迷わず始めるPython業務改善~未経験者が学ぶべき必須スキルと学習の流れ

毎月のExcel集計や資料作成、システムへの定型入力に追われ、気づけば一日の大半を「繰り返し作業」に費やしてしまう。そんな状況に限界を感じている方は少なくありません。
本来取り組むべき企画や分析に手が回らず、「効率化したい」「でも具体的にどうすればよいのか分からない」その悩みを抱えたまま日々を過ごしている方も多いはずです。
Pythonによる業務改善~Excel自動化、情報収集とデータ分析、アプリ開発まで
解決策の一つとして注目されているのがPythonによる業務改善です。ExcelやWordの自動化、Webからの情報収集、データ分析、さらには業務アプリ開発まで幅広く活用でき、日常の「作業」を大幅に削減し、本来の業務に集中できる環境を作ることができます。しかし一方で、実際に学習を始めようとすると「どのスキルから学べばよいのか」「どの順番で身につければよいのか」が分からず、最初の一歩を踏み出せない方も少なくありません。
そこで本ページでは、Pythonで業務改善を進めたい方に向けて、必要なスキルを体系的に整理し、実際の活用イメージとともに学習ロードマップをご紹介します。
Python業務改善のスキル体系
まずは全体像を俯瞰してみましょう。以下の図は、Pythonを業務改善に活用するためのスキルを「0」から「5」まで段階的に整理したものです。
0・1・5は目的に限らず必須のスキル、2・3・4は各目的に応じたスキルとなっています。
【Python業務効率化スキルの体系図】
ここからは、それぞれの段階について詳しく見ていきます。
Pythonによる業務効率化スキル⓪~ベースとなる目的の整理とITスキル
Pythonを学ぶ前に整えておくべき土台が3つあります。「何を改善したいか」を整理し、最低限のITリテラシーを押さえることが最初のステップです。
- 業務改善の目的を明確にする力:まずは自身の業務を俯瞰して「どの作業を短縮したいのか」「どの業務の精度を上げたいのか」の見極める
- IT・コンピュータの基礎知識:具体的にはOSの仕組み、インターネットやクラウドの概念、API連携など、学ぶ上で必要な基本用語を抑える
- ExcelなどのOAスキル:ExcelやPDFといった既存ツールとの連携が多いため、基本操作に慣れていることが有利に働く
ベーススキルを学べるカリキュラムはこちら
Pythonによる業務効率化スキル①~Python基礎知識
続いて、Pythonそのものの基本的な文法を身につけます。基本文法はプログラム上でコンピューターにこちらの指示を与えるためのルールになります。
プログラムを書く上では、基本として以下のような処理の指示方法を学ぶ必要があります。
- 条件分岐(if文):状況に応じた処理の分岐
- 繰り返し処理(for文・while文):同じ処理を効率的に実行
- 辞書:「Aさん:70点」「Bさん:90点」など、特定の値の組み合わせを管理する方法
ここでの目標は「Pythonを使って動くプログラムを書ける」状態になることです。この段階をしっかり固めると、後の自動化やデータ処理もスムーズに進みます。はじめてプログラムに触れる方は、特にしっかりと学ぶことをお勧めします。
基本文法を学べるカリキュラムはこちら
- Python学院~基本文法編/プログラミング未経験から業務への活用方法を学ぶ(1日間)
→1日間で基本文法の要素を網羅します - はじめてのPythonプログラミング研修~業務自動化を実現する(2日間)
→多くの演習を交え、2日間かけてゆっくりと学びます
Pythonによる業務効率化スキル②~業務効率化
プログラミングの基礎が整ったら、いよいよ業務自動化プログラムの作成に入ります。まずは、既存の業務をフロー図に落とし込み、具体的にどの処理を自動化するのか決定します。次に、行いたい処理に応じて、必要なスキルを身につけていきます。
主に自動化の対象となるのは以下の3分類です。
1.Officeツール操作の自動化
- Excel:売上集計や定型レポートを自動作成し、毎月の集計作業を数分で完了
- Word:顧客名や数値を差し替えた契約書や報告書を一括生成し、文書作成の手間を削減
- PowerPoint:最新データを自動で反映したグラフや表をスライドに挿入し、定例会議の資料準備を効率化
2.情報収集の自動化
- Webサイトから必要な情報を自動取得(スクレイピング):競合他社の価格や市場動向を定期的に取得し、情報収集の抜け漏れを防ぐ
