部下の能力を引き出すためにはどのような言葉をかければよいか、管理職の永遠の課題です。
昨年の同時期にいただいたお問い合わせの中で最も多かったものが、コミュニケーションに関するご相談でした。特に、部下とのコミュニケーションの取り方や、 モチベーションやパフォーマンスの向上につながる指導の仕方などに悩まれている管理職の方の声は、今年も頻繁にお聞きしています。
そこで今回は、部下の承認欲求を満たし、成長や帰属意識につながる「適切なほめ方」についてお伝えします。
適切なタイミングで的確なほめ言葉を投げかける
実際に部下をほめる時は、その仕事ぶりをよく観察し、一人ひとりの持ち味や強み、成長の様子を心にとめながら、適切なタイミングで的確なほめ言葉を投げかけることが大切です。 不自然なタイミングでほめられても、相手はいぶかしがるだけですし、的を射ない内容でほめられても、おだてられているのでは? と取られてしまいます。
部下は上司にほめられることで自身の成長を実感し、また達成感を覚えるようになります。逆に、思いついた時に適当なほめ言葉を投げかけるようなことが続くと、 効果がないどころか、逆に上司の言葉に対する信頼を失うことになりかねません。「適当なことを言っている」と思われないよう、ほめようと思った理由も付け加えて伝えると良いでしょう。
①「観察能力」を鍛える・・・「長所」と「変化」に着目する
②「伝達能力」を鍛える・・・「適切なタイミング」と「的確なほめ言葉」を意識する
他者との比較はしない
部下をほめる際にもう一つ気をつけなければならないことは、相手個人の中での絶対的な成長を評価することです。 誰かと比べてどうか、ということではなく、あくまでもその人だけを見て結果をほめることが重要です。
仕事の結果だけでなく、その行動(プロセス)を評価してほめる
完結した業務を任される機会が少ない若い部下に対しては、仕事の結果だけでなくその行動(プロセス)に対して評価できるよう、目標や期待水準を指示の段階で明確にしておくと、ほめやすい状況を作ることができます。
また、たとえ悪い結果に終わったこと(部下にとって報告したくないこと)でも、しっかり報告してくる部下には、"報告した"という行動・事実を評価してほめるとよいでしょう。
頑張った過程を認めることで「承認欲求」を満たす
「ほめる」ことと「承認する」ことは、一見同義のような気がしますが、異なります。
★相手が頑張ってきた過程+結果をほめる・・・これが「承認」です
「承認」とは、継続的に相手の行動を観察し、その結果として相手の存在価値を認めることです。「自分に関心を持ってくれている」「自分の行動の過程を見てくれている」という認識が、 部下のモチベーションに大きく影響を与えます。
普段のコミュニケーションも大切
部下の承認欲求を満たすためには、普段のコミュニケーションも大切です。まずは、挨拶をおざなりにしないようにしましょう。挨拶は、必ず顔を向けて行います。「おっ、今日は一段と声が明るいね」など、変化に対するコメントを加えることで、部下は「おざなりでないこと」を感じ取ります。
また、自分が感じたことを率直に伝えることも大切です。例えば「さっきは力を貸してくれてありがとう。一人では時間がかかるから助かったよ。」などと、率直に部下の行動をほめることが、「承認」として効果的です。客観的に「良かった」と伝えるのではなく、"私"を主語にして気持ち伝える、という点がポイントです。
なお、相手の質問には必ずレスポンスするということも大切です。クイックレスポンスであるほど、受け取る側に「承認」されたという意識を持たせることができます。
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