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メール・チャットをちゃんと読んだのに仕事がズレる6つの理由|「伝わらない・かみ合わない」を防ぐシリーズ7

誤解の原因は文章力だけではない

「書いてあるとおりに対応したのに、意図と違うと言われた」「この一文、どう受け取るのが正解だったのか分からない」メールやチャットが当たり前になった職場では、日常的にこうした違和感を覚えます。

対面であれば表情や声のトーンから自然に補えていた情報が、文字だけになると一気に見えなくなるためです。このとき問題にされがちなのは、「文章力が足りない」「もっと丁寧に書くべきだった」といった書き手側のスキルです。しかし、研修現場で起きているトラブルを見ていると、誤解の多くは読み手側の判断プロセスでも生まれています。

文字情報をどう読み取り、どこまでを事実として受け止め、どこからを確認すべきか。この視点が共有されていないことこそが、「ちゃんと読んだはずなのに回答・行動がズレる」の正体です。ここでは、テキストコミュニケーションで誤解を防ぐために欠かせない6つの解決ポイントを、現場視点で整理します。

解決のポイント①曖昧語は判断しない~「至急」「なるべく早く」で動かない

テキスト上の誤解は、曖昧な言葉から始まります。「至急」「なるべく早く」「念のため」「お手すきで」。どれも便利ですが、受け取る側によって解釈は大きく変わります。ここで必要なのは、言葉を知っていることではありません。その言葉だけでは判断できないと気づく力です。

現場で誤解が起きやすいのは、「分かっているつもり」で判断してしまう場面です。例えば、「なるべく早く対応をお願いします」と書かれた依頼を受け、他の業務を後回しにして即対応したところ、「今日中じゃなくてよかったのに」と言われてしまう。一方で、別の人は同じ文面を「急ぎではない」と解釈し、数日後に着手して注意を受ける。どちらも、文面以上の情報を無意識に補完して判断してしまった結果です。判断できない状態で動かない。この冷静さが、誤解を防ぎます。

解決のポイント②これは依頼か共有か~文章の役割を先に見抜く

文章を読んでモヤっとするとき、その原因は感情ではなく構造の不明確さにあります。例えば、「〇〇の件、△△の理由で対応が難しそうです」という文章を受け取ったとき、

  • 状況共有なのか
  • 判断を仰がれているのか
  • 代替案を求められているのか

が書かれていないと、受け手は迷います。結果として、「何も返さなかったら、対応する前提だと思われていた」というズレが生まれがちです。構造把握力がある人は、文章を雰囲気で読みません。要件・理由・期限・求める対応がそろっているかを確認し、欠けている場合は「まだ判断できない」と止めます。

重要なのは、「読めたかどうか」ではありません。その文章だけで、行動を決められるだけの情報がそろっているかが判断基準になります。

解決のポイント③行間は相手の立場や状況、制約条件を前提で読む

文脈把握力とは、行間から真意を読み取る力です。ただし、行間を読むのに必要なのは、感情を想像することではありません。相手の立場や状況、制約条件を前提に読み取ることです。

例えば、普段はフランクなチャットでやり取りしている相手が、急に丁寧なメールで依頼を送ってきた場合。「何か怒らせたのでは」と感情を想像してしまいがちですが、実際には

  • 関係者をCCに入れる必要があった
  • 後から確認できる記録を残したかった
  • 上司への説明が必要だった

といった業務上の事情であることも少なくありません。「怒っているのでは」と感情を先読みするのではなく、なぜこの手段、この表現、このタイミングなのかを状況から考えます。これが、ズレない行間の読み方です。

解決のポイント④「どういう意味ですか」と曖昧な答えが返ってくるような質問をしない

どれだけ丁寧に読んでも、分からないことは必ず残ります。そのときに必要なのが、判断を相手にゆだねる質問です。例えば、「〇日までに対応可能でしょうか」と書かれている場合、「可能です/できません」だけを返すと、優先度や進め方の認識がズレたままになります。

一方で、「本日中に着手が必要か、今週中対応で問題ないか」と聞き返すことで、判断の前提条件を相手に明確にしてもらえます。実務で有効なのは、選択肢を示して確認する聞き方です。判断の責任を相手に戻し、手戻りを防げるからです。

解決のポイント⑤連絡手段には理由がある~なぜ電話なのかを考える

メール、チャット、電話には、それぞれ役割があります。記録が必要ならメール、スピード重視ならチャット、認識合わせや感情が絡むなら対話。トラブルの多くは、この基準が個人任せになっていることから生まれます。実際の現場では、相手の性格ではなく内容と状況で手段を選び直す視点が重視されます。例えば、メールで済みそうな内容なのに、あえて電話がかかってきた場合。それは

