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サイレントカスタマーへの意識を変える店舗スタッフ教育~「物言わぬ顧客」対応は売上に直結する

サイレントカスタマー(サイレントクレーマー)とは、不満を抱いても店や店員に直接伝えず、黙って離れていくお客さまのことです。

たとえば「スタッフの態度が冷たい」「質問への回答が適当」など、嫌な思いをしてもクレームは言いません。表面上は普通に買い物をして帰りますが、心の中では「二度と来るものか」と決めてしまう。こうして不満を蓄積したお客さまは、最終的に他店へ流れていきます。

海外では「クレーム=権利の主張」として堂々と伝える文化があります。一方、日本では文化的・社会的背景からサイレントカスタマーが多い傾向にあります。

レビュー投稿で不満を表現するサイレントカスタマー

「嫌な思いをしたならもう行かない」が最も合理的な行動ですが、気持ちを吐き出したい人もいます。その手段としてSNSやレビュー投稿が普及しました。匿名で憤りを発散する、販売側への是正を促す、同じ思いを他者にさせたくない――投稿者の動機はさまざまです。

サイレントカスタマーを軽視することは、店舗や企業全体の評価を下げる要因となります。

参照レポート:株式会社日経リサーチ「生活者痛点 基本調査」
https://service.nikkei-r.co.jp/report/cscx_id94(最終アクセス:2025年9月29日)

サイレントカスタマー対応は売上に直結する

小売店舗の売上は「新規客 × リピート率」で決まります。新規集客には広告費やSNS運用など大きなコストが必要ですが、リピート維持にはほとんど費用がかかりません。それにもかかわらず、気づかないうちにリピート客を失うのは大きな損失です。

ブランドイメージへの影響~悪名は一瞬で広がる

SNSやレビューサイトでの投稿は一瞬で拡散します。「〇〇駅近くのスーパーは対応が悪い」と書かれれば、地域の人々はすぐに店を特定できます。たった一つの否定的な体験が、数十人・数百人の来店機会を奪うのです。広告費をかけても、マイナスレビュー1件で効果が台無しになるケースもあります。

従業員の成長機会を奪う

お客さまが直接指摘してくれれば改善のきっかけになります。しかしサイレントカスタマーは何も言わずに去るため、現場は問題に気づけません。その結果「悪い対応」を繰り返し、従業員が成長する機会を失ってしまいます。

現場スタッフの「でも...」の反論に応えるまでが店長の責務

店長がサイレントカスタマー対応の重要性に気づき、対策を講じようとしても、現場が消極的だというお悩みをよくお伺いします。

ここではサイレントカスタマー対応をあまり前向きに考えられない部下社員やパートタイマー従業員の本音と、それに対する店長職の好ましい返答を挙げてみます。

スタッフ「直接言ってくれた方が改善しやすいのに」

店長:大多数のお客さまは何も言わずに去るというデータがあります。つまり、皆さんが嫌だなと思っているクレーム対応も、声に出す人は氷山の一角で、ほとんどは黙って去っているということです。だからこそ見えない声を想像する力が必要だと思うのです。

スタッフ「数人の否定的な声を気にしすぎ」

店長:確かに全員を満足させるのは無理です。ただ、SNSのたった一つの書き込みが数十人に広がり、地域で「この店は感じが悪い」と思われてしまうと、来店数全体に影響します。数人の声でも、放置すれば何十人もの来店機会を失ってしまいます。

スタッフ「理不尽なお客さまもいる。全部の声に耳を傾けるなんて不可能」

店長:大切なのは「理不尽かどうか」よりも「多くのお客さまが同じように感じる可能性があるかどうか」ですよね。現実的に考えて、特殊なケースは無視するのも仕方がない。でも複数人が同じ不満を抱くなら、それは改善すべき共通課題だと私は思います。

スタッフ「忙しすぎて丁寧になんて対応できるわけない」

店長:確かにピークタイムはスピードが大切です。ただ、笑顔で「少々お待ちください」と言うだけで印象は大きく変わります。時間をかけずにできる工夫は必ずあるし、それでサイレントカスタマー対応となるのであれば、効果は大きいと思いませんか。

スタッフ「商品で勝負すべきでは?」

店長:食品や日用品は他店やネットでも買える時代です。お客様がわざわざ当店に来る理由は、商品だけでなく「ここで買いたい」という体験や安心感にあります。接客を磨くことは、価格競争から抜け出す唯一の道です。

スタッフ「そんなこと言われても...時給上がるわけじゃないしやる気ない」

店長:私も皆さんにただ押しつけたいわけではありません。サイレントカスタマー対応は「自分の接客が評価され、ありがとうと言われる」ためでもあります。自分の成長ややりがいにもつながります。一緒に工夫していけば、決して負担ばかりではなく、むしろ楽しくなるはずですよ。

スタッフ「結局、現場の私たちが苦労して割を食うだけだけではないか」

サイレントカスタマー対応はお店のためだけでなく、「自分のため」にもなります。だから店長として、私も一緒に取り組みます。小さな工夫の積み重ねが、リピート客を増やし、数字に必ず跳ね返ってきます。ぜひ、できることから始めていきましょう。

反論は反抗心ではなく、負担感や不安感の表れです。店長は耳を傾け、「どうすれば無理なくできるか」を一緒に考えることが大切です。

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地域に根差した商品展開など各店舗で変えるべきこともありますが、お客さまへの対応は全店舗で統一されたものでなければなりません。

そのため組織理念の定着をはかるとともに、定期的な教育機会を設けて全従業員が同じように接遇・接客スキルやクレーム対応力を身につけることが必要です。

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