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既存構造物の保守も追いつかない時代へ。人的資本をどこに投じるか

住民生活、地域産業や経済を支える社会インフラの中でも、近年は公共土木、民間建築ともに老朽化が進行していることから、維持管理に関わる工事が増加傾向にあるとうかがいます。加えて、線状降水帯の発生頻度が増えるなど、自然災害の範囲や影響が大きくなっており、地域住民の生活や財産を守る河川・港湾整備の重要性は高まる一方です。

このように、都市・まちの維持発展や安全に寄与する重要な業務であるものの、職員数は年々減少しています。政策立案や改正、大規模プロジェクトの計画、認可監督などに携わる地方整備局から、技術職が直接施工を管理する建設事務所まで、「業務効率化・生産性向上」に取り組んでいないところはありません。長期間の工事計画を事故なく遂行するマネジメント力、新工法や材料等を導入するための調査と展開のスピードアップ、用地取得の場面で不可欠な交渉力など、さまざまなご相談を承っています。

公正に、オープンに。隠し事もトラブルも生じさせない

公共事業の効率性や実施過程の透明性を向上させるため、採択時評価・再評価は適切に実施されなくてはなりません。その基本となるのが、コンプライアンス意識の強化、安全のためのルール徹底です。また、関係する公的機関以外に、部材発注先や施工に携わる業者、その下請組織、近隣住民などのさまざまなステークホルダーと会話や交渉・調整が日々生まれます。指揮者・監督者はチームの成果を最大化しリスクや事故の危険性は最小化できるよう、相手に配慮したわかりやすい指示の仕方、危機管理力を習得することが望まれます。

まだまだ長い勤務時間。事務時間を減らす建設ＤＸ推進

いわゆる事務業務の時間を短縮させるにあたり、施工計画や進捗管理のシステム化はずいぶん進みました。工程表への図面の格納やクラック箇所の写真の一斉配信など、行政職と現場の技術職、監督者といった複数の協力業者の専門職間で起こりがちなミスコミュニケーション・連携不足を補うツールは確実に浸透しています。更なる事務時間の圧縮をねらいとして、膨大なデータから参照したい情報を短時間で導き出すプログラム、自動で「傾向」や「可能性」を算出させる仕組みを、Pythonや生成ＡＩで作ることもおすすめです。

率先して業務・組織改革に取り組み、未来の担い手を育む

建設業そのものを活性化させることも建設局職員の皆さんに求められる重要な役割です。多くの団塊の世代が退職することによる人手不足や後継者問題などを背景に、地域の担い手を育てることが喫緊の課題といえます。関連して、技術者の処遇改善、中小規模の下請け組織の残業時間の削減、外国人材の受け入れに関する問題など、取り組むべきことが多数挙げられます。働き方改革をリードし、建設・建築業そのものの魅力を高める活動も必要です。