  • 細かい条件調整が必要
  • 誤解が起きやすい内容
  • 相手が即判断を求められている

といった背景がある可能性があります。「なぜこの手段なのか」を考えられるだけで、受け取り方は「突然の割り込み」から「意図ある連絡」に変わります。

解決のポイント⑥こじれたら文字をやめる~対話に切り替える判断

テキストで完結させようとするほど、誤解のリスクは高まります。メールの往復が増え、「言った・書いた」「そういう意味ではなかった」というやり取りが続き始めたら要注意です。そのまま文章を重ねても、論点が増えるだけで、認識はそろいません。そんなときは、意識的に対話へ切り替える判断が必要です。

実際の現場では、関係性を立て直す行動として対話をしていくことが重要になります。顔を合わせることは非効率ではありません。長期的に見れば、最も効率的な誤解防止策になることもあります。

文字だけの時代に必要なのは「正しく読む力」と「つなぎ直す力」

テキストコミュニケーションの質は、文章のうまさでは決まりません。読み取る力と、判断をつなぎ直す力で決まります。

  1. 語彙を疑う
  2. 構造を分ける
  3. 状況から読む
  4. 判断を止めて聞く
  5. 手段を選び直す
  6. 必要なら対話に切り替える

この6つを共通認識にできるかどうかが、ズレる職場とズレない職場の分かれ目です。

読む力・つなぐ力を、組織の共通スキルにするために

ここまで見てきたように、メールやチャットでの誤解は、個人のセンスや気配りの問題ではありません。語彙力・構造把握力・文脈把握力といった「読み取る力」と、質問力や手段選択といった「つなぎ直す力」を、組織として共通言語化できているかどうかが大きな分かれ道になります。

もし、

  • 人によって受け取り方や判断がバラついている
  • テキスト上のすれ違いが、何度も起きている
  • 「ちゃんと書いた/ちゃんと読んだ」の水掛け論になりがち

こうした課題を感じているのであれば、スキルを個人任せにせず、体系的に整理・定着させることが有効です。文字だけのコミュニケーションが主流になった今だからこそ、 「うまく書ける人」を増やすだけではなく、「ズレに気づき、修正できる組織」をつくることが重要です。その第一歩として、こうした研修・コンテンツを活用してみてはいかがでしょうか。

コミュニケーション最適化研修 ~バランスの取れた意思疎通で生産性を高める

「伝えすぎ」「察しすぎ」といった偏りを見直し、相手・状況・目的に応じた「ちょうどいい」意思疎通を実現する研修です。

テキスト・対面を問わず、コミュニケーション全体を俯瞰して整えたい組織に適しています。バランスの取れた意思疎通を実現するのに、おすすめしたい研修です。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 気づくといつも、メールや電話・会話をしていて仕事が前に進まない
  • 相手にうまく意図を伝えられずに話が冗長になったり、ロングメールになってしまったりする
  • コミュニケーション時間をかけただけの成果が出ていない気がする
  • 相手の話が長いと聴くのが面倒になる。早く用件を引き出して、会話をうまく終わらせたい

本研修のゴール

  1. 「やりすぎ・少なすぎ」のコミュニケーションの弊害を理解し、職場のムダを発見する
  2. 仕事を効率よく進める適切なコミュニケーションに必要なことや実践方法を身につける
  3. コミュニケーションが難しい相手ともうまく対応できる

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読解力研修 ~意図を正しく理解し、次の行動を読み解く

曖昧な文面や情報不足の状態でも、「何が分かっていて、何が分からないのか」を整理し、適切な次の行動につなげる力を養います。

メールやチャットでの認識ズレを根本から減らしたい場合に有効です。

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共感力~リモート時代の関係性構築の鍵、共感力で信頼性と心理的安全性を担保する

「相手が見えない」時代の関係構築力を高める研修です。

テキスト中心・リモート中心の環境では、相手の感情や背景に意識を向ける力が、信頼関係の土台になります。本コンテンツでは、共感力を「気持ちの問題」ではなく、再現可能な行動として学ぶことができます。

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(新入社員・新社会人向け)テキストコミュニケーション研修

メールやチャットなど、すべてのテキストコミュニケーションを磨きたい方へおすすめの研修です。

個別テクニックではなく、設計と判断材料の渡し方まで含めた実践的な力を身につけたい場合はこちらの研修が最適です。

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