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読み手に伝わるビジネス文書の3要件と必要なスキル

ビジネスの現場では、新しいプロジェクトの提案書、重要な会議の議事録、進捗や成果を報告する報告書、ミスに対する詫び状など、さまざまな文書を作成する機会があります。日々の業務においても、業務の進行状況の共有や、打ち合わせの日程調整、依頼や質問といったやり取りをメールで行うことが一般的です。

これらの文書には一定のフォーマットがあり、情報を整理し、その形式に従って記述することで文書としての体裁が整います。しかし、ここで一度立ち止まって考えてみましょう。フォーマット通りに情報を埋めただけの文書は、本当に伝わるビジネス文書と言えるでしょうか。

ビジネス文書の目的は、相手に必要な情報を正しく伝え、理解や行動を促すことです。単に形が整っているだけでは不十分で、「読み手に伝わる」ことが何より重要です。すなわち、読み手が内容を理解し、適切な判断や行動ができる文書こそが、真のビジネス文書といえるのです。

「伝わる文書」の3つの要件

「読み手に伝わる文書」には、以下の3つの要件が求められます。

要件1:分かりやすい文章

語句の選び方や文構造が、読み手にとって理解しやすいものであること。

要件2:論理的な構造

情報が適切な順序で配置され、主張や意見に筋道があること。

要件3:納得できる内容

事実に基づき、適切な根拠が示されていて、読み手が納得・共感できること。

伝わる文書を書くためのスキル

この3要件を満たすために、以下のようなスキルを身につけることが重要です。

1.分かりやすい文章を作るスキル

分かりやすい文章を書くためには、以下の14のルールを意識しましょう。多く感じるかもしれませんが、チェックリストとして活用することで確実に身につきます。

  • 書き手の立場を明確にする~誰が、どの立場で書いているかを意識する
  • 早く対応する~できれば文書の提出・対応期限前に書き終える
  • 熱意を込める~読み手を動かすのは、書き手の想い
  • 法令や社会規範を守る~コンプライアンスへの配慮
  • 相手の氏名・役職を正確に記す~基本的な確認を怠らない
  • 定型表現を正しく使う~一般的なビジネス上のルールはもちろん、社内ルールや業界ルールにも従う
  • 言葉の意味を正確に理解して使う~自分で意味を説明できない言葉は使わない
  • 見た目を整える~改行・インデントなど、レイアウトの乱れを避ける
  • 内容が推測できる標題をつける~標題と見出しを読んだだけで内容がわかる
  • 一文を短く保つ~一文50字以内、一段落200字以内を目安に
  • 主語と述語の対応を明確にする
  • 具体的かつ正確な記述を心がける~数字は可能な限り明記
  • わかりやすい言葉を選ぶ~カタカナ語・専門用語は必要最小限に
  • 助詞や句読点に注意する~音読して違和感がないか確認する

この他にも文書の目的が、読み手の意思決定に影響を与える主張をする場合は、要点を簡潔にまとめることや、読み手にとって重要なキーワードを適切に選ぶことも、大切です。

2.論理的な構造

論理的な文書の作成には、整理された情報と筋道の通った構成が必要です。ビジネス文書における「論理的」とは、物事を迅速かつ明瞭に伝えるための体系的で筋道の通った表現を指します。論理性を支える3つの要素は以下の通りです。

  • 明確な主張(結論)がある
  • 主張の論拠がある~1つの主張に対して、それを支持するはっきりした論拠が「モレなくダブりなく」ある
  • 論拠が主張を正しく支持している~「主張」と「論拠」のつながりが正しい

3.納得できる内容

読み手を納得させるには、「5W1H」や「6W3H」に基づいた情報整理が効果的です。これにより、情報の過不足を防ぎ、無駄のない報連相(報告・連絡・相談)が実現できます。

<5W1H>

  • Who(誰が)
  • What(何を)
  • When(いつ)
  • Why(なぜ)
  • Where(どこで)
  • How(どのように)

<6W3H>

5W1Hに以下を追加

  • Whom(誰に)
  • How many(いくつ(数))
  • How much(いくら(量))

論理的で分かりやすい文書の書き方研修

本研修では、論理的な文章の書き方を学んでいただきます。読み手が必要とする情報を明確にし、分かりやすい文章の組み立て方を演習に取り組みながら習得していただきます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 上司から、何が伝えたいのか分からないと指摘される
  • お客さまから、結局この提案書のポイントは何ですかと聞き返される
  • 情報を整理して、簡潔にまとめることが苦手

本研修の目標

  • 相手にとって、読みやすい簡潔な文章の作成ができる
  • 自分の意見を論理立てて文書にすることができる

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仕事の生産性向上研修~「デキる人」に共通する時間の使い方・習慣を取り入れる

組織の生産性を上げるには、従業員一人ひとりのレベルでも仕事のやり方を日々改善していく必要があります。まずは研修の冒頭で、なぜ自分の仕事は遅いのかというところに踏み込みます。そのうえで、では具体的に何をどのように変えていけばよいのかを、デキる人がいつも心掛けている観点・実践している工夫を着手前・着手中に分けてお伝えします。

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(若手向け)ロジカルシンキング研修~情報を整理し、結論を導く

本研修では、論理的思考力を鍛えるべく、ロジカルシンキングのフレームを用い、「いつ・どのように考えるべきなのか」を理解していただきます。若手でもわかりやすいよう、具体的な仕事の場面のケースに沿って、考えていただきます。

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図解力向上研修~情報を整理し、分かりやすくする編

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インソースの「文書添削サービス」は、ビジネスシーンにありがちな文書作成課題を実際に作成してもらい、受検者一人一人に個別のフィードバックを行うサービスです。 文書作成スキルを定着させるには、研修やテキストで学ぶだけではなく、自分が書いた文書を第三者にフィードバックしてもらうことがなによりも有効と考えております。課題・改善点を把握して、作成を繰り返すことで、実践的な力が身につきます。また、分かりやすい文章を書くトレーニングをすることで論理性も鍛えられます。

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