【2026年は観光業の転換期!】➃観光経営はAI活用でどう変わる?人・価格・集客を再設計するトップの意思決定

【2026年は観光業の転換期!】シリーズとして、ここまで述べてきたように、観光業界では今、大きな構造変化が同時に進んでいます。そして、それらの変化をさらに加速させているのが生成AIの存在です。
多くの現場では「それを使って何ができるのか」という議論が先行していますが、本質的な問いはAI活用を前提に、観光経営をどう再設計するかではないでしょうか。
シリーズ最後の本コラムでは、生成AIと人・価格・集客を一体で再設計するための経営者の視点について解説します。
人材は削減対象ではなく「再配置対象」に
これまでにも様々な業務の自動化や省人化が進みましたが、それらの多くはハード面であることが多く、例えばホテルや飲食店での食洗器の導入などがわかりやすい例です。昨今ではこうした改革がソフト面にも及んできています。自動チェックイン機の配置とホテルフロント機能そのものの撤廃や縮小、多言語対応の内製化、マニュアル作成の高速化など、これまで人に依存していた業務は、丸ごとあるいはプロセスの一部が代替されていっている様子が想像できると思います。
それでは人は要らなくなるのかというとそうではありません。むしろこれまで費やしていた事務や雑務の時間を、より付加価値の高い業務に振り分けることができるようになります。例えば接客品質の向上、快適さや楽しさの満足度を直接的に高める体験設計、顧客との関係構築といった領域です。限られた人的資源は、人にしかできない業務に投入する時代になっていくでしょう。
マーケティング・意思決定や業務改善が変わる
ここからは生成AIが輝く・使える観光事業における業務を見てみます。
使いどころ1.効果的なマーケティング~OTA依存からの脱却
クチコミ分析の自動化、国別ペルソナの生成、SNS投稿の自動作成などはAIが得意とするところです。これまで人手やノウハウが不足していて取り組むことが難しかった情報発信や顧客インサイトの調査等のマーケティング活動を考えられるようになります。これらはOTAに依存せず自社で集客導線を持つ第一歩で、単なる効率化ではなく、集客の主導権を自分たちに取り戻す動きです。
使いどころ2.直感ではなくデータをもとにした意思決定
生成AIは意思決定の質とスピードにも影響を及ぼします。例えば月次売上の要約、需要の傾向分析、価格調整のシミュレーションなどの業務は、今までならば一握りの経営幹部が人力で取り組んでいたことでしょう。ベテランが長年の経験や勘に頼って下していた判断は、今後は客観的なデータによって補強され、その精度をますます高めることができます。
プロンプトを組み合わせたエージェント機能(AIアシスタント機能、カスタマイズ指示)を使えば、一次データから専門職と遜色ない成果物をものの数分で出力するでしょう。こうしたツールを使いこなすことで判断の根拠を探すプロセスを圧縮して決断するまでの時間を短くできますし、属人化していた様々な業務を他メンバーに権限移譲しやすくなります。事業継続の阻害要因の一つである、業務負荷の偏りや抱え込みによるリスクを軽減します。
調査結果から導き出した仮説をもとに、これまであまり挑戦してこなかった分野の商品企画をしてみたり、一部の顧客のリピート率を引き上げる施策をうてる可能性が広がります。「これくらいの価格やスペックなら、○○顧客の需要に十分応えられる」といったサービス基準が自分たちの中に確立されていることは、極めて重要です。
使いどころ3.現場での活用~多言語対応と業務改善
チャットボットによる問合せ対応や翻訳、FAQの整備などは、今後は専門業者に委託せずとも、自分たちの手で実施できるものが増えていきます。複数言語での情報発信や顧客対応などの手間が少なくなれば、「私たちはこの市場をターゲットにしたほうが良いのではないか」を考える時間を確保でき、優先順位をつけた商品企画や手厚いサービスの提供、つまり顧客満足度を直接上げる行動につなげられるのではないでしょうか。
利用者レビューもこれまでは個別に確認するものでしたが、生成AIを使うことで活用の仕方が変わります。ネガティブ要素の抽出、国別満足度の違いの可視化と改善点の整理を任せれば、サービス改善を感覚ではなく体系化することができます。
AI導入のリスク~導入すれば「成功」ではない
生成AIの導入には次のような注意点もあります。
- 情報漏洩のリスク
