エクセル初心者が知っておくべき「他人に優しい」操作術~書式破壊・ファイル迷子に終止符を!

「他の人が作ったファイルは、何をどのように操作していいか分からない」
「ちょっと編集したつもりが、うっかり数式や書式を壊してしまった」
パソコン操作そのものに不慣れな方にとって、複雑な機能を持つエクセルは、まさに「ビジネスの壁」のように立ちはだかる存在です。しかし、エクセルに必要な基本操作とは、高度な関数やマクロではなく、他人にとって使いやすいファイルを作ることに尽きます。
ファイルを制して、パソコン操作に自信をつける
エクセルの操作以前に、パソコン操作自体に不安を感じている方も少なくありません。「パソコンに強い」とは、必ずしも難解な裏技を知っていることではありません。パソコンに強いとは作業の再現性と安定性を確保できている状態のことです。
ファイルは壊れることがある
作業を始める前にまずバックアップをとりましょう。バックアップと言っても、難しい操作は不要です。特に誰かが作った既存のファイルを編集するときに元の状態を「別名保存」をしてから作業を開始することです。ファイルをコピーして、作業ファイルをは名前を変えて保存します。これだけで作業中にファイルを破壊してしまったときの保険になります。
作業を1つ戻す「元に戻す(Ctrl+Z)」機能を過信してはいけません。戻れなくなることも、ファイル自体が壊れることもあります。しかし、作業前に元のファイルをコピーし、別名で残しておくことで、作業前の状態から、いつでもやり直すことができます。これは自分の作業の途中であっても使える技です。
一目瞭然のネーミングルールでファイルを整理整頓する
他の人が作ったファイルを更新する場合、「どれが最新のファイルなのか分からない」「どのシートを更新すべきか分からない」といった状態に陥ることがあります。このようなムダな探索を強いられる原因は、整理整頓ができていないためです。
1.共有フォルダ内の「ファイル名」の付け方ルールをつくる
ファイル名は自由につけることができますが、ビジネスにおいては誰が見ても分かるように付けるのが正解です。
ファイル名に日付とバージョン等を入れるのがおすすめです。例えば「20260101【月次報告書】ver.2」のように付けます。また、共有フォルダ内のファイル名はルールを統一することで、誰が見ても最新版が一目でわかり、古いファイルで作業をしてしまうミスを防げます。
2.エクセルファイル内の「シート名」名の付け方ルールも統一する
エクセルファイルの中で複数のシートを扱う場合、シート名には内容の概要と作成日付、対象期間を入れると、後で見たときに分かりやすいです。「Sheet1」ではなく、「集計結果_2Q」「元データ_202507」のように具体化することで、ファイルを探る時間がゼロに近づきます。
「うっかり破壊」をゼロにするための3か条
「見やすいファイル」と「使いやすいファイル」は、ほぼ同義です。資料を受け取った人が、次に何をすればいいか迷わないファイルであることが重要です。
1.入力すべきエリアとそれ以外を視覚的に分離する
使いやすいエクセルファイルの最大の特徴は、どこを入力すれば良いか一目瞭然であることです。単票のアンケートなど、「入力フォーム」としてエクセルで表を作る場合、ユーザーが直接手で入力すべきセルは、統一された背景色で塗る等の工夫をすると分かりやすいです。
また、合計や平均などの数式が入ったセルは、誤って上書きされないよう、セルの保護をかけるか、視覚的に入力セルとは異なる背景色で示します。これにより、うっかり書式を壊されてしまうトラブルは劇的に減らせます。
2.見栄えだけを考えて安易にセル結合しない
単票のデータとしてではなく、データ分析をする予定でエクセルの表を作る場合、エクセルを「表計算ソフト」としてではなく、「簡易データベース」として捉えましょう。データベースの基本は1行を1レコードとして扱い、分析したい内容は1つのセルに1つの情報として分けて入力していくことです。
