クレームを呼んでいるのは自分たち?~店舗スタッフの無意識な行動が、お客さまのイライラを募らせる

「またあの店員の態度に腹が立った」「二度とあの店には行かない」
小売店に寄せられるクレームや過剰な要求、いわゆるカスタマーハラスメントには、お客さま側の過度な反応も含まれます。しかしその一部は従業員自身の行動が引き金となっている可能性があるかもしれません。
ここでは、小売店スタッフの何気ない行動がクレームやカスハラを招く背景と、不満が蓄積するメカニズムを解説します。さらに、スタッフの意識改善や教育を通じて、トラブルを未然に防ぐための具体的な方法をご紹介します。
不満が蓄積するメカニズム~顧客心理の3ステップ
お客さまが離れていくのは、一度の出来事だけが原因ではないことが少なくありません。以下のような行動を何度も目にすることで、「やっぱり今回も嫌な気持ちになった」と心の中で不満が重なるプロセスを踏んで、強めのクレームやハラスメントへとつながります。
- 一度の不快体験が長く記憶に残る
不愛想な接客や説明不足は、瞬間的な出来事でも記憶に強く刻まれます。 - 店舗に行くたびに繰り返される
改善が見られず、同じような不快体験が続くと「この店はいつもこうだ」とイメージが固定化されます。 - 改善が見られないことで「諦め」や「怒り」に変わる
2のステップを踏んだ多くのお客さまはこれ以上嫌な思いを繰り返したくないと店舗の利用をやめたり、悪い口コミを投稿して二度と戻らないサイレントカスタマーになります。一方、2割ほどのお客さまがはっきりと「不愉快だ」とご意見をくださいます。
一部に暴言、脅迫、威圧的な態度や執拗な繰り返しなど、社会的に許容されないハラスメント行為をする方が現れる場合もありますが、クレーム対応のまずさから発展するものと、そもそもどの店や相手でもいいから攻撃したいという対応が極めて難しいものにわかれます。
スタッフの行動がクレームを誘発している可能性も。要因を今すぐ断ち切ろう
お客さまがイラっとする行動6選~無駄話や業務都合の優先、常連との格差etc.
- お客さまを無視した「スタッフ同士の無駄話」
店舗でよく見かけるのが、レジ周りや売場でスタッフ同士が私語に夢中になっている光景です。お客さまにとっては「質問しづらい」「接客よりおしゃべりを優先している」と映り、不快感を抱かせます。特に、スーパーなどの生鮮食品を扱う店では夕方の忙しい時間帯に困っている様子を無視されると、ちょっとした苛立ちが不満へと発展しやすく、クレームの原因となります。 - 態度の悪さや無表情な対応
「ありがとうございました」の一言がない、商品を投げるように渡す、無表情で機械的にレジを打つ――これらはすべてお客さまに冷たい印象を残します。本人には悪意がなくても、不親切に見える態度が積み重なると「感じの悪い店」というイメージが定着します。ご質問を何度も聞き直すなども、態度が悪いと認識される行動です。 - 業務の都合を優先しすぎる
商品補充や清掃などは大切な業務ですが、スタッフ同士の内輪のやりとりに熱中するあまりお客さまが通路を通りにくくなっているのに気づかない、声をかけても手を止めないといった行動は、顧客に「自分は大事にされていない」と感じさせます。小さな不便が不満に直結するのです。 - 言葉づかいが馴れ馴れしい・雑
接客での言葉づかいは、店舗の品格を左右します。必要以上にフランクであったり、命令口調に近い案内は「ぞんざいに扱われた」と受け取られがちです。丁寧さを欠く言葉は、商品やサービスの信頼性まで損なうリスクがあります。 - 他のお客さまを優先する
常連や一部のお客さまにだけ特別対応をする、順番を無視して案内するなどは、公平性を欠きます。顧客は「自分は軽視されている」と感じ、強い不満を覚えます。 - 待たせているのに気づかいの一言がない
レジや試着室で長く待たされても声かけがないと、「自分の存在が忘れられているのかもしれない」と不安や苛立ちが募ります。「もう少々お待ちください」といった短い声かけがあるだけでも、安心感を与えることができます。
先述のステップ1とステップ2を踏ませない、つまり不快な気持ちにさせる6つの行動をなくす・減らすことが、クレームやカスハラの発生を抑制する秘訣です。
クレームを防ぐための現場改善の視点~売り場のルール、日々の声掛け
スタッフ同士の会話ルールを設ける
完全に私語を禁止するのは難しいものの、お客さまがいる場所では極力控える、業務連絡以外の会話はバックヤードでといったルールを明確にすることが重要です。お客さまの視線を常に意識する習慣をつけるには、メンバー間で相互指摘ができるような関係づくり・環境づくりが肝となります。
コミュニケーションをとってはいけないという意味ではなく、リラックスしてお互いを労ったり、従業員間で必要な情報共有をする時間や場所と、キリリとお客さまに向き合う時間・場所を区別することが大切です。パートタイムメンバーにもこの重要性をしっかりと認識してもらいましょう。
表情と声かけを徹底する
「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」といった基本的な声かけを欠かさないだけで、お客さまの印象は大きく改善します。笑顔やアイコンタクトなど、相手を尊重する姿勢を示す小さな行動がクレーム防止につながります。
いつも朗らかにお客さまに向き合うことが望まれますが、気持ちが落ち込む日もあるのが人間です。調子が悪そうな気配を感じ取れるよう、店長や部門リーダーにあたる方は、シフトに入るメンバーの出勤時には必ず挨拶や声かけをします。
結局は、相手が誰であっても、そしてそれぞれに目的が違っても、明るく優しい表情で自分からコミュニケーションをとろうと相手に心を開くことが「良い現場」をつくります。
現場の不満を吸い上げる機会をつくる
スタッフのストレスや不満が蓄積すると、そのまま接客態度に表れることがあります。定期的な面談や意見を出しやすい場を設けることで、従業員の個々の感情が顧客対応に悪影響を与える前に立て直すことができます。
スタッフからの要望を長く放置しない、回答に何らかの理由で時間がかかるのであればいつ頃目途が立ちそうかをいったん応える、不満を解消できる代替案を提示する、マニュアル整備に一緒に取り組むなど、店舗責任者を中心に改善に向けた動きが目に見えてわかることも、安心感を高めるのに効果的です。これも、お客さまのご要望への対応と同じです。
まとめ
クレームやカスハラは、必ずしも顧客側だけの問題ではありません。店舗スタッフの何気ない行動や態度がお客さまのイライラを助長していることがあります。従業員の無駄話や冷たい態度、雑な言葉づかいなどをいちいち指摘するのは気が引けるかもしれません。ただ、それらが減るだけで顧客の印象は大きく改善されます。
この意識づけをリマインドする教育、従業員の不満を放置しない仕組みづくりを組み合わせ、より良い店舗運営を実現しましょう。
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