- APIを使った外部サービスとのデータ連携:天気や為替などの外部データを自動取得し、社内システムや分析資料にリアルタイムで反映
3.ブラウザ・システム操作の自動化
- ログインやフォーム入力を自動化:勤怠や経費精算システムに毎月入力している情報を自動登録し、単純作業の工数を削減
- PDFやフォルダの整理、メール送信の自動化:届いた請求書PDFを自動でフォルダに振り分け、確認メールを関係者に送信するといった一連の業務を無人化
自部署で共有できる便利ツールへ
業務効率化プログラムを完成させた後は、実際に業務で使用しやすい形にしましょう。自動実行などを設定すれば、時期の決まった業務を完全自動化し、対応漏れなども防ぐことができます。また、作成したプログラムを誰でもワンクリックで使用できる形式に変更することで、自部署で共有できる便利ツールにすることが可能です。
- 実行ファイル化:誰でもワンクリックで使えるツールにする
- 定期実行:毎日・毎週・毎月・ログイン時など、任意のタイミングでプログラムが自動実行するようにする
- 関数化:別プログラムで同じシステムを操作したい!など、同様の処理を行う際に一度書いたプログラムを再利用できるようにする
業務の自動化を学べるカリキュラムはこちら
Pythonによる業務効率化スキル③~データ活用
PythonではExcelでは扱えない大きなデータを素早く処理することができます。目安として、1,000件を超えるデータの処理にはPythonでの処理がおすすめです。また、データの整形、可視化や過去のデータを用いた予測なども行うことができます。毎日・毎週など定期的に行っている分析であれば、プログラム化して自動実行を行うと時間短縮につながります。
データの処理には以下のような要素が必要です。
- データクレンジング:欠けたデータの処理やフォーマット揃えなど、分析可能な状態に整える
- データベース活用:データ抽出や複数データの統合
- データ分析:平均値や最小値・最大値などの算出
- 可視化:グラフ化やダッシュボードの作成
- 相関分析:2つの値の関係の強さや傾向を見る
- 予測:回帰分析や機械学習によって売上予測や需要予測、顧客離反の予測などをおこなう
データ分析を学べるカリキュラムはこちら
Pythonによる業務効率化スキル④~業務アプリ開発
Pythonを使えば業務システムを自分で作ることも可能です。実はInstagramやYouTubeといったWEBアプリもPythonを用いて作られているのです。例えば、部署で管理するデータの入力・更新機能などをWEBアプリ化することで、情報共有サイトや記録アプリを作成することもできます。部門単位の小規模アプリを自作できれば、現場の改善スピードは飛躍的に高まります。
WEBアプリケーション開発には以下のようなスキルが必要です。
- デザイン思考・要件定義:利用者のニーズに合った仕組みを考える力
- データ操作機能の実装:登録・読み取り・更新・削除といった基本的な機能の追加 ※その他、必要に応じて会員登録やログイン機能の作成も学びます
- UI実装:誰もが使いやすい画面設計やボタン配置
WEBアプリ開発を学べるカリキュラムはこちら
Pythonによる業務効率化スキル⑤~生成AIによるコーディング支援
最後に、近年急速に普及している生成AIの活用についてご紹介します。プログラミングの作成や修正は、もともとプログラムによって動作している生成AIが最も得意なことの一つです。活用することで学習効率も実務スピードも大きく向上するため、未経験者にとっても心強いサポーターです。
例えば、以下のような支援が可能です
- コード生成:自然言語で指示するとコードを出力
- デバッグ:エラー箇所の特定や修正案の提示
- 最適化:より効率的なコードへの改善
- 解説:初めて見るプログラムについての処理内容の説明
自分の業務に必要なスキル・自分に足りないスキルを見つけ、効率的に学習を進めよう
Pythonによる業務改善は、すべてのスキルを一度に身につける必要はありません。大切なのは、「どの作業を効率化したいのか」を明確にし、その実現に必要なスキルから優先的に学ぶことです。自分に必要なスキルと足りないスキルを整理し、目的から逆算して段階的に積み重ねていくことで、最短距離で成果につなげることができます。
迷わず進められる学習ステップを描き、自分に合ったスキルを着実に身につけていきましょう。
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