モノづくりで身につけるデータ活用力~IoTで見える化、データドリブン導入の手順と事例
技術の進歩により、現場の仕事はデータ活用で大きく変わりつつあります。現場担当者や営業担当者に求められるのは、「勘や経験」だけに頼るのではなく、「顧客の課題をデータで捉え、解決策を導き出す力」ではないでしょうか。IoT(Internet of Things)は、そのための重要な手段です。
本記事では、IoTによって業務がどう変わるのか、可視化(見える化)やデータドリブンの考え方など、事例を踏まえて解説します。
IoT活用が示す、データで生まれる業務改善と新価値
IoTは「モノがインターネットにつながる」仕組みであり、製造・物流・小売など多様な業界で導入が急速に進んでいます。今や競争力の源泉となる技術で、活用例はさまざまです。
- 機械の稼働状況をセンサーで把握し、異常があれば通知する
- 輸送ルートや在庫管理をデータで最適化し、生産性を高める
- 顧客の購買行動を分析し、マーケティング施策を展開する
こうした事例が示すのは、「データを活用すれば業務改善や新しい価値提供につながる」ということです。
現場課題をIoTで解決した事例~設備異常や生産性低下の改善に役立ったセンサー活用
ある工場で設備の異常動作が増え、生産性が落ちていると相談がありました。営業担当は当初、高額な新型機の導入を提案しましたが、社内調整や決裁に時間がかかり現場の負担は増える一方でした。
そこで既存機の一部に温度や振動のセンサーを取り付け、データを取得。異常時のみ通知が届く仕組みにしたところ、常時の目視確認が不要になり、作業工数を削減できました。さらにデータ分析により、原因が特定部品の摩耗であることが判明。部品交換と作業手順の見直しだけで対応でき、新規設備の購入は不要となりました。

IoTを活用した「データで課題を捉える視点」があったからこそ、費用対効果の高い解決につながった事例です。IoTの基礎を理解していれば、最初の相談段階から費用対効果の高い、現実的で顧客に寄り添った提案ができるようになります。
体験型IoT研修の事例~社内技術水準向上とスキル共有を実現
IoTを理解するには、知識のインプットだけでは不十分です。センサーを接続し、データを収集し、可視化する。この一連の流れを実際に体験することで、初めてIoTが現場をどう変えるかを実感できます。実際に、当社インソースが支援した事例をご紹介します。
IoT研修の導入事例 ― 情報通信・IT企業の取り組み

ある情報通信・IT企業では、「組織全体でIoTスキルを持つ人材を3割確保する」という方針を掲げ、社内の技術水準を上げるためにIoT入門研修を導入しました。
対象はプログラミング未経験者から経験者まで幅広い社員。研修では座学だけでなく、実践を重視し、IoTデバイスを組み上げる形式を採用しました。知識を学ぶだけでなく、チームで成果を出す経験もできるよう設計されています。
研修の流れは次のとおりです。
- Python基本文法を学習(レベル別クラス分けで対応)
プログラミング未経験者は「コードを書くことへの抵抗感をなくす」ことができ、経験者は「IoTに必要な文法・処理を効率的に習得」できます。結果として、全員がIoT開発に最低限必要な共通言語を持つことが可能になります。 - IoTデバイスの基礎知識とRaspberry Pi Pico Wの動作を体験(シミュレーターと実機を併用)
ハードウェアに触れることで「IoTがどのように動くか」を実感し、シミュレーターと実機の両方を体験することで、机上の知識と現場の実装を結びつけられる理解が得られます。 - 温度・湿度データの収集・整形・グラフ化による可視化演習
実際のデータを扱いながら「取得 → 加工 → 分析 → 可視化」の流れを体験することで、データ活用の一連のプロセスを理解し、業務改善に活かす視点を獲得できます。
この取り組みにより、社員は「IoTを自らの業務にどう応用できるか」を具体的に考えられるようになり、社内でのスキル共有や新しい活用アイデアの創出につながっています。
IoT入門研修~Raspberry Piで「見えないデータ」を可視化する(2日間)
当社では、IoTの基礎を、「座学での理解」と「実機体験」の両面から学べる研修をご用意しています。
距離センサーによる衝突防止システムや赤外線センサーを活用した人感検知システムなど、実機を組み立てながら楽しくIoTの仕組みを学習できます。
プログラミングや電子工作の経験がない方でも段階的に理解できるよう構成しているため、実践を通じてIoTへの理解を深めることができます。
本研修のゴール
- IoTの特徴と技術を理解する
- Raspberry Piで実際に使えるシステムを作成できる
- どのような場面でIoTを活用できるかを考えられる(データドリブンの考え方を身につける)
よくあるお悩み・ニーズ
- IoTを導入するにあたり、何をするのかイメージが湧かない
- プログラミングの経験はないが、組み込みソフトウェア開発を体験したい
- センサーやRaspberry Piを使って、簡単なデータの可視化を試したい
- 手作業に頼っていたデータ取得業務をIoTの導入で改善したい
セットでおすすめの研修・サービス
はじめてのPythonプログラミング研修~業務自動化を実現する(2日間)
Pythonのそれぞれの文法知識について、実際に使う場面を想像していただけるように研修を作成しました。
基礎は学んだが、いざご自身で開発をするときに、使うべき文法が分からないというお悩みは少なくありません。どういう場面でどの文法知識が必要になるのかを理解できるような演習問題を、多くご用意しました。
(半日研修)ChatGPT×Excel研修~身近なExcel業務から始めるAI活用
今後、AIの活用力はビジネスパーソンの必須スキルになることが予想されています。
ChatGPT×Excelのように身近なものと組み合わせて使いこなせることは、未来のさらなるAI活用への第一歩となります。周囲と差をつけるAI活用方法の習得や、業務スキルアップを目指す方に受講していただきたい研修です。
行政向けAI・IoTの基礎研修(1日間)
AI・IoTの周辺知識や導入プロセスに沿って準備すべきことを学ぶ研修です。
導入のメリットやプロセスを知り、現場の生産性向上に寄与できるよう、おさえておきたい専門用語や導入までのステップなど、基礎的なところから無理なく学べる内容になっています。







