レジリエンスを鍛える3つのポイント~折れない心でストレスと向き合う

困難にぶつかった時や失敗した時は、「不安を抱く」「困難を避けようとする」など、人によっても反応はさまざまです。ただ、自信を持って前に進むビジネスパーソンには、困難をチャンスに変えて成長するための「レジリエンス」が備わっています。

本記事では、メンタルヘルス研修の年間受講者数2万人以上の実績がある弊社のノウハウをもとに、しなやかにストレスと向き合い、回復力を身につけるための、レジリエンスの鍛え方をお伝えします。また、レジリエンスを鍛える目的や、職場のレジリエンスの高め方も合わせてご紹介します。

レジリエンスとは

(1)レジリエンスとは~「精神的回復力」

レジリエンス(resilience)とは、脆弱性(vulnerability)の反対の概念であり、自発的治癒力を意味します。回復力、復元力、跳ね返りなどとも訳されます。
もともとは物理学の用語として用いられ、「外力による歪みを撥ね返す力」として使われ始めました。一度踏まれたり、押しつぶされたとしても、すぐに立ち直り、復活するイメージです。

インソースでは、レジリエンスを「困難にぶつかっても、しなやかに回復し、乗り越える力(=精神的回復力)」と定義しています。逆境や困難から素早く立ち直る「打たれ強さ」を身につけることで、さらなる成長を目指すことができます。

(2)レジリエンスは、全てのビジネスパーソンに求められる

レジリエンスを鍛えることで、仕事の失敗や責任などでストレスがかかっても心の健康を保ち、ストレスを自分の成長につなげる力が身につくと考えられています。レジリエンスは、全てのビジネスパーソンにとって必要なスキルであり、人生を豊かにするための土台となります。

(3)レジリエンスは、トレーニングで鍛えられる

元々、レジリエンスが高い人もいるかもしれませんが、レジリエンスは大人になってからでもトレーニングをすることで鍛えることができます。物事の捉え方を変えてみたり、自分の強みを把握したりすることで、鍛えることが可能になるのです。

(4)レジリエンスが高い(打たれ強い)人の特徴

レジリエンスが高い(打たれ強い)人には一般的に以下のような特徴があります。

  • 失敗しても、それを糧に成長することができる
  • メンタルが落ち込んでからの復活が早い
  • 困難なミッションに対して、「自分は達成できる」と思い、挑戦する
  • 自分の強みや弱みを理解している
  • ありのままの自分を受け入れている
  • 他人と自分を安易に比較しない

レジリエンスを鍛える目的

(1)心の健康を保ち、ストレスと上手に付き合う

レジリエンスを鍛える目的の一つに、社会人の心の健康の問題が挙げられます。仕事の質・量、仕事の失敗、対人関係などで悩み、強いストレスを感じている方が多く、強いストレスを受け続けることで心身の不調が現れ、そのまま放置するとうつ状態になることもあります。

強いストレスを感じることによるメンタル不調は、組織においても大きな課題となっています。ストレス社会で働く現代のビジネスパーソンにとって、上手にストレスに対処しつつ、メンタルを回復させる力は不可欠です。

(2)ストレスを自分の成長につなげる

ストレスに対してマイナスのイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。しかし、ストレスは物事の捉え方や、自分の心の持ち方を変えることで、プラスの力に変えることができます。レジリエンスを鍛えることで、ストレスを成長のためのチャンスと捉えられるようになり、より自身の成長を加速させることができます。

新人・若手に求められるレジリエンスとは

(1)新人・若手が乗り越えなければならない逆境

新人や若手のうちは、初めて経験することが多く、ときには失敗をして、大きな壁に直面することもあります。自身が担当する仕事だけでなく、担当外の業務に関する問い合わせ対応、緊急のクレーム対応、締め切り間近の突発的な業務など、日々新たな業務や課題に直面します。新人・若手のうちに経験する失敗や困難を上手に乗り越えるためにも、レジリエンスは重要です。

