PHP入門~ゼロから学ぶWebアプリ開発の全体像とデータベース連携の基本

「サーバサイドの開発に興味はあるけれど、プログラミング経験がなくて不安...」そんな悩みを抱えていませんか。PHPはWebアプリケーションを支える代表的なサーバサイド言語で、初心者にも比較的学びやすい特徴があります。
しかし、初めて触れる方にとっては、環境構築やコードの書き方、データベースとの連携など、何から手を付けていいのか分からないことも多いでしょう。
この記事では、プログラミング未経験の方がPHPを学び、Webアプリケーションを作れるようになるための流れをを丁寧に解説します。コード例や章末アクションを追加してイメージできるようにしてあります。
1.PHPで何が作れる?初心者向けWebアプリ事例
PHPとは、Hypertext Preprocessorの略で、主にWebサーバ上で動作するスクリプト言語です。HTMLに組み込んで使用でき、フォームの送信内容を処理したり、データベースから情報を取得して表示したりすることができます。クライアント側で動作するJavaScriptとは異なり、PHPはサーバ側で処理を行い、結果だけをブラウザに送信する仕組みです。
初心者でも作れるWebアプリの具体例
- 簡単な計算アプリ(数値の加減算)
- アンケートフォーム
- TODOリストアプリ
- 掲示板(CRUD操作)
章末アクション
まずは「Hello, World!」をPHPで表示してみましょう。
<?php
echo "Hello, World!";
?>
echoは続く引数を文字列としてブラウザの画面に表示します。
2.PHP環境構築~XAMPPとMAMPで簡単スタート
PHPを学ぶには、開発環境を整える必要があります。PHPはサーバで動かす言語です。ローカルPC内でWebサーバで動くのと近い状態を再現して学習を進めることができます。おすすめはXAMPPやMAMPといった統合環境です。どちらもネットで提供されていて、学習するには無料版で十分です。これらはApache(Webサーバ)、MySQL(データベース)、PHPがセットになっており、複雑な設定なしに学習を始められます。
- VS Codeなどのエディタを準備する
- XAMPPなら「Start Apache」「Start MySQL」を押すだけで環境が動く
- エラーが出たらポート競合や設定ミスが多いので、まずブラウザでhttp://localhostが表示されるか確認
章末アクション
- XAMPP/MAMPをインストールして起動し、ブラウザで「http://localhost」を開いてみよう。
- PHPファイルを作り、Hello, World!を表示して環境を確認。
3.PHP文法を学ぶ~サンプルコードで体感する基礎
PHPの基本文法を理解することは、アプリ作成への第一歩です。
変数とデータ型
<?php
$name = "山田";
$age = 25;
echo "名前は $name、年齢は $age 歳です。";
?>
「名前は山田、年齢は25歳です。」と表示されます。
変数宣言や初期化なしに代入可能です。シングルクォーテーションかダブルクォーテーションで囲むと文字列として扱われます。数値はクォーテーションで囲わずに代入します。echoの引数は、ダブルクォーテーションションで囲んでいると、クォーテーション内の変数は文字列として展開されて表示されます。シングルクォーテーションで囲むと変数の中身は展開されず、変数の名前がそのまま表示されます。
条件分岐
<?php
$score = 80;
if ($score >= 60) {
echo "合格です";
} else {
echo "不合格です";
}
?>
「合格です」が表示されます。
変数scoreに80を代入し、ifで評価しています。60以上ならば「合格です」が表示されます。60よりも小さい値がscoreに代入されていた場合は「不合格です」が表示されます。else ifを使ってさらに分岐条件を追加できます。
ループ
<?php
for ($i = 1; $i <= 5; $i++) {
echo $i . "<br>";
}
?>
「1」「2」「3」「4」「5」が表示されます。
変数iに1を代入してスタートし、{}の処理の終わりに(i++の部分の指示で)iに1を加えます。2週目からは、iが5以下である間、{}内の処理(iを展開して表示、brはHTMLのタグで改行する)を繰り返します。
章末アクション
- 上記コードを使って「入力した数値を二倍にする簡単計算アプリ」を作ってみよう。
4.PHPで安全にフォーム入力を扱う~初心者向け具体例
HTMLフォームからの入力を受け取る方法です。コードの上の部分はPHPではなくてHTMLで書いた「フォーム」です。
フォームは名前とコメントを入力できる入力欄が表示されて「送信」と書かれたボタンが表示されている状態です。名前とコメントを入力して送信ボタンをクリックされたあと、下のブロックのPHP部分を表示する想定です。
<form method="post" action="submit.php">
名前: <input type="text" name="name"><br>
