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ベテランスタッフを「誰も逆らえない怖い人」にしないコツ~影響力を正しく活かす育成とマネジメント

スーパーやドラッグストア、ホームセンターなどの販売店では、長年勤務しているベテランスタッフは安定的な運営を支える頼れる存在です。しかし、勤務歴が長いことで、店長よりも影響力を持って「誰も逆らえない怖い人」へと変貌を遂げてしまうこともままあります。

指示通りに業務を進めなかったり、「これは自分の仕事ではない」と反発したり、経歴の浅い方に押し付ける状況も見られます。さらにお客さまからも「あのスタッフの接客態度が悪い」とご指摘を受けることもあり、クレームに発展する場合もあります。

こうしたいわゆる問題児を放置すれば、現場全体の士気やサービス品質に影響を及ぼします。ここでは、ベテランスタッフの強みを活かしながらも、現場を店長主導で運営するための具体的な育成策とマネジメントの工夫を解説します。

ベテランスタッフにありがちな課題

所属している部門や担当業務を「自分好みにカスタマイズ」

長年同じ業務に従事してきたスタッフの中には、自分の役割を極めて固定的で限定的なものと捉えている方もいます。そのため店舗の設備や社会環境の変化、業務フローの変更があっても頑なに「それは絶対にやりたくない、間違っている、契約内容と異なる」と抵抗を見せる傾向が強くなります。本人は悪意がなくても、店舗全体を緊張させて連帯感を阻害する要因になります。

定められたフローを守らず、自分にとってやりやすいように様々な魔改造を加え、他のスタッフを混乱させたり、不要な手戻りを発生させることもあります。

新たな知識やノウハウを吸収しない、吸収できなくなっている現実を隠そうとする

過去の経験は豊富なスタッフでも、商品ラインナップが増え、新しい端末の導入などによって次第にすべてのことに精通するのは難しくなります。徐々に他のメンバーのほうが「デキる」と評価されるようになることに焦りを感じ、そのことを悟られまいとわざと関係業務を避けようとすることが増えるかもしれません。

内部での行動ならまだしも、お客さまのご要望をはぐらかしたり、ご質問に曖昧な回答をしてしまうことで、「全く頼りにならない」と落胆されてしまいます。真摯に自分の状況を見つめ、変わらなければと奮起してもらいたいところですが、一度緩ませた自らを改善するのにはエネルギーが必要です。自分よりも優れていることを認めざるを得ない他者を貶めるような行動に走ることもあります。

本当に悪気がなくても、態度が悪いように見える場合も

長年の経験から「自分は分かっている」という自負が強くなり、店長や正社員の指示に不機嫌そうな態度を取ったり、短い言葉で冷たく返したりすることがあります。これが周囲のパートタイム勤務者からは「態度が悪い」と映り、雰囲気を悪化させてしまいます。

心の中では「早く調理場で○○と○○を処理しなきゃ」「この変更で◆◆の時間がなくなるのをどう調整したらよいか...」とまだ経験の浅いメンバーでは想像できない段取りを考えていたり、あるいは店長や社員には見えていない現場の小さな不具合を調整している場合もあります。多くを言葉にしない個性があるベテランスタッフの場合は、悪気がなくても新人や若手にとっては大きな心理的圧力となり得ます。周囲のメンバーがうまくフォローをすることが大切です。

ベテランスタッフを「誰も逆らえない怖い人」にしない3つのコツ

店長が業務方針を明示する

自分カスタマイズをさせないためには、業務分担やフロー遵守の方針を店長が明確に示すことが必要です。口頭指示だけではなく、文書化した業務範囲やシフトごとの役割分担を掲示し、誰もが納得できる形にすることが重要です。

あいまいさを排除し、ルールを守らないことによるリスクや事故の例を示すことで、反発を減らせます。

態度改善と評価制度を結びつける

態度に関する課題は主観的に見られがちです。そこで、接客マナーや協働姿勢を評価項目に組み込み、定期的にフィードバックする仕組みを導入します。本人にとっても「態度が評価に直結する」という認識が生まれ、改善につながります。

面談などで業務態度について言及し、改善がなされない場合は雇用契約を更新できなくなることを伝えるのも間違ったことではありません。

「分からない」を放置させない仕組み

「分からない」を悟られまいとしようとする意識や態度を変えるのは困難です。そこで「新しい商品・仕組みの対応フロー」を策定し、職場のルールとしてこれに沿った行動をするよう促します。

例えば、新商品の詳細を尋ねられた際は「確認後すぐにご案内いたします」と伝え、バックヤードや他の担当者など自分以外の従業員に一度確認する流れをルール化します。この対応一つで確実な顧客対応ができるうえに、自然と「分からないが言えない」を克服できます。

店長より長く働くスタッフへの接し方

ベテランスタッフが「自分の方が店を知っている」という気持ちを持つのは自然なことです。小売店の店長であれば、長くとも2~3年で異動があります。次々に変わっていく責任者よりも、長きにわたって現場を支えてきた自分たちの存在を認めてほしいという思いが膨らむのは悪いことではありません。
そのプライドを否定するのではなく、経験を活かす場を提供することが重要です。

例えば、新人教育の一部を任せたり、棚割り改善の提案役を依頼したりすることで、協力者としての役割を与えると良好な関係を築けます。

年上の部下への関わり方

年上のベテランスタッフとどのようにコミュニケーションを取り、成果を上げさせるかは、現代の管理職や店長職の部下マネジメントにおける重要課題です。

上下の世代に対する本人の複雑な感情、ベテラン世代の発言における本音と建前、「楽をさせない」ことのコツを学びます

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リーダーのためのアサーティブコミュニケーション研修

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