課長なら知っておきたい。IT活用で業務改善を実現するための第一歩「流れ図」

課長として部門の生産性を高めることは、日々の業務の中でも特に重要な役割です。限られた人員と時間の中で成果を出すためには、業務の見直しと改善が欠かせません。中でもITの活用は、業務効率化の強力な手段となります。
本コラムでは、課長が現場で実践できる業務改善の第一歩として「流れ図」の作成を通じて、ITを活用すべき場面を見つける方法をご紹介します。さらに、システム化の判断基準や依頼時の注意点についても解説し、部門運営に役立つ具体的なヒントをお届けします。
業務改善の第一歩は「流れ図」の作成から
流れ図で業務の全体像を把握する
業務改善の出発点としておすすめしたいのが、仕事の手順を可視化する「流れ図」の作成です。業務の流れを図式化することで、どこに時間がかかっているのか、どこにリスクが潜んでいるのかが明確になります。
流れ図で見えてくる改善ポイント
以下のような場面は、特に改善の余地が大きい部分です。
- 時間や人手がかかる作業
例:毎日、チェック作業に追われている - トラブルやリスクが発生しやすい作業
例:金額の確認モレがあると損失が発生する - 同じ作業が大量に発生する業務
例:毎月1,000通のDM宛名書き - 繰り返し同じ動きをする作業
例:毎回住所を手書きしている
流れ図を作成すると改善ポイントが見えてきます。複数人が関わる業務は、特に改善の余地が大きいため、流れ図を通じて見直すことが効果的です。
IT活用の判断基準とは
システム化の費用対効果を見極める
業務改善の手段としてITを導入する際には、費用対効果を冷静に判断することが重要です。システム開発には一定の投資が必要ですが、継続的に発生する業務であれば、長期的な視点で検討する価値があります。
実例:DM宛名書き業務のコスト試算
以下は、毎月1,000通のDM宛名書きを手作業で行っている場合のコスト試算です。
- 10人 × 10時間 × 2,000円/時 = 20万円/月
- 2年間継続すると、240万円の人件費
この業務をシステム化することで、開発費の2倍以上の効果が見込める場合は、導入を検討する価値があります。
システム開発依頼時のポイント
依頼内容を具体的に記載する
「何をしてほしいか」を明確に伝えることで、開発側との認識のズレを防ぐことができます。
- 宛名リストから封筒に宛名(住所・氏名)を印刷してほしい
- 漢字変換にコストがかかるならカナでも可
- 毎月10日までに印刷完了が必要
必須条件と妥協点を整理する
- 絶対に必要なこと
- 譲れること
この2点を事前に整理しておくことで、スムーズな開発と納得のいく成果物につながります。
IT技術よりも「使える場面」を知ることが重要
IT活用というと専門的な知識が必要と思われがちですが、実際には「どの業務に使えるか」を見極めることが最も重要です。
業務の流れを見直し、改善の余地がある部分にITを導入することで、部門全体の生産性を高めることができます。
- ITの専門家になる必要はない
- 業務改善の一環としてITを活用する勇気が必要
まとめ:業務改善は「見える化」から始まる
業務改善の第一歩は、現状を「見える化」することです。流れ図を作成することで、改善すべきポイントが明確になり、IT活用の判断材料となります。
費用対効果を冷静に見極めながら、必要な部分にシステム化を導入することで、業務の効率化と生産性向上が実現できます。
業務フロー作成研修~業務の視覚化で、改善やリスク管理につなげる
本記事でご紹介した「流れ図」「フローチャート」やその後の業務改善を学べるのが、「業務フロー作成研修」です。業務フロー作成の手順やフロー構成の型、作成に必要な図解化スキルを身につけます。
本研修のゴール
- 現状の業務を漏れなく洗い出し、業務プロセス上の非効率な工程やリスクを発見することができる
- フローチャートを用いて、誰もがわかりやすい業務の流れを作成することができる
- 作成した業務フローを実際の現場で検証し、実情に合わせた内容に改善することができる
- 業務フロー作成に連動させ、業務の改善提案やマニュアルの整備を行うことができる
対象者
- 業務改善を行うための知識・スキルとして業務フロー図の作成を学びたい方
- リモートワークの仕組みづくりの一環として業務フロー図の整備を予定している方
- 部内の業務の流れの悪さを改善したい方
よくあるお悩み
- 自身の業務の標準化のためにマニュアルとともに、フロー図の作成スキルを身につけたい方
- 長年、部内の業務のやり方が変わっておらず、非効率だと感じている方(同じことを別の場所でやっている、チェック者が必要以上に多いなど)
スケジュール
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