(2)新人・若手にレジリエンスが求められる背景
~早期離職・メンタル不調の防止

たった一度の失敗で心が折れてしまい、貴重な成長のチャンスを掴めずに離職したり、メンタル不調を起こしてしまったりする新人・若手が増えています。せっかく苦労して採用した新人・若手が早期に離職してしまうことは、組織にとっても大きな痛手です。新人・若手のうちに、物事をポジティブに捉える楽観性や、自尊感情の高め方を知っておくと、成長・挑戦するための土台をつくることができます。

(3)イマドキ世代の新人・若手の特徴

イマドキ世代の新人・若手には、以下のような特徴があるようです。これらの特徴が、新人・若手の成長を阻む要因にもなっています。

失敗が怖く、挑戦するのが苦手

社会人として、年月を積み重ねてくると、「あの失敗があったからこそ、成長できた」という経験があるかもしれません。しかし、新人・若手の場合、失敗して成長した経験があまりなく、失敗は悪いものとして捉えてしまう人も多いです。失敗をした時には、反省することも大切ですが、「この経験で、一歩社会人として成長できた」と前向きに捉えることで、成長することができます。

空気を読んで行動する

「目立つことはリスクである」と考え、周りを気にしてしまい、空気を読んで行動する人が多いようです。もちろん、周りに配慮することはビジネスパーソンにとって必要なスキルですが、空気を読みすぎてしまうことは、ストレスにもつながってしまいます。「ありのままの自分」を肯定し、周りを気にしすぎないためにも、レジリエンスを鍛えることは有効です。

このように、イマドキ世代の特徴をふまえると、新人・若手のうちにレジリエンスを高めておくことが成長を促す、ということが分かります。

リーダーに求められるレジリエンスとは

新人・若手が身につけておくべきレジリエンスと、リーダーが身につけておくべきレジリエンスには違いがあります。ここでは、リーダーにレジリエンスが求められる理由と、リーダーレジリエンスの高め方をお伝えします。

(1)リーダーにレジリエンスが求められる3つの理由

リーダーには乗り越えるべき壁が多い

目標達成へのプレッシャーなど、リーダーには乗り越えるべき壁が多く存在します。レジリエンスがあると、壁を乗り越える時の助けになります。「自分には価値がある(自尊感情)」「私はできる(自己効力感)」と感じることで、メンタルを安定させて仕事ができるようになります。

多忙やプレッシャーによるストレスから自分を守る

レジリエンスを高めることは、多忙やプレッシャーによるストレスから自分を守ることにつながります。日々膨大な業務やプレッシャーと向き合うリーダーにとって、気持ちを切り替え、成長実感を得ることは、自分が率いるチームのレジリエンス向上にもつながります。チームのレジリエンスが高まることで、チームも成長します。

配慮すべきステークホルダーが多い

自分より年上の部下への指導、他部署との難しい調整や役職が高い人とのやり取りなど、リーダーには配慮すべきステークホルダーに接する機会が数多くあります。様々なステークホルダーに配慮しながら交渉したり、業務を遂行する中で、ストレスを抱え込んでしまうこともあるようです。

(2)リーダーは3つの視点からレジリエンスを高める

新人・若手は、まず自分のレジリエンスを高めることが求められます。一方でリーダーは、自分のレジリエンスに加えて、部下やチームのレジリエンスも高めなければなりません。つまり、リーダーは自分・部下・チームの3方向からレジリエンスを高める必要があるのです。

自分のレジリエンスを高める

リーダー自身のレジリエンスが高い状態でないと、部下やチームのレジリエンスにまで配慮することはできません。まずは、自分のレジリエンスを高い状態に維持し、困難な仕事をタフにこなす土台を作ることが大切です。
また、リーダー自身にレジリエンスがあるかどうかは、他のメンバーにも影響を与えます。困難な仕事が来た時にネガティブな発言をしたり、失敗した時に逃げるような行動・態度をとると、他のメンバーに悪影響を及ぼしてしまいます。

部下のレジリエンスを高める

「失敗した時に立ち直れずに、落ち込んでしまう」「叱られることに慣れておらず、全否定されたと思い込んでしまい、やがて会社に来なくなってしまう」という新人・若手も多いです。部下のレジリエンスを高い状態に維持することはリーダーの仕事です。リーダーは部下の感情コントロール力、自尊感情や自己効力感を高めることが求められます。

