「落としどころ」をデザインするリーダーの思考法~合意形成をスムーズに進める4ステップ
新商品開発や販売促進のプロジェクトでは、企画・開発・営業・生産など、多くの部署が関わります。
それぞれが異なる目標や制約を抱える中で、全員が納得できる方向性を見いだすことは簡単ではありません。
本記事では、リーダーの立場から、関係部門との合意形成を円滑に進め、最適な「落としどころ」をデザインするための実践的な考え方をご紹介します。
1. 関係部門それぞれの「事情」を把握する
まず重要なのは、開発・営業・生産など、関係部門それぞれの「事情」を丁寧に理解することです。合意形成は説得ではなく、相互理解から始まります。
たとえば、開発部門は「技術的な実現可能性」を最優先し、営業部門は「市場投入のタイミング」や「価格競争力」を重視することが多いでしょう。一方で、販売促進部としては「ブランドイメージ」や「販促メッセージの一貫性」が気になります。
事情を把握するための具体策
- 部門ごとに短時間のヒアリングを設け、優先事項と懸念点を明確にする
- 各部署のKPIや評価基準を確認し、なぜその要望が生まれるのかを理解する
- 各部門の立場を一覧化し、チーム全体で共有する
相手の事情を整理して見える化することで、「どの課題を誰がどの程度負担できるか」が明確になり、合意形成がスムーズになります。
2. 要望を「必須条件」と「希望条件」に分けて整理する
次に、集まった要望を「必須条件」と「希望条件」に整理します。この区分を曖昧にしたままだと、議論が平行線をたどりがちです。
要件の分類例
必須条件:達成しなければ目的が果たせない項目(例:納期厳守、原価率の上限、法規制対応)
希望条件:できれば実現したいが、調整の余地がある項目(例:デザイン案の採用、販促素材の追加)
たとえば、新商品の販促キャンペーンを企画する際、「発売日に合わせて店舗販促を開始する」は必須条件ですが、「SNSでの動画広告を同時展開したい」は希望条件にあたります。このように線を引くことで、議論の優先順位が明確になり、意思決定が早まります。
3. 譲れない点と調整可能な点を見極める
合意形成の要は、「譲れない点」と「調整できる点」を見極めることにあります。
たとえば、開発側の都合で生産数が限定される場合、販売促進としては「広告出稿時期」や「販促内容」を再調整する必要があるかもしれません。逆に、営業側の販売計画に合わせて、プロモーションの地域や時期を分散させることで、全体の整合性を取ることも可能です。
重要なのは、「部門の利害」ではなく「全体の最適化」を軸に判断することです。関係者全員が納得感をもてるように、各案のメリット・デメリットを可視化しながら議論を進めましょう。
4. 譲歩案を柔軟に検討する
合意に向けてもう一歩進めるには、固定された発想から離れて、柔軟な譲歩案を検討することが大切です。
たとえば、全量を同時に出荷するのが難しい場合は「主要店舗から先行発売」する、広告予算が限られるなら「デジタル施策を中心に効果検証を行い、次期施策で拡大する」など、段階的な実行を提案する方法もあります。
小さな譲歩が、結果的に大きな信頼関係につながります。「一部の要望を満たす」ではなく、「全体として成果を最大化する」視点を持つことが、販売促進リーダーとしての役割といえます。
まとめ:合意形成を成功に導く4つのポイント
- 各部門の事情を丁寧にヒアリングする
- 要望を「必須条件」と「希望条件」に整理する
- 譲れない点と調整可能な点を明確にする
- 柔軟な譲歩案を検討し、全体最適を目指す
この4ステップを意識することで、異なる部門の思惑を調和させ、実行力のあるプロジェクトを推進できます。
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