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ＣＳＶ経営視点で考える地域共創事業の立案と心構え
ＣＳＶ（Creating Shared Value）は、社会的課題の解決を通じて企業価値と社会価値を同時に創出する経営戦略です。
地方創生や地域共創といった言葉が注目される昨今、企業としていかに地域の持続可能な発展に貢献できるかは重要な経営課題のひとつです。
地方創生とは何か、地域共創とは何か？
「地方創生」とは、少子高齢化や人口流出といった地域が抱える課題に対し、地域の特性に即した取り組みによって持続的な発展をめざすことです。
一方、「地域共創」とは、行政・企業・住民など多様なステークホルダーが協力し、地域に新たな価値を創り出す取り組みを意味します。
ＣＳＶ経営の視点から、地方共創事業を立案する
ＣＳＶ経営を実践するには、社会課題を「機会」として捉え、その解決を通じて新たな市場を開拓すること。社会課題の解決を本業と事業戦略へ統合し、収益と社会価値を同時に創出することです。
課題解決を競争優位性につなげて企業の強みを高め、行政や地域、他企業といった多様なステークホルダーと協働する共創型で取り組む必要があります。短期的成果にとどまらず、長期的に持続可能な成長をすることが求められます。
地方共創事業の立案における具体的なポイント
- データを使った現状分析と課題発見
地域共創事業の出発点は現状把握です。地域の構造的課題を、データに基づき体系的に分析し、課題を明確化します。 - ビジョン設定と強みの抽出
ステークホルダーを超えた協働の旗印となる地域ビジョンを描きます。地域が持つ資源や可能性を多面的に洗い出し、将来像を明確にします。 - コンセプト設計と協業モデル構築
産業振興や生活環境の改善など、ビジョンを実現するための事業コンセプトを設計します。ターゲットや市場性を考慮し、地域資源とストーリーを活かしながら、行政や民間を巻き込む協業モデルを構築します。 - 事業計画策定とALL-Winな組織形成
収益構造を含む具体的な事業計画を策定し、関係者を巻き込みます。その際には、それぞれのアセットを持ち寄り、すべての関係者にとって利益となるALL-Winの関係を築くことが不可欠です。
地域と向き合うために求められる心構え
ここまで、地方共創事業の立案について説明してきました。地方共創事業で重要なのは、地域に向き合う心構えです。
- 公平・平等ではなく、公正な選択と集中を
挑戦したい企業に大胆な支援を集中させ、小さな成功を見える形で生み出すことが、地域全体の活性化につながります。 - 財源確保への柔軟な発想
交付金や企業版ふるさと納税など、既存予算に頼らない財源モデルを考慮する姿勢が成果につながります。 - 行政の本気が変革を後押しする
行政が具体的ディテールにコミットすることにより、地域の企業も「この地域で挑戦すべき」と感じ、変革に動き出す原動力になります。
「利益と貢献」を両立させる共創への一歩
ＣＳＶ経営の目指すところは、単に利益の一部を社会貢献に充てるのではなく、企業の利益（経済的価値）と社会的な課題解決（社会的価値）を「両立」し「同時達成」することです。事業そのものが社会課題を解決することで、長期的な収益向上につながるという考え方は、企業の強みとなり、競争優位性の源泉となります。
特に地方創生や地域共創においては、この視点に基づき、地域の課題を「機会」と捉えて行政や住民とALL-Winの共創モデルを築くことが不可欠です。ぜひ、本コラムでご紹介した具体的な視点や心構えを参考に、持続可能な発展につながる事業を力強く推進してください。
地方創生事業担当者のための地域課題解決の基礎知識研修（４時間）
インソースグループのミテモ株式会社では、「人づくり・事業づくり・循環づくり」の三位一体のアプローチで、地域内で自立的に価値創造が続く仕組みを構築し、ＣＳＶ経営の推進を支援しています。
本研修では、地方創生事業を進めるうえで知っておきたい基本知識とともに、地域が抱える構造的な課題をデータに基づいて網羅的に理解します。地方創生事業を経営戦略・経営理念の中に位置づけ、ビジネスとして推進するための考え方を学びます。
セットでおすすめの研修・サービス
地域共創プロデュース講座 ～地方創生につながる企画を立てる（4日間）
本研修では、マインドセットから協業モデル構築・事業計画立案に至るまで、段階的に実践スキルを学べる４日間のプログラムです。
地域のステークホルダーと官民の組織をつなぎ、それぞれの強みを発揮できるようなチームづくりが不可欠です。しかし、その役割を担うプロデューサー人材が不足しているのが現状といえます。本研修では、地方創生のプロデューサー人材として必要なノウハウを段階的に学びます。組織内外で自走し、活躍できる人材としての第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。
地方創生事業を生み出す人材育成支援～越境学習プログラム
本プログラムでは、地域創生に取り組んでいる実団体などの右腕として、事業開発や価値共創に取り組む越境体験を通して、地域創生・地域共創に取り組むことへの自信を深めます。
また、一度会社を客観視することで、会社に対する自立心やパーパス・ビジョンへの共感を深めながら、地域課題解決と事業との両立を実現する思考力を身につけます。