1行の内容は、例えば、1人分のアンケートの回答であるとか、1人の人のプロフィールであるとか、1社分の情報であるとか、1商品の情報であるとか、にして他の情報と混ぜないルールで作成します。
データ分析する用に作っているエクセル表のセルを結合してしまうとソートやフィルター機能を使えなくなるため、実務においては絶対的なタブーです。また、1行目には必ず見出しを入れ、A列は「ID」、B列は「日付」など、列全体で情報が統一されている状態を維持します。そうすることで、誰が触ってもデータ集計が容易になります。
3.罫線と配置、シンプルなフォントでデザイン性を担保する
派手な装飾に頼ることでエクセル資料が見やすくなるとは限りません。データの区切りや合計を示す場合には、色ではなく太い罫線を使いましょう。たとえば、月ごとの合計行や、表の全体を囲む部分に太線を使うだけで、格段に見やすくなります。
また、フォント(書体)はビジネス向けのフォントで統一し、文字の大きさも原則変えません。書式を凝るよりも、シンプルに太字で強調すべき場所を絞る方が、情報の伝達力は高まります。
エクセルへの苦手意識を和らげ、ストレスフリーな職場へ
エクセルの基本とは、自分自身のためだけでなく、共に働く仲間への配慮そのものです。エクセルへの苦手意識は、ほんの少しの知識とルールで解消できます。「他人に優しいエクセルファイル」を作る意識を持ち、チーム全体の生産性は向上や周囲からの信頼につなげていただきたいと考えます。
パソコン苦手な方限定!はじめてのExcel入門研修
本記事で紹介したポイント以外にも、知っておくと便利なExcelの機能が数多くあります。本研修では、パソコン操作があまり得意ではない方、研修を速いペースで進められるとついていくのが難しい方を対象に、Excelの概要から解説します。
どこをどのように操作すると何ができるのか、他の方に迷惑をかけないためにどのようなことに気をつければいいかを、実際にExcelを操作しながら納得するまでじっくり学びます。
よくあるお悩み・ニーズ
- Excelの使い方の前に、パソコンに不慣れで操作がおぼつかない
- 見やすく、使いやすいExcelファイルを作りたいが基本がわからない
- 他の人が作ったファイルの使い方がわからない、うっかり書式を壊してしまうことがある
研修のゴール
- Excelの基本的な機能を使えるようになる
- Excelでデータ入力をする際の基本ルールを知る
- 共有ファイルの扱い方や、印刷時の注意点を知る
セットでおすすめの研修・サービス
パソコン苦手な方限定~はじめてのMicrosoft365研修
パソコン操作があまり得意ではない方向けかつ、業務でMicrosoft365を利用している方、これから利用する方向けに、多様なアプリが用意されているMicrosoft365の概要と基礎から、よく使うアプリに絞ってゆっくり学んでいただきます。
どこをどのように操作すると何が起き、何ができるのか、他の人とファイルを共有して業務を進めていく際に気を付けるべきことなどを、ひとつずつ解決していきます
Excel初心者でも始められるデジタル人材育成プラン
Excelの活用力向上をベースに、最終的には各人の業務に特化したOAスキル習得を目指す研修プランです。部署メンバー全員の力を段階的に底上げし、業務効率化を加速させます。
約2年をかけて、Excelアプリケーションの基本操作から応用スキル、データベース形成・繰り返し作業の自動化といったテクニックを習得します。マクロを活用する応用編までは全社員に受講を必須とし、以降の発展は受講者ご自身に研修内容を選んでいただきます。
ITリテラシーチェック
ITを適切に活用するための能力「ITリテラシー」を可視化するためのアセスメントです。具体的には、日常的に使用するパソコン操作やOfficeアプリ、インターネットツールのほか、セキュリティ・コンプライアンスや、データの管理や分析、生成AIなどの幅広いIT知識・スキルを対象とします。






