「メニューが見づらい」と売り上げダウン?~ユニバーサルデザインで注文数アップ!

飲食店経営において、料理の味や価格だけでなく「メニューの見やすさ」も売上に影響を与える要素です。メニューが見づらいと、注文をすることそのものが高いハードルとなって、売上を上げる機会を逃してしまう可能性があります。
本記事では、飲食店が取り組むべきメニュー改善の具体策としてユニバーサルデザインを紹介し、売上アップとターゲット顧客の拡大を実現する方法を解説します。
選ばれる飲食店は「伝わるメニュー」を持っている
ここで一度、視点を少し広げて考えてみましょう。そもそもビジネスにおけるよい資料とは、最小の労力で読み手に伝える・理解させる・行動させることができるものです。飲食店にとってのメニューは、料理を紹介するだけでなく、店のコンセプトや雰囲気を表現する重要な媒体といえます。
見づらいメニューが招く3つの機会損失~客単価の低下/ターゲットの縮小/回転率の低下
- 注文の迷いによる客単価の低下
写真や文字が見づらいと、お客さまは正しく比較できず、「まあこれでいいか」と無難な低価格商品を選びやすくなります。 - ターゲットの縮小~高齢者や外国人客などの離脱
小さな文字や専門用語の多い表記は敬遠されます。 - 回転率の低下
お客さまが注文を決定するまでに時間がかかり、店全体の効率が落ちることがあります。
このように、メニューは単なる情報提供ツールではなく「売上を左右する大事な営業ツール」です。その作りが読み手にとって心地よくないことは、自分はこの店に歓迎されていないと残念な気持ちを抱かせてしまいます。
自分だけの基準で「良いメニューとは」を考えてはいけない
人によって視力も好みも異なります。ということは、たとえ店舗責任者であっても、一人の判断だけで「良いメニュー」を定めることは危険です。では、多くのお客さまに不快な思いをさせない「最低限満たすべき基準」というのは、どのように定義づけられるのでしょうか。
誰にとっても見やすい・読みやすい・わかりやすいを示すことのできる3つの指標
その答えのヒントとなるのが、「視認性」「可読性」「判読性」という3つの指標です。これらはいずれも、どれだけ情報が読み手に伝わりやすいかを示すもので、この3つの程度が高いほど、読み手にとってわかりやすく、快適なメニューになります。
- 視認性(見やすさの程度)
文字や文章に限らず、目に見えるすべてのものに使われます。明度に大きく関係し、明度差が大きいほど見やすく、小さいほど見にくくなります。× インソース ○ インソース
- 可読性(読みやすさの程度)
文字が小さすぎないか、重なっていないか、にじみやつぶれがないかなどを指します。
<×:狭い行間の例>
そもそもビジネスにおけるよい資料とは、最小の労力で読み手に伝える・理解させる・行動させることができるものです。飲食店にとってのメニューは
<○:適切な行間の例>
そもそもビジネスにおけるよい資料とは、最小の労力で読み手に伝える・理解させる・行動させることができるものです。飲食店にとってのメニューは
- 判読性(わかりやすさの程度)
そこに書かれている内容を初めて見る人でも理解しやすいかどうかを指します。紛らわしかったり、区別がつきにくかったり、誤読される可能性がある場合は判読性が低いといえます。
<×:判読性の低い例>
- 「ランチセット(ドリンク付き)」と「ランチドリンクセット」など、内容が曖昧
- 「辛口カレー(中)」と「中辛カレー」が並んでいるなど、区別がつきにくい
○:判読性の高い例>
- 「ランチセット(メイン+ドリンク)」のように、内容を具体的に記載
- 辛さを「★1=甘口」「★2=中辛」「★3=辛口」と段階で示す
ユニバーサルデザインの考え方も用いて「良いメニュー」を再考する
これらの指標を高めるうえで注目すべきなのが、「ユニバーサルデザイン」の考え方です。ユニバーサルデザインとは、年齢や障害の有無にかかわらず、誰もが使いやすいデザインの考え方です。飲食店のメニューに応用することで、幅広いターゲット顧客にとって選びやすい環境を整えられます。
文字と配色を工夫する
- 文字サイズは12~14ポイント以上を基本とし、見出しはさらに大きめにする
- 背景と文字のコントラストを高め、赤文字に赤背景のような組み合わせを避ける
- 漢字にふりがなをつける、英語と日本語を併記するなど多様な客層に対応する
<文字サイズ>
32ポイント:もっとも読ませたい文字
20ポイント:読ませたい文字
14ポイント:後で読んでほしい文字
10.5ポイント:読まなくて良い文字
写真とアイコンで直感的に伝える~文字に頼らない伝達方法
- 料理写真を掲載し、視覚的に料理内容を理解しやすくする
- 辛さやボリューム感などはアイコン化することで、言語を超えて理解できる
メニュー構成を整理する~情報をまとめて労力をかけさせない
- おすすめや人気メニューを最初に配置し、選びやすくする
- カテゴリーごとに分け、ページ数を必要以上に増やさない
- 価格表示は揃えてレイアウトを整える
こうした工夫により、メニューは情報提供の役割を超え「売れるための仕組み」として機能します。
改善の優先順位を考える
改善を進める際は、優先順位をつけて段階的に取り組むことが現実的です。
第一歩として「文字サイズ」と「色のコントラスト」の改善を行い、その後「写真の追加」、「説明文の見直し」へと進むと効果が出やすくなります。季節メニューの切り替えや印刷更新のタイミングに合わせて段階的に進めることで、すり直しの手間やコストを抑えつつ、確実に品質を高めることができます。
飲食店において、メニューのユニバーサルデザインと視認性を意識した工夫は、幅広い客層にとって利便性を高めるだけでなく、注文数や来店回数に直結します。文字の読みやすさ、色使いの明快さ、写真の適切な活用などを組み合わせることで、店舗全体の魅力が高まります。
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- 読み手の目線に立って、必要な情報を整理し、資料を構成できる
- 資料のゴールを設定し、必要な情報やデザインを論理的に決定できる
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