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会議を劇的に変える心理戦略~行動経済学で生産性向上と全員参加を実現する

会議が長引き、発言が偏り、意思決定が滞ってしまう。そんな経験はありませんか。多くの会議で起きる問題の原因は、人間の意思決定や行動の心理的なクセにあります。

行動経済学は、人間の必ずしも合理的ではない、感情や直感に左右される行動を分析する学問です。ここでは、この行動経済学の視点を活用したファシリテーションの工夫を具体的に紹介し、会議の生産性と参加感を高める方法を分かりやすく解説します。

会議で起きる心理的バイアス(偏り)とは

会議がうまく進まない背景には、参加者が無意識のうちに影響を受ける心理的なバイアスがあります。この偏りを理解することは、改善策を考えるうえで欠かせません。まずは代表的なバイアスとその影響を見ていきましょう。

意思決定の偏り

人は選択肢が多すぎると迷いやすく、決断が遅れる傾向があります(選択のパラドックス)。また、損失を避けようとする心理(損失回避)や、最初に提示された情報に引きずられる心理(アンカリング)も意思決定に影響します。こうしたバイアスは、会議の議論が停滞する原因になります。

発言の偏り

声の大きな人や権威者の意見に同調してしまう傾向(バンドワゴン効果・権威バイアス)や、他人の評価を気にして発言を控える傾向もあります。このため、会議では一部の人だけが発言し、多様な意見が出にくくなります。

行動経済学を活用した会議デザインの工夫

上記のような偏りを放置すると会議の質は低下します。次はそれをどう改善するかを考えてみましょう。例えば、行動経済学の代表的なフレームワークであるEAST(イースト)の視点を会議に応用すると、発言の偏りや意思決定の停滞を解消しやすくなります。

E:発言の敷居を下げる(Easy/人は簡単・楽な行動を選びやすい)

発言しやすい雰囲気をつくることはもちろん、順番に発言を求める、匿名で意見を収集するなど、「発言しやすい形式」を設計することも有効です。発言の工程を簡単にすることで心理的ハードルが下がり、多様な意見が自然と集まりやすくなります。

A:参加者に目的意識をもたせる(Attractive/人は魅力的な情報によって動かされる)

会議の冒頭で目的や判断基準を明確にし、参加する価値を感じられるようにします。何を判断し、どの状態を目指すのかが分かると、参加者は議論に主体的になり、意思決定の偏りも減ります。

S:同調性を打破する(Social/人は周囲の目を気にしやすい)

周囲の評価や権威者の影響で発言が抑制される状況を避けるため、小グループで先に話す、最初に個別で意見を集める、反対意見を歓迎する姿勢を明示するといった仕掛けが有効です。社会的圧力を弱めることで、率直な発言が生まれます。

T:介入の適切なタイミングを計る(Timely/人はタイムリーなアプローチに反応しやすい)

議論が迷走し始めたタイミングで基準を確認する、選択肢を絞るタイミングを早めるなど、「どの瞬間に」介入するかが重要です。同じ工夫でも、適切なタイミングで提示されることで意思決定がスムーズになります。

行動経済学の知見を活用して会議をデザインする

会議の停滞や発言の偏りは、人間の心理的なクセや意思決定の偏りに起因します。行動経済学の知見を活用し、発言や意思決定の仕組みをデザインすることで、会議は効率的で納得感の高い場に変わります。小さな工夫を取り入れるだけでも、参加者全員が主体的に関わり、決定が実行されやすい会議に改善できることでしょう。

【全力解説】ファシリテーション研修~行動経済学を活用し、生産性の高い会議をデザインする

進め方の認識合わせ・フレームワークの活用・意見の集約と結論づけの3つの観点から会議デザインを考えます。活発な意見交換には心理的安全性が欠かせません。

会議の進行をうまくコントロールすることで、発言しやすい雰囲気を醸成し、限られた時間の中で納得度の高い結論を出すためのポイントを学びます。普段職場で開催している会議を振り返り、学んだポイントをもとに改善を考えられるように導きます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 会議で意見が出ず、進行が停滞する時間がよくある
  • 会議時間がいつも長くなってしまう。メリハリがなく、だらだらと話が続く
  • 会議の進行を見直して、よりよい成果を生む時間にしたい

本研修の目標

  • 会議の進め方の認識を合わせるポイントを学ぶ
  • EASTのフレームワークを学び、ファシリテーション力を高める
  • 納得感のある結論を出すために合意形成の方法を知る

対象者

  • 会議を企画される方
  • 会議の進行を担当する機会が多い方

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セットでおすすめの研修・サービス

ファシリテーション研修~会議を決める合意形成力強化編

「会議をやっても時間ばかりとって、結局何も決まらなかった」「会議参加者が自分の利害のことだけを考えて発言し、どう意見をまとめればよいのかわからない」というお悩みをよくお伺いします。

本研修では「会議を決める力(合意形成力)」を強化していただくことで、生産性の高い会議を主催できるようになることを目指します。

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行動経済学とは、心理学と経済学を組み合わせた学問で、人の心理を読み解き、相手を動かしたい時に役立ちます。

本研修では、行動経済学の知見を活用することで、相手の心理を理解し、戦略的なコミュニケーションの取り方を習得します。なぜ相手が動いてくれないのかを行動経済学の観点から考えていただきます。

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