チームのレジリエンスを高める

チーム全体のレジリエンス向上の鍵を握るのはリーダーですが、自身のレジリエンスが高いだけでは不十分です。困難を乗り越えるための土台となる職場をつくり、チームのレジリエンスを高めるには、リーダーが広い視野を持ってチーム全体を見ることが重要です。

レジリエンスを鍛えるポイント①
~感情をコントロールする

仕事をする中で、苦しいことや辛いことがあったときに、そこから柔軟に回復するためには「感情をコントロールする力」が不可欠です。一度の失敗から「もう私はダメかもしれない」とマイナスの感情に囚われてしまうと、気持ちを切り替えられなくなってしまいます。結果として、せっかくの成長のチャンスを逃してしまうかもしれません。ここでは、感情をコントロールするための考え方をお伝えします。

(1)ABCDE理論を活用し、捉え方を変える

ABCDE理論とは

感情をコントロールするために有効な考え方として、「ABCDE理論」があります。ABCDE理論とは、1955年にアルバート・エリス(Albert Ellis)が提唱した心理療法です。ABC理論とも呼ばれます。

目の前の状況は、自分の考え方一つで良いものにも悪いものにもなります。ABCDE理論を活用することで、思考パターンを否定的なものから肯定的なものに変え、自分の感情をコントロールできるようになります。

  • A(Activating Event)=状況 出来事
  • B(Belief)=考え方 受け取り方 ものの見方
  • C(Consequence)=感情 (感情によって誘発される)行動
  • D(Dispute)=非合理的なBに対する反論
  • E(Effect)=Dによる効果

出来事(A)は、考え方やものの見方によって解釈を与えられ(B)、その結果が感情や行動(C)を引き起こします。考え方(B)が否定的な思い込みであれば、必要以上に落ち込んだり、怒ったりと非生産的な気持ちや行動をとってしまいます。

不安や不満などの感情によって引き起こされる非生産的な感情や行動(C)の原因は、状況や出来事(A)そのものだと思いがちです。しかし実際は、(A)に対する考え方(B)が、(C)を引き起こしています。起こってしまった出来事を変えるのは難しいかもしれませんが、それに対する解釈や受け取り方(B)を変えることで、(C)の感情や行動を変えることができます。

大切なのはD(非合理的なBに対する反論)を考えること

(D)では、非合理的な解釈(B)に対して、客観的な反論をします。それによって、出来事や状況(A)を多面的に見られるようになり、(E)のような適切な感情や行動が生まれるようになります。

以下の例でABCDE理論を体感してみましょう。たとえば、提出した提案書に対して、お客さまから「ヒアリングの内容が反映されていない」とフィードバックがあったとします。それに対し、「批判されることは悪いこと」と捉えてしまうと、「自信喪失。この仕事は向いていないかもしれない」と感じてしまうかもしれません。
そこを一歩踏みとどまって「フィードバックしていただけることは、より良い提案への一歩である」と捉えたらどうでしょうか。「上司に相談して、フィードバックを反映させたより良い提案をしよう」という前向きな行動につながるかもしれません。

ABCDE理論の具体例

(2)自分の思考の傾向を理解する

  • 絶対に仕事で一つのミスもしたくない
  • どうせ次も失敗してしまう など

よく自分が陥る思考のクセはありませんか?「全か無か思考」や「マイナス化思考」というような思考のクセにより、自分自身を苦しめてしまうこともあります。

自分がどのような思考の傾向を持っているのか、客観的に分析・把握しておくことで、思考のクセから自分を解放し、心の健康を保つことができます。

思考の傾向の例

思考のクセの種類、全か無か思考、一般化のしすぎ、マイナス化思考、結論の飛躍、すべき思考、自己中心思考がある

レジリエンスを鍛えるポイント②
~自尊感情を高める

(1)自尊感情とは

自尊感情とは、ありのままの自分を受け入れ、自分には価値があると感じることを指します。自尊感情を高めることで、他人と比較して自分を評価するのではなく、自分の長所・短所を含めて、ありのままの自分を受け入れることができます。

