なぜ数字は「組織の共通言語」といわれるのか~現場と経営をつなぐ財務三表の4つの視点

仕事の現場では、結論そのもの以上に、「なぜそう言えるのか」「どの数字に基づく判断なのか」の根拠の説明が問われます。
感覚や経験だけでは説明が通用しない場面が増える中で、数字を用いて会社や事業の状態を説明できる力は、社会人にとって欠かせない能力となっています。
本記事では、数字を共通言語として活用している企業の取り組みを紹介しながら、現場の数字を財務三表につなげて理解するための4つの視点・分析手法について解説します。
数字を共通言語として扱う組織の特徴
ここでは、成果を出す組織に共通する「数字を前提にした会話」や、企業が実際に行っている取り組みを紹介します。
成果を出す組織は「数字を前提にした会話」で行動がそろう
事業環境が厳しい状況下でも、安定して成果を上げている組織には共通点があります。それは、経営層や管理部門だけでなく、現場レベルに至るまで、数字を前提とした議論が日常的に行われていることです。業務に関わる重要な数字が組織内で共有され、それを基に改善や意思決定が行われている組織では、外部環境の変化に対しても、冷静かつ迅速な対応が可能になります。
数字を「共通言語」として使う企業の取り組み
数字を組織の共通言語として活用している企業では、数字を単なる結果報告や管理資料として扱うのではなく、日常的な会話と行動の前提として位置づけています。
全従業員で数字を共有し、行動をそろえる
数字を共通言語として活用している企業では、主要な数字を一部の管理職だけが把握するのではなく、現場の従業員まで広く共有する仕組みを整えています。受注や生産、売上などの重要な数字を全員が把握できる状態をつくることで、日々の行動を同じ基準で判断できるようになります。
さらに、計画と実績に差が生じた場合は、個人の責任を追及するのではなく、組織全体で原因を確認し、改善策を検討する文化を育てています。数字を基準に状況を把握することで、必要な対策をすばやく講じられるようになり、組織全体の対応力が高まります。
現場の数字は財務三表に集約され、会社の状態を示す
日々の受注数、生産性、品質、業務改善の積み重ねは、最終的に利益やキャッシュといった経営数字へと集約されます。現場で生まれるあらゆる数字は、財務三表という公式言語に変換され、会社全体の状態を示す指標となります。この公式言語を理解することで、自分の業務が会社の経営にどのように貢献しているのかを、感覚ではなく数字で説明できるようになります。
財務三表を4つの視点で読み解く~稼ぎ続けられる組織かを判断する
財務三表を実務で活かすためには、単純に利益「額」を見るのではなく率や構成比でとらえることが重要です。これは、現場の経営は今稼げているかよりも、これからも稼ぎ続けられるかで意思決定がされるためです。
こうした考え方を踏まえ、財務三表は次の4つの視点から読み解きます。
- 成長性分析~これから伸びるかを確認する
売上や利益を経年で比較し、事業が拡大しているのか停滞しているのかを把握します。 - 収益性分析~しっかり稼げているかを見極める
売上に対してどれだけ利益を生み出せているかを確認し、事業の稼ぐ力を判断します。 - 安全性分析~財務基盤が安定しているかを確認する
資金調達と資産構成のバランスから、財務体質の安定性やリスク耐性を見ます。 - 効率性分析~資産を有効に使えているかを把握する
資産がどれだけ効率的に使われているかを確認し、利益を生み出す仕組みを理解します。
財務分析は状況を理解し、適切に判断するために行う
財務分析は、指標を計算すること自体が目的ではありません。数字の背景にある事業活動や意思決定を読み取り、自社や自部門の状況を説明できるようになることが重要です。また、業界によって重視すべき指標や水準は異なります。業界特性を踏まえて数字を見ることで、より現実的で納得感のある判断が可能になります。
社会人に求められる財務の基礎力は「数字を共通言語として対話する力」
財務三表を読みこなす力は、経理や財務の専門職だけに求められるものではありません。管理職候補や中堅社員がこの力を身につけることで、次のような変化が期待できます。
- 会議や提案の場で、根拠ある説明ができるようになる
- 自部門の成果を、会社全体の視点で説明できるようになる
- 他部門との共通認識が生まれ、議論がスムーズになる
数字を使って語る力は、これからの組織を支える人材にとって欠かせない能力です。まずは日々の数字を財務三表につなげて考える習慣をつけることで、組織全体で共通言語が育ちます。今日から取り組める一歩として、数字と理由をセットで説明することを意識してみてください。
財務研修~4つの分析手法から財務諸表を読みこなす
本研修では経理・財務に求められる簿記の知識ではなく、あらゆる職種のビジネスパーソンが使えるビジネス会計の知識習得に焦点を当てた研修です。ワークでは実際の決算資料に触れ、ディスカッション・フィードバックを通して読み深め方を学びます。
財務分析のスキルを習得することで、自社の経営成績の確認や仕入先・外注先・取引先の与信管理、競合分析など、様々なシーンで活用できるようになります。
本研修のゴール
- 財務三表(PL・BS・CF)の役割と主要項目を理解できる
- 4つの財務分析手法と15個の指標の計算式と使い方を習得する
- 上場企業の決算資料を読み、分析に必要な数字を見分けられるようになる
- 財務分析手法を用いて決算書を比較し、自分なりの分析結果を述べられる
よくあるお悩み・ニーズ
- 利益やコストへの意識を高めたいが、何からすれば良いか分からない
- 損益計算書や貸借対照表から経営状況を読み取る方法を学びたい
- 経理関係の業務をしているわけではないが、決算期などに自社の状況が分かるようになりたい
- 苦手な分野なので、改めて基礎から勉強したい
セットでおすすめの研修・サービス
(リーダー向け)財務研修~利益構造を理解し、成果につながる行動指標を考える
ビジネスパーソンにとって、財務諸表が読めることは様々な面でアドバンテージとなります。しかし、経理や財務部門の人と同じレベルで会計知識を身につけようと思えば、かなりの学習量が必要でその定着のためには継続的にそれらに触れ続けることが必要です。
本研修では、会計知識のうち、一般のビジネスパーソンに必要な部分だけに特化してお伝えし、財務諸表から企業の利益構造の読み解き方を知り、利益拡大につなげるためのKPI設定法を習得いただきます。
会社の数字の見方研修
ビジネスパーソンとして知っておくべき、売上・コスト・利益の基礎知識を習得し、損益や会社のお金の流れ等の数値感覚を身につけます。
演習問題を項目別に実施し、受講者の理解度を確かめながら進めていきます。
財務諸表の読み方研修~数字の意味を見通す力を鍛える
財務諸表を読めることはビジネスパーソンの基礎力です。
しかし、「実際にどこでそれらが生かされるのか今ひとつわからない」、「過去に財務会計を勉強する機会はあったが、結局身についていない気がする」というのが、経理職以外の方の本音ではないでしょうか。
そのような声にお応えして本研修では、財務知識が役立つシーンを具体的に解説しながら、実務で使える財務諸表の読み方を習得します。
営業職や事業部門の方が、財務諸表を読めることによって得られるメリットを4つに絞ってお伝えします。
<4つの理由>
- 経営トップが打ち出す方針の意図が分かる
- 比較をすることで営業活動を評価できる
- どこを改善すればもっと儲かるかが分かる
- 取引先の信用力や購買力が分かる




