岩崎小彌太に浸る7日間(序説)

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今回は、三菱の4代目「岩崎小彌太」を取り上げ、「岩崎小彌太に浸る7日間」というタイトルで計7回の連載でご紹介していきます。まずはイントロダクションということで、シリーズ開始の告知と、岩崎小彌太までの三菱4代の事績をご紹介いたします。
- 目次
三菱4代の事績
岩崎小彌太は、三菱の第4代目の社長として就任します。小彌太までは、岩崎家の本家 → 分家 → 本家 → 分家というかたちで、一族でトップを歴任します。
■初代 彌太郎:1834~1885 彌太郎は海運事業を伸ばし、九十九商会、郵便汽船三菱会社などを設立し、三菱財閥の基礎を築きました。
■2代 彌之助:1851~1908 彌太郎の弟。郵便汽船三菱会社と政府系の共同運輸会社を合併し、海運業をさらに発展させました。また、鉱山・金融・倉庫事業をはじめ三菱の多角化の基礎を築いた人でもあります。第4代日銀総裁もつとめ、三菱銀行、三菱倉庫などの会社創設の基礎も築きました。
■3代 久彌:1865~1955 初代彌太郎の長男。社名を三菱合資会社に改称して、鉱業・銀行・造船などの事業部制を取り、事業の多角化を一層進めました。
■4代 小彌太:1879~1945 2代彌之助の長男。社内の造船・製鉄・倉庫・商事・鉱業・銀行などの各事業部を株式会社として独立させ、合資会社は本社として各社を総括する「持株会社」に再編成。多角的事業経営(コンツェルン)を展開します。1934年、三菱造船会社と三菱航空機会社を合併して三菱重工業株式会社を誕生させます。
以上が岩崎4代の事績ですが、先ほどの「重工業会社」という社名は、小彌太の発案です。英語のHeavy Industriesの日本語訳であり、「重工業」という名称は今でこそ定着していますが、当時は耳慣れない名前でした。
小彌太は当時、部下から「重工業という名前は変ではないか」と言われましたが、「それでは代わりの名案を出せ」と切り返し、部下が他に良い名前が思いつかなかったので結局「重工業」に決まったようです (宮川隆泰『岩崎小彌太~三菱を育てた経営理念』中央公論社、1996、147p)。
小彌太は、頭脳明晰で、頑固で強引な所はあるが、組織全員の力を活用して、厳しい時代の中でも三菱を成長させた人です。 次回から本格的に連載を開始しますが、非常に魅力的な人物ですので、乞うご期待ください。
※岩崎小彌太のエピソードについては、下記の書籍を参考にさせていただきました。 宮川隆泰『岩崎小彌太~三菱を育てた経営理念』(中央公論社、1996)
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