
交渉は、2人以上の人々が問題について議論し、解決策を見つけるためのプロセスです。国際関係やビジネスだけでなく、家族や友人との間でもよくあることなのです。
また、交渉は「勝敗」で語られることもよくあります。しかし、勝敗で語られる交渉は、一方が目標を達成したけれども、他方の要求はまったく受け入れられない結果(またはそれに近い状態)で終わってしまうものです。
このような交渉では、当事者間の良好な関係が損なわれてしまい、将来のチャンスを失う結果になってしまうでしょう。
良い交渉は「勝ち」「負け」で語られるものではありません。
良い交渉とは、当事者同士が納得し、受け入れられる結果(双方の利益の総和が最大となる解決策)を導き出すプロセスであるべきです。
交渉力を高めるための手順と交渉テクニック
良い交渉を進めるための手順と交渉テクニックについてポイントを押さえておきます。
交渉の前の「関係構築」
まずは交渉する相手が初めての相手ではないのであれば、普段より信頼される関係の構築をしておくことが大切です。「交渉力」というスキルから外れるように感じる方もいるかもしれませんが、本当に交渉が得意な人ほど、日常的な関係構築に重きを置いています。
単純に仲良くなれば良いというわけではなく、「この人の言うことは信用・信頼できる」「この人に好かれると良いことがある」と思われるようなブランディングをしておくことも重要です。
交渉の準備段階で把握しておくべきこと
いうまでもなく交渉には周到な準備が必要です。具体的には以下のような項目になります。
- 交渉相手を知る(企業、交渉責任者、業績、強み・弱みなど)
- 交渉戦略作り(交渉の目的確認、合意の上限と下限、条件など)
- その他(資料、想定問答など)
上記以外にも交渉担当者の権限やシナリオの了解など、社内的な合意事項を取り付けておくことが重要になります。
また、交渉相手に事前に相談をしておける状態なら、しておくに越したことはありません。
「根回し」のようなプロセスをフェアではないと感じる方もいるかと思いますが、特に難易度の高い交渉をする際は、相手が「いきなりこんなことを言われた!」と感じないようにする配慮も交渉スキルの一つです。
交渉場面におけるテクニック
いよいよ交渉場面となります。交渉場面は事前準備で立てた戦略を実行していく場です。交渉相手の不信感や反発を招かないよう手順やスキル・テクニックを発揮していくことが大切です。
ここでは、いくつか交渉に必要なスキル・テクニックをあげておきましょう。
<場面別のテクニックと言い回し>
- 説得のスキル・テクニック
メリットを伝えての説得、ルールを守るよう要求しての説得、感情に訴えての説得など
例:「○○をしていただくことで、××というメリットがあります」 - 話し方のスキル・テクニック
伝えたいことは最初に言う、キーワードを入れ込む、交渉相手のメリットを現す など
例:「結論から言うと、△△をご依頼したいと考えています」 - 条件交渉のスキル・テクニック
話の展開と内容による順番、条件によるメリットをアピールする など
例:「こちら側でここまで受け持つので、ここから先をお願いしたいです」
交渉後の対応
交渉が終わって一息つきたいところですが、交渉後にも適切なフォローが欠かせません。具体的には、「48時間以内」に何らかのアクションを起こし、トラブルを防ぐ行動を取ることが大切です。
交渉力を向上させるトレーニング
冒頭に述べていますが、交渉力を向上させるには、交渉術を知り、練習と経験を積むことが大切です。
ここまで述べてきたような交渉の手順や、より具体的なスキル・テクニックを身につけるためには、模擬体験(ロールプレイング)によるトレーニングが有効です。良い交渉をするためには、「わかる」だけでなく、「できる」を目指した練習をしましょう。
模擬体験トレーニングでは、以下のようなシートを使って進めるとわかりやすくなります。
■準備シート内容
- 1.争点・論点は何か
- 2.お互いの要望
- 3.交渉のメリット・デメリット
- 4.合意の下限
- 5.お互いの共通点と相違点
- 6.リスク
- 7.その他(事前調査内容) など
まとめ
交渉において、一気に自分たちの目標を満足させるような合意が得られるケースは多くありません。特に、立場の弱い側に立った交渉では、一つひとつの細かなやり取りの積み重ねで強い立場にある相手と双方が満足する結果を得られるよう粘り強い作業が必要になります。そんな交渉を楽しむための向き合い方を最後に紹介します。
- 好奇心を持つ
交渉のプロセスでは相手を正しく理解できるというメリットがあります。相手を理解しようとする好奇心があれば交渉場面が学びの場となります。 - 新しい視点や考え方で柔軟性をもって取り組む
自分の立場や固定観念ではなく交渉相手の立場や新しいアイデアを受け入れる姿勢で取り組めば、交渉場面は創造的な問題解決の場となります。 - チームワークを発揮する
交渉は必ずしも一人で行うわけではありません。チームでアイデアを出し合い、作業を行い、共通の目標に向けて取り組むことで交渉を楽しむことができます。
「交渉は苦手」という状態から脱出するために、交渉を新たな問題解決や成長の場として捉え、交渉術の習得と練習の機会としてセミナーなどを積極的に活用してみてはいかがでしょうか。
交渉力向上研修~ネゴシエーションスキルを上達させる
交渉とは、「相手を打ち負かすこと」ではなく、「Win-Winの関係を保ち、結果を出す」ことです。本研修では、① 事前調査(根回し)、② 交渉のゴールの明確化とシナリオ作り、③ 実践の手順という流れで、交渉の手法を学んでいただきます。
また、実際に起こりうる状況を想定した実践的なロールプレイングを行うことにより、学んだスキルの活用方法を体得できます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 交渉を行う際の事前準備のポイントを学びたい
- 交渉において、互いの主張を言語化し、整理できるようになりたい
- 相手にメリットを伝えるための表現力を身につけたい
本研修の目標
- 交渉に臨む前に主張する点と譲歩可能な点など、こちら側の提案内容を事前に整理できるようになる
- 相手の話を自分の言葉に置き換える、相手の主張点を掘り下げることができる
- 自分と相手の主張を「核心」(重要事)「周縁」(条件があえば許容可能)で仕分けすることができる。相手に対する譲歩のポイントを考えることができる
セットでおすすめの研修・サービス
交渉力向上研修(実践編)~4つのプロセスで商談を合意に導く
交渉を自分と相手の双方が納得できる形でまとめるためには、事前準備が非常に重要です。また、自分の提案を相手に魅力的に伝えるためには、「メリットが伝わる表現方法」を身につけることが求められます。本研修では、その考え方と伝え方を実践的に学んでいきます。
タフ・ネゴシエーション研修~困難な交渉をWin-Winに導く(1日間)
本研修では、困難(タフ)な状況においても相手に押し切られることなく、互いにとって納得感のある交渉を行うためのスキルについて学びます。難易度の高い交渉をうまく妥結させる方法を学びたい方におすすめの研修です。
リーダーのためのアサーティブコミュニケーション研修~依頼・注意・説得・交渉の場面で学ぶ(冊子教材・テスト付き)
リーダーには、相手を尊重しながらも言いにくいことを伝えなければならない場面が多くあります。
本動画では、上司・メンバー・他部署など様々な関係者と良好な関係を保ちつつ、自分の考えを伝えるアサーティブコミュニケーションのスキルを学びます。