インソース マーケティング&デザイン室

「何が言いたいの?」と言われないビジネス文書を書くための4つのテクニック

新人や、自己流で長く文書作成を続けてきた方ほど、「文書を分かりやすく書くのは難しい」「作成に時間がかかる」という悩みを抱えがちです。

本記事では、読み手を動かす文書を短時間で作成するためのポイントを解説します。

「読者の時間を奪う」3大NG

目的意識の欠如:何のために書くのかが曖昧

「とりあえず報告しておこう」「言われたから議事録を作った」という意識で書くと、読み手にとっての「読むメリット」や「必要なアクション」が見えません。結果として、読者の時間を奪うだけの文書になってしまいます。

自己満足の情報の羅列:読み手の視点が完全に抜け落ちている

上司や取引先が知りたいのは、「あなたが頑張ったプロセス」ではなく、結論次に何をすべきかです。読み手が「今、どのような立場で、何を知りたがっているか」という視点を持ちましょう。

構成力ゼロの文章:伝えたいことがバラバラで論理破綻

結論がどこにあるのか分からない、話があちこちに飛んでいる、具体例と抽象論が混ざっているなど、文書全体の「骨格」がない状態です。これは作成者自身も文書に時間がかかる原因となります。

相手に次のアクションを促すための「読み手目線」

読み手の目線に立つことが、文書を作成するうえで最も重要です。読む相手の知識レベルに合わせ、目的に合った文書のトーン(指示書なら簡潔、報告書なら論理的に)を選びます。

箇条書きや見出しを活用し、パッと見て内容が把握できるよう視認性を高めます。

「結局何が言いたいの?」と言わせないための4つのポイント

1.結論ファーストを徹底!主張を通すテクニック「PREP法」

結論ファーストを徹底することが、論理的な構成の核となります。推理小説のように最後に答えを出すのではなく、PREP法に則り、結論を先に提示しその根拠を補強していくというロジックで組み立てます。

  1. 結論(Point):最初に最も伝えたいことを断言する
  2. 理由(Reason):なぜその結論に至ったのか、簡潔に理由を述べる
  3. 具体例(Example):理由を裏付けるデータ、事例、事実を補足し、説得力を持たせる
  4. まとめ(Point):最後に要点をまとめて強調する

Point(結論)から書き始めることで、読み手は文書全体を読む前に、ゴールを理解できます。読み手の時間を節約し、「なぜその文書を読む必要があるのか」を瞬時に理解させることができます。

2.「一文一義」を徹底し、読み手の脳内処理速度を上げる

文章が読みにくい最大の原因は、一つの文に複数の情報や論点が含まれていることです。読み手は一つの文を読むたびに、脳内でその文の情報を処理し、次の文へと進みます。

複数の情報が混ざっていると、脳内処理に負荷がかかり、内容理解が遅れるのです。文の途中に「、」が多くなり始めたら要注意です。文の途中で思い切って句点を打ち、読者にストレスを与えない文章作成を心がけてください。

3.6W3Hで情報を網羅する

読み手が知りたい情報を過不足なく網羅し、論理的な流れを作るには、6W3Hを明確にすることが大切です。特に、報告書や議事録のような情報伝達を主目的とする文書では、6W3Hが抜け落ちていないかを確認しましょう。

  • Who(誰が):関係者、アクションを起こす人
  • What(何):事実、結論、提案内容
  • When(いつ):時系列
  • Where(どこで):場所
  • Why(なぜ):背景、問題の原因、結論に至った理由
  • Whom(誰を):関係者
  • How(どのように):具体的な手順、次の一手
  • How much(いくら):金額
  • How many(いくつ):数量

4.曖昧語を排除!「できるだけ」「なるべく」を具体的な数値に置き換える

誤解を防ぐための鉄則は、「計測できる言葉」を使うことです。特に指示や依頼をするメールや報告書では、曖昧な表現は致命的です。

NG例:「早めに資料を提出してください」
OK例:「〇月〇日15時までに資料を提出してください」

NG例:「なるべくミスを減らします」
OK例:「〇%改善を目指し、二重チェック体制を導入します」

これらの曖昧な言葉は、書き手の自信のなさや逃げの姿勢を相手に感じさせてしまいます。ビジネス文書では、「6W3H」を意識し、特に「いつ(When)」と「何を(What)」を明確に定める習慣をつけましょう。