(2)自分の強みを活かす

「自分の強みは何ですか」と質問されて、すぐに挙げることはできますか? 自分の強みを把握している人は、強みを活かして活躍するための土台ができています。自分の強みは何か、改めて考えてみましょう。
また合わせて、自分の弱みを強みをとして捉える力も大切です。自分の弱みは、裏返してみれば、自分の強みにもなります。自分の短所・弱みを長所・強みに言い換えてみることで、弱みを含めた、ありのままの自分を受け入れることができます。

レジリエンスを鍛えるポイント③
~自己効力感を高める

(1)自己効力感とは

自己効力感とは、困難な出来事に対して「私はできる、達成できる、乗り越えられる」と捉えて、自信を持つ力のことを指します。自己効力感が高い人は、「できない」と言ってすぐに諦めることなく、自ら困難なミッションに挑戦し、成長チャンスを生み出していくことができます。
また、困難な仕事に対しても自信を持って取り組み、楽観的に振る舞うことができると、「この人には、難しい仕事も任せられる」と周囲からの信頼を集めることができます。

(2)自分の成長を感じる

自己効力感を高めるためには、成功体験を積み重ね、自分の成長を感じることが大切です。

  • 逆境を乗り越えた経験
  • 乗り越えたことで得たもの、スキル
  • 最近上手くいった仕事

を定期的に振り返ることで、成長を実感し、「私はできる」という自信を持って働くことができるようになります。

(3)成功体験を観察して実行する~モデリング

モデリングは、「代理体験」とも呼ばれます。自己効力感を高めるための方法として有効とされています。自分が真似したいと思うお手本(ロールモデル)を立て、真似ることで、成果を上げるというものです。身近な人の成功体験を観察して、「自分にもできるかもしれない」ということを徐々に実行していきます。そうすることで、他人の成功体験を自分の成長に活かすことができるのです。

レジリエンスを高めるための職場づくり
~心理的安全性

レジリエンスの高い職場をつくるために必要なのが、「心理的安全性」の視点での職場づくりです。離職防止やモチベーション向上の観点からも、心理的安全性というキーワードが注目を集めています。

(1)心理的安全性の高い職場を目指す

心理的安全性とは、メンバー一人ひとりがチームに対して気兼ねなく発言でき、自然体の自分でいられる環境・雰囲気のことを指します。

良好な人間関係が保たれている職場環境として、「心理的安全性の高い職場」が挙げられます。周囲を過度に気にせず行動できる環境を作ることが、強いチームを作ることにつながると考えられています。

(2)心理的安全性の高い職場の特徴

心理的安全性の高い職場の特徴として、以下のようなものが挙げられます。

  • ミスをしてしまった時に、素直にチームのメンバーに伝えることができる
  • 会議をする時に、役職問わず自由に意見を発言できる
  • 困った時に、チームのメンバーに助けを求めることができる
  • チームのメンバー同士でよくほめ合っている
  • 情報の共有や意見交換が盛んに行われている
  • ネガティブな発言をする人が少ない

    例:「それは絶対に無理だと思う」「いやだな」「やりたくない」

リーダーは、部下の視点から見て心理的安全性の高い職場であるか、常日頃から確認しておくことが重要です。

(3)失敗できる環境を整える

可能であれば、失敗することは誰でも避けたいものです。特に、新人・若手の場合失敗することに慣れていないため、「失敗するくらいなら、挑戦しない」という人も多いようです。そのためリーダーが率先して、「失敗を奨励する風土」を作ることが大切です。

  • 部下が失敗したら、必ずフォローする
  • ミスした人を非難・批判せず、許容し、一緒に解決策を探る
  • 上司自ら失敗を共有する

(4)情報共有・意見交換する

心理的安全性の高い職場では、情報共有・意見交換が活発に行われています。また、情報共有が行われることで、コミュニケーションが生まれ、風通しもよくなります。リーダー自らが率先して、情報共有・意見交換を行うことで、部下からも意見が出やすくなるような環境を目指しましょう。

<最後に>

レジリエンスを高めて、前向きに仕事をするためのコツをお伝えしました。失敗やミスをしてしまい落ち込んだ時には、ぜひレジリエンスを鍛えるポイントを実践してみてください。本記事を少しでもお役立ていただければ幸いです。

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