コメント: <input type="text" name="comment"><br>
<input type="submit" value="送信">
</form>
<?php
$name = htmlspecialchars($_POST['name'], ENT_QUOTES);
$comment = htmlspecialchars($_POST['comment'], ENT_QUOTES);
echo "名前: $name<br>";
echo "コメント: $comment";
?>
htmlspecialchars()はHTMLの特殊文字を、Webブラウザが表示してもHTMLとして解釈されない安全な形に変換する関数です。XSS(クロスサイトスクリプティング)攻撃を防ぐための処理を書くのに重要な関数です。上記の例では、ユーザーが入力した文字を、エスケープ処理済みの文字列として扱えるように変換します。
「名前:[フォームの名前で入力された文字]」
「コメント:[フォームのコメントで入力された文字]」という状態で表示されます。
章末アクション
- 上記フォームを作り、名前とコメントを入力してブラウザに表示してみよう。
5.PHP×MySQLで作る初心者掲示板~データ保存とCRUDを体験
データベース接続
<?php
$dsn = 'mysql:dbname=php_db;host=localhost';
$user = 'root';
$password = '';
try {
$dbh = new PDO($dsn, $user, $password);
echo "接続成功";
} catch (PDOException $e) {
echo '接続失敗: ' . $e->getMessage();
}
?>
データベースに接続が成功した時は「接続成功」と画面に表示されます。
データベースに接続するためのサンプルコードです。あくまでもテスト環境で、説明のために直接ユーザ名「root」とパスワード無しで書いてありますが、実際に作る際には取り扱いに気を付けてください。
CRUD操作例
CRUD(クラッド)は、データベースやWebアプリケーションがデータを扱う上で必要となる、基本的な4つの操作 の頭文字をとった用語です。Create(作成)、Read(読み取り)、Update(更新)、Delete(削除)の頭文字です。そのうち、作成(登録)と読み取り(取得)をサンプルコードとして示します。データベースにデータを入れたり足したりするためには、SQL文を書く必要があります。SELECT文やINSERT文はSQL文です。PHPと並行して勉強する必要があります。
- 登録(INSERT)
$stmt = $dbh->prepare("INSERT INTO posts (name, comment) VALUES (?, ?)");
$stmt->execute([$name, $comment]);
プリペアドステートメントという仕組みを使って、データベースへ登録しています。「?」のところは、置き換えるための文字で、プレースホルダーと呼ばれます。一つ目はフォームの名前欄の値、二つ目はフォームのコメント欄の値が来るように作ってあるので、その順番で?の位置に値が入ります。このプリペアドステートメントを使う方法の最大の利点は、SQLインジェクション攻撃を防ぐことです。
$nameの中に、名前ではなく悪意のあるコードを書かれてしまったとしても、SQLの命令として実行されてしまわないようにするための仕組みです。実行されると、データベースの「posts」という名前のテーブルに新規に1つのデータが登録されます。
- 取得(SELECT)
$stmt = $dbh->query("SELECT * FROM posts");
foreach ($stmt as $row) {
echo $row['name'] . ": " . $row['comment'] . "<br>";
}
このサンプルだと、データベースの「posts」というテーブルから、全件のデータを取り出して、表示するという内容です。
章末アクション
- 小さな掲示板アプリを作り、投稿がデータベースに保存されることを確認しよう。
今日から作ろう!PHPでゼロからWebアプリを動かす
PHPは未経験者でも始めやすく、Webアプリ開発の基礎を学べる言語です。小さな成功体験を積み重ね、環境構築からデータベース連携まで順序立てて学びましょう。
どんな風に作成して行くのかは、イメージしていただけたものと思います。開かれたインターネットの中で動くシステムを作る場合、セキュリティのこと、フォームを作るにあたってはHTMLを知る必要があり、更にデータベースを使うのでSQLを覚える必要があります。もちろん素敵なWebシステムを作るにはさらに、CSSやjavascript、PHPのフレームワーク等の知識も必要になります。沢山あるハードルのはじめの一歩として、PHP入門研修を受けてみるのはいかがでしょうか。
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