メール・議事録・報告書で役立つ「伝わる」表現テクニック

議事録

会議の出席者、日時、決定事項などの羅列で終わらせず、決定事項保留事項次回までの宿題(誰が何をいつまでに)の3点を明確にハイライトすることがおすすめです。

特に、「誰が」「何を」「どうする」という「アクション」に関わる部分は、太字にするなどの工夫をします。

報告書

読み手が知りたいのは、「事実」の羅列ではありません。読み手が判断を下すために必要な事実(何が起こったか)とそれに対する解釈(なぜそうなったか、それが何を意味するか)、そしてあなたの提言(だからどうすべきか)の3層構造で書きましょう。

これにより、単なる報告ではなく、建設的な提案文書へと昇華させることができます。

メール

1通のメールで伝えるメッセージは、原則1つに絞ります。特に重要なのは件名です。件名には、【要返信】や【ご確認】といった必要なアクションと、「〇〇に関する提案書送付のお知らせ」のように具体的な内容を凝縮させましょう。

件名を読んだだけで、読み手がメールの重要度と内容を把握できるようにします。

文書作成にかかる時間を半分にするための「型」の活用法

ビジネスで作成する文書の9割は、報告・連絡・提案・お礼など、決まった目的に分類できます。これらの目的ごとにを活用することで、文書作成のスピードを上げることができます。

  • メールの型:謝罪、お礼、アポイントメント、資料送付など
  • 報告書の型:日報、出張報告、経過報告など
  • 提案書の型:課題提起型、製品紹介型など

これらの型を「目的別」にストックし、慣れるまでは「型」を徹底的に真似ることから始めましょう。型に慣れてくると、「この情報はどこに書くべきか」が自動的に判断できるようになり、文書の構成に悩む時間がゼロに近づきます。

まとめ:文書作成能力の向上が、組織全体の生産性をあげる

文書作成は、若手・ベテラン問わず、あらゆる職種や業務で求められるスキルです。

「何を伝えたい文書なのかわからない」「メールを書くのに大きな労力を割いている」「部下の文書を添削するのに時間がかかる」などの課題を解決することは、組織全体の生産性向上に直結します。個人の文書作成スキルを向上し、上司が部下の文書を正しく指導できるようになることが大切です。

ビジネス文書研修~一生ものの書く技術

本研修では、読み手を意識することを大前提としたうえで、相手にわかりやすい文書作成の方法を学びます。

主語・述語や一文あたりの文字数といった基本的な構成ルールをはじめ、送付状や案内状などの社外文書の基本的な型など、自信をもって文書作成するためのスキルの習得を目指します。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 相手に分かりやすく伝えるための文書を書くのが難しいと感じる
  • 議事録や報告書を書き慣れていないために、作成するのに時間がかかる
  • 部下に文書作成を依頼しても、欲しい情報が全く書かれていない

研修のゴール

  • 相手が一目見て内容を把握できる書き方を理解する
  • 日常業務で報告書や議事録などを自分で作成することができる
  • 相手の知りたい内容が過不足なく書かれた文書を作成できる

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

>動画教材の詳細はこちら

セットでおすすめのサービス

ビジネス文書レベルアップ研修~相手が唸る文書の書き方

ミドルクラスのビジネスパーソンには、新人・若手に求められるような最低限のレベル以上の文書作成力が求められています。

上司が思わず「唸る」ような説得力のある文章や、一目でお客さまの心を動かすような文章を作成する、あるいは部下の書いた文書を添削するという立場にある方もいらっしゃるでしょう。

本研修では、こうしたケースごとの文書に関わる作業のポイントを踏まえ、必要なスキルをワークで実際に手を動かしながら習得することで、総合的な文書作成力の向上を目指します。

>公開講座の詳細はこちら

>講師派遣型研修の詳細はこちら

>動画教材の詳細はこちら

ビジネス文書研修テキスト販売

研修で実際に使用している研修テキストの販売を行っています。

社会人に欠かせない「書く」スキルを1日で身につけられる内容となっているため、ビジネス文書研修を組織内で企画・実施したいとお考えの組織の皆さまには、最適なテキストです。

>ビジネス文書研修テキスト販売の詳細はこちら

文書添削サービス

ビジネスシーンにありがちな文書作成課題を実際に作成してもらい、受検者一人ひとりに個別のフィードバックを行うサービスです。

文書作成スキルを定着させるには、研修やテキストで学ぶだけではなく、自分が書いた文書を第三者にフィードバックしてもらうことがなによりも有効です。

課題・改善点を把握して、作成を繰り返すことで、実践的な力が身につきます。また、分かりやすい文章を書くトレーニングをすることで論理性も鍛えられます。

>文書添削サービスの詳細はこちら

関連記事

関連研修シリーズ