部長は経営代行者である~時代が求める部長像とその責務
プレイングマネージャーから脱却せよ~部長は経営者の代行者である
かつての部長は、プレイヤーとして現場の指揮を執る役割が主流でした。しかし、現代の部長に求められているのは「経営代行者」としての責務です。SNSの拡散による企業リスクの急増、グローバル基準の遵守、急激な経済変動など不確実性が高まる中で、現場の延長では組織を守れません。
部長は、経営者と現場をつなぐハブとして、戦略を描き、業績を拡大する責務を担います。そのためには、課長の延長線上の視座では不十分です。
部長としての判断軸~経営指標を基軸とした意思決定とリスク管理
部長は自らの判断軸を会社全体の利益に置き換え、ROE(自己資本利益率、Return on Equityの略)やROI(投資対効果、Return on Investmentの略)といった経営指標に基づき意思決定を行うことが求められます。また、経営者の視点を持つことで、リスクの本質を見抜けるようになります。「問題が起きない」ことだけがリスク管理ではありません。成長を停滞させる「変わらないこと」こそが最大のリスクであると認識する必要があるのです。
3割増しを目指す経営者マインド~現状維持は衰退と同義
部長にとって最も重要なのは、現状維持を「衰退」と捉える経営者マインドです。多くの部長は前年並みの業績を目標にしがちですが、経営者は常に前年比3割増を意識しています。これは単なるノルマではなく、変化に適応し、持続的な成長を生み出すための思考習慣です。
たとえば、「8割のリソースで100%の成果を出す」ためには、業務改善による業務効率を高めながらリソースを捻出し、新規施策に投資する余力を生み出します。
攻めの視座で挑むイノベーション~環境変化に適応し、事業モデルを進化させる
また、イノベーションによる業績拡大にも挑戦します。過去の成功体験に固執せず、環境変化に応じて事業モデルや顧客アプローチを柔軟に見直す力が不可欠です。このように、部長が経営者と同じ攻めの視座を持つことで、組織は持続的に成長していきます。
部長が創る「勝ち続ける組織」~組織デザインと権限移譲の重要性
企業が持続的に成長するためには、経営者一人の力では限界があります。だからこそ、部長は組織デザインと権限移譲に力を注ぐ必要があります。最重視すべきは、部下である課長を育てることです。なぜなら、課長の成長こそが、組織の成長速度を左右するからです。
具体的には、部下育成計画を策定し、課長に対して「経営数字」を意識した指導を行います。
また、手放す勇気を持ち、権限移譲を通じて課長に責任と裁量を与えることで、部長はより戦略的な業務に集中できます。結果として、組織全体のスピードと柔軟性が高まるのです。
経営代行者のリスク管理~成長を止めないための防御と攻撃
経営代行者である部長は、単なる「守り」ではなく、「攻め」のリスク管理を担います。たとえば、SNSによる炎上リスクは、従来のコンプライアンス強化だけでは防げません。市場の動向をリアルタイムで監視し、異常を察知する仕組みが必要です。さらに、収益性を守るためには数字でリスクを捉える力も求められます。
ROEや損益分岐点を見極めながら、利益を守るための施策を立案します。これにより、収益を圧迫するリスクを早期に回避できるようになります。部長が攻めと守りのバランスを取ることで、企業は安定的な成長を維持できるのです。
上級管理職研修~経営代行者としての責務を果たす
SNSの影響によって巨大企業の業績が急落したり、グローバルスタンダードを順守しないと仕事ができなくなったりなど経営環境がかつてないほどに激変しています。
本研修は、そんな現代の部長が持つべきマネジメント能力を向上させる研修です。
部長の主たる仕事を①リスク管理、②業績拡大、③新しい事・変革、④組織デザインと定義し、あわせて、経営数字の捉え方、組織マネジメントの手法などを身につけます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 経営者の負担が大きく、部長に大きな責任を担ってほしいがマネジメントスキルが足りない
- 部長の視座が課長の延長にあり、「勝ち続ける組織づくり」の推進力が足りない
- 「問題が起きない」ことだけがリスクではなく、「会社の成長が維持できない」ことがリスクであることの認識が弱い
研修のゴール
- 社長が部長に求める役割を本質的に理解できる
- ROE/ROIを考えて自社の業績を把握できる
- 部下である課長の育成計画を立て、権限を適切に移譲できる
- リスクマネジメントの視座を高め、組織の利益を守ることができる
セットでおすすめの研修・サービス
上級管理職研修~部長に求められる4つのマネジメント(2日間)
激動の時代において、経営層に求められる会社の舵取りは大変難しいものとなっており、「経営者にとっての判断軸」が不可欠です。本研修では、部長級管理職に求められる役割認識から始めます。その後、意思決定などの業務面のマネジメント、予算管理、部下・組織のマネジメント、人事評価や労務管理などのスキルを網羅的に学びます。
(半日研修)役員・部長級研修~会社が役員・部長級管理職に求める視点
現代は激動の時代といえます。このような社会動向の中、経営層に求められる会社の舵取りは大変難しいものとなっています。
本研修では、判断軸を構築していただくために「経営者としての事業観の養成」「戦略形成」「内部統制システムの構築」「会社法のポイント」などを中心に講義を進めます。
業績向上のための組織づくり研修~OODAループで目的を達成する編
環境変化のスピードが激しさを増しているビジネスの世界において、確実に業績を上げる組織を作るための新しい考え方、「OODA(ウーダ)ループ」を学びます。
OODAループをふまえ、刻々と変わる状況に臨機応変に対応ための組織のあり方、リーダーの振る舞い、事例を用いた講義とワークを通じて考え、現場における実践的な活用に繋げます。