
更新日:
ウェルビーイング
「ウェルビーイング(well-being)」とは、人が身体的・精神的・社会的に良好な状態であることです。1947年に採択されたWHO憲章で「健康」を定義する記述にこの言葉が用いられたことから、世界中に広まりました。もともとは医療・健康・福祉分野で使われる概念ですが、現在では企業経営の方向性や組織のあり方を考える際にも用いられるようになってきています。
近年、ビジネス分野でウェルビーイングが注目されてきた背景には、個人の働き方に対する価値観の多様化や、働き方改革推進や人手不足に伴い、企業がより働きやすい環境を整備する必要が出てきたことがあげられます。
特に若い世代を中心に、職場を選ぶ際、給与や待遇だけでなく、ワークライフバランスや人間関係の良さといった「働きやすさ」を重視する傾向が年々強まっています。組織全体のウェルビーイング向上に取り組む企業は、仕事と生活のバランスがとれる健全な労働環境が整っていると見られ、人材の定着や確保しやすくなります。
具体的なウェルビーイング策としては、以下の例があります。
①働きやすい職場づくりに向けたコミュニケーションの活性化
率直に意見を言える環境を整備し、感謝し合えるようなチームづくりを行う
②アンケートによる実態調査
まずは社員が望む職場環境や働き方、現在感じている不満などをアンケートで把握し、改善につなげる
③ストレスチェックテストの実施
現在、社員が抱えるストレス要因を把握し、低減に向けた施策をうつ
④福利厚生などの制度の見直し
ニーズの少ない制度を見直し、全社員が平等に受けられる支援やサポート機会をつくる
これらにより、社員が自身のウェルビーイングを実感できるようになると、働く喜びとともに自社への信頼感が増大し、帰属意識が高まります。さらに企業にとっても、モチベーションや生産性の向上が見込めるといったメリットがあります。
近年では、社員の「健康」に配慮した「健康経営」に取り組み、持続的な成長を図る企業も増えています。社員の健康は企業の財産であることを肝に銘じ、より良い組織運営を行うための指針として、ウェルビーイング向上を目指していきましょう。
Pick Up キーワード
関連キーワード
■関連記事一覧
-
-
更新
「聴いているつもり」が信頼を遠ざける~部下の本音を引き出す傾聴力とは、相手の世界を理解しようとする姿勢
リーダーやマネージャーにとって、部下との信頼関係を築くうえで欠かせないのが「傾聴力」です。本記事では今なぜ傾聴力が注目されているのか、その背景と実践のポイントを中心に本記事では紹介します。
-
-
-
更新
健康経営&DX時代に欠かせないメンタルヘルス対策~セルフケアを職場文化に根付かせる方法
ストレスチェックや集団分析による可視化、セルフケアeラーニングなどの教育、職場環境改善の仕組みを通じて、社員のメンタル不調を予防しセルフケアを習慣化。DX活用や管理職教育も取り入れ、離職防止と生産性向上を実現する健康経営の具体策を解説します。
-
-
-
更新
心理的安全性が若手の離職を防ぐ鍵~リーダーが変わることで「成長実感のある職場」をつくる
心理的安全性とは、チームの中で「自分の考えや感情を安心して発言できる状態」を指します。この安心感がなければ、人は挑戦せず、学びも起こりません。本記事では、若手社員の離職や成長と心理的安全性がどのように関係するかに焦点をあてて紹介します。
-
-
-
更新
やりっぱなしの教育から脱却~海兵隊式教育に学ぶ「即戦力」の育て方
米国海兵隊の士官養成トレーニング(OCS・TBS・IOC・PME)は、知識の徹底・実践・振り返りを重視する人材育成モデルです。本記事では、海兵隊式教育の構造をわかりやすく解説し、インソースがその考え方をもとに設計した研修プログラムを紹介します。
-
-
-
更新
経営陣が「ワーク・ライフ・バランス」を重視すると組織が鈍化する理由~リーダーの熱量と密度が組織を動かす
経営陣が自らワーク・ライフ・バランスを重視し、仕事の優先度を下げてはいけない。経営陣がほどほどに働くようになると、組織は静かに熱を失い、競争力を落としていく。経営陣に必要なのは、部下の管理職がよく働きたいと感じられる職場をいかにつくるかである。
-
-
-
更新
アセスメント統計からみる上級管理職の「経営視点不足」~財務・マーケティングの強化とアセスメント活用法
本記事では、アセスメントで明らかになった上級管理職の財務・マーケティング課題と、個人差を踏まえた育成手法を解説します。
-
-
-
更新
クレーム対応・謝罪訪問も任せられる上司になる~部下の不安を和らげるには
クレーム対応や謝罪訪問などの心理的負担の大きい仕事を、部下に安心して任せるための上司の関わり方を解説します。サポート体制や目標設定の工夫を通じて、不安を自信に変える方法を学びましょう。
-
-
-
更新
「仕事を任せたいのに任せられない」上司のための処方箋~部下が負担を感じる3つの要因とその対処法
仕事を任せる力は、上司自身の成長にもつながるスキルです。部下本人が難しいと感じる仕事でも、任せられて取り組むことで、その経験が成長につながることは言うまでもありません。上司・リーダーであるみなさんはそのことを踏まえ、部下の不安を受け止めつつ支援していく必要があります。
-
-
-
更新
共感疲労とは何か~「寄り添いすぎて壊れる」従業員を守る人事部の実践策
共感疲労(コンパッション・ファティーグ)は、福祉や医療職だけでなく、顧客対応やチーム支援に尽力する多くの社員が陥る可能性があります。本記事では、共感疲労の兆候・背景を解説し、人事部門が取るべき予防・支援策を具体的に紹介します。
-
■関連研修シリーズ









