
更新日:
インクルーシブ・リーダーシップ
「インクルーシブ・リーダーシップ」とは、一人ひとりが持つリーダーとしての力を引き出しながら、組織全体の力を向上させるリーダーシップのことを言います。一人の実行型リーダーが"上意下達"で統率するのではなく、各々が自主性を発揮しながら持てる力を"横に"広げ、周囲を巻き込んで組織の成果を生み出すリーダーシップが、組織のダイバーシティ化やフラット化が進む現代において注目されています。
インクルーシブ(inclusive)とは、英語で「包括的な」という意味です。近年、障がい者やLGBTの方など、いわゆるマイノリティと呼ばれる人材を認め、受け入れるというダイバーシティ的な発想だけでなく、"企業の戦力として包括する"という「インクルージョン」の考え方が広まりつつあります。ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を謳う組織も増えており、個人・チーム・組織の可能性を最大化するインクルーシブ・リーダーシップは、人材育成に携わる方の関心を集めています。
インクルーシブ・リーダーシップと似た言葉に「サーバントリーダーシップ」があります。「奉仕型リーダーシップ」とも呼ばれ、部下の考え方に共感しながら、個々の力を最大にできるよう支援することで組織目標の達成に貢献するタイプのリーダーシップを言います。実行型リーダーシップは「リーダーの力」、奉仕型リーダーシップは「部下の力」を表に出して組織を動かすのに対し、インクルーシブ・リーダーシップは「みんなの力」を最大限に発揮することで全体的な組織力の向上につなげるのが特徴です。
働く人材の多様化が進む現代においては、旧来型の組織のように指示命令系統をつくらず、組織の目的の達成のために全メンバーが個別に意思決定を行う自律型組織である
「ティール組織」が注目されています。階層構造や管理マネジメントの仕組みがなくても、多様な個性を持つメンバーが一つにまとまり、大きな成果を導くインクルーシブ・リーダーシップは、ティール組織の運営に欠かせない力と言われています。
VUCAと呼ばれる先行き不透明な現代は、強いカリスマ性を持つ経営者一人の力で企業が成長を続けていくのは困難です。すべての人材がインクルーシブ・リーダーシップを発揮し、誰もが率先して動く組織を作ることで、複雑な現代社会の課題解決やイノベーションの創出につなげていきましょう。
Pick Up キーワード
関連キーワード
■関連記事一覧
-
-
更新
現場と経営をつなぐ、部長・マネージャー・リーダー別の業務改善~経営課題を現場で成果に変える
部長・マネージャー・リーダー向けの業務改善研修シリーズ。経営課題を現場改善につなげる力を階層別に学び、データ活用や全体最適の視点で成果を組織に定着させる方法を紹介。
-
-
-
更新
マネージャーが仕掛けるべき「チームの勢い」の作り方|コミュニケーションの方法論4
職場コミュニケーションの基本は「報連相+指示」。指示が苦手な人はまず内容を書き出すこと、朝礼や会議を活用することが有効です。あえて全員一丸になって行う指示でチームに勢いをつけることもできます。
-
-
-
更新
離職防止を実現する面談のコツ~不幸・失敗が9割の自己開示でスタート|コミュニケーションの方法論3
面談はメンバーを主役にし、話を丁寧に聴くことで信頼と安心を生む場です。上司が失敗談などの自己開示から始めることで、メンバーも安心して本音を話せるようになります。
-
-
-
更新
会議はムダ?答えはNO、やり方次第ではマネージャー最大の武器に|コミュニケーションの方法論2
会議をマネージャー最大の武器にするにはどうすればよいか。会議を情報収集や報告の場にせず、課題発見・意思決定・指示に特化して活用することです。これによって、組織のスピードと成果を高めることができます。
-
-
-
更新
本当にあった「朝礼の導入」で業績が伸びた話|コミュニケーションの方法論1
朝礼は情報共有と方向性合わせの要となり、コストに見合う効果を生みます。好事例の共有やリスクマネジメント、判断力向上やモチベーション評価ツールなどとして活用することができます。
-
-
-
更新
今なぜ「サーバント・リーダーシップ」が注目されるのか~変化の時代に求められる、支えるリーダーの役割
従来の指示命令型リーダーに代わる方法として、部下に仕え力を引き出す「サーバント・リーダーシップ」が注目されています。本記事では、今なぜ職場でサーバント・リーダーシップが重要視されるのか、その背景と方法を紹介します。
-
-
-
更新
逆境がリーダーを鍛えるのか?リーダーが逆境を引き寄せるのか?
優れたリーダーのキャリアを振り返ると、必ずと言っていいほど困難な局面が存在します。逆境とリーダーの成長には、相互に影響し合う深い関係があるのです。本コラムでは、偉業を成し遂げたリーダーたちの事例を通じて、この興味深い関係性を紐解き、あなた自身のリーダーシップに活かす方法をご紹介します。
-
-
-
更新
マネージャーは「堂々している」と見られるべきか|新任マネージャーの方法論7
マネージャーは、常に堂々としている必要はありません。「管理職」や「経営者」はある組織の中での役割であって、その役割を果たすために最適なふるまいができれば十分です。一方で、今すぐできる対策を求めている方には、「外見に『よろい』を着る」方法がお勧めです。
-
-
-
更新
マネージャーとしての上手な話し方・説明の仕方|新任マネージャーの方法論6
マネージャーが身につけるべき「分かりやすく伝わる話し方」の方法論を解説。聞き手にキーワードがすっと入る話し方や1分間200字のトーク練習、資料3割を話すテクニック、良い「間」の取り方まで具体的に紹介します。
-
■関連研修シリーズ
■関連商品・サービス一覧