顧客の予約情報や個人データ、取引先との契約内容などをそのまま放り込んでしまい、外部サービス上にデータが残って意図せず機密情報が漏洩する。 - 著作権に関する問題
AIが出力した文章や画像をそのまま広告やWebサイトに使用すると、既存コンテンツと類似することが少なくなく、著作権侵害と指摘されるケースがある。 - 誤情報の生成
答えの出力が難しい場合、AIは「もっともらしい嘘」をつく(=ハルシネーション)こともある。存在しない観光情報や誤った営業時間、事実と異なる文化解説などを確認することなくそのまま使ってしまうと、顧客の信頼を損なう恐れがある。 - 過度な依存
常にAIの提案をそのまま採用し続けると、自社ならではの強みや独自性が薄れ、競合他社と同じような商品やサービスに収れんされてしまう。
最終的な決断を下し、責任を負うのは人
これらを理解せずに導入すると、逆にリスクを抱えることになります。そもそもAIが導き出す答えは、過去に人が作った情報や一般的なパターンを統合し均した混合物であり、たぶんこれが最適解じゃない?と提案している(=断定していない、正解とは言いきれない)ものです。それを良しとするかどうかは現実世界を生きている我々 人であり、「そうではないことも多い」「何をもってそう出力したのか」「○○の観点が足りない」などと、疑いの目で見ることが重要です。
業務再設計の起点は経営の意思である~経営者が決める「組織の方針」
ここまで生成AIが得意なことや活用においての注意点を見てきましたが、どの場面でどのようにこれらのツールを使うのか、使った後にどれだけの費用対効果が生まれ、継続して活用すべきかを検証するという大きなPDCAサイクルを回し続けることのそのものは経営者の果たすべき役割としてこれからも存在し続けます。
どの市場を狙うのか?どの価格帯で勝負するのか?どのような価値を提供するのか?これらはすべて経営の意思決定です。観光経営の再設計はトップの意思からしか始まらないのです。
現場と経営をつなぐ人材が鍵になる~リーダーの提言とアクセル
これからの観光事業では、現場と経営をつなぐ人材の重要性が高まっていきます。現場の状況を理解しながら、市場の変化を読み取り、サービスに即時反映するような役割を担う人材が企業の競争力を左右します。
【提言】経営者が直接、頻繁に現場に訪れることが難しい組織では、それぞれの事業所や店舗責任者からの多様な報告やフィードバックがすぐさま上席にあがることで戦略の調整、最適化が図られます。意思決定が正しいものだったのか、現場での実践が現実的で想定通りの効果を得られているかを確かめて時に耳の痛い意見をぶつけてもらうことも大切です。
【アクセル】プロンプトの不具合を見つけて修正できる、出力解をさらに洗練させる視点を加えるなど、特定の業務に生成AIをうまく咬み合わせて成果を最大化する方法を探し出すなどの細かな調整は、現場をよく知るリーダーに任せてみるのも一案です。
2026年は観光業の転換期!~誰に、どの価値を、どの価格で提供するのか見直しの機会
本シリーズでは、価格戦略、インバウンド市場の変化、ナイトタイムエコノミー、そして生成AIという4つの視点から、これからの観光経営に求められる転換を整理してきました。共通しているのは、従来の延長ではこの先生き延びることが難しいという現実です。
誰に、どの価値を、どの価格で提供するのか。その全体設計を見直すことが不可欠で、その起点となるのは現場ではなく経営の意思です。今起こっている様々な変化を「良い機会」に変えることで、これからの日本の観光事業はこれまでよりも良いものになっていくと考えます。
生成AIを活用した業務改善研修~業務を可視化し、AIに置き換え組織展開する
生成AIを安全かつ効果的に業務に組み込むための考え方を1日間で身につける研修です。
自身の業務を洗い出し、生成AIを組み込みやすい作業を見つけるワークに挑戦し、組織での導入イメージを具体化します。リスクを考慮した自部署での生成AI活用のシナリオを作成し、自走できる計画へと落とし込みます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 生成AIで何を改善できるのかイメージできない
- 業務フローが整理されておらず、生成AI導入の準備が整っていない
- 生成AI活用を進めたいが、展開・定着の進め方がわからない
本研修の目標
- 生成AIを活用できる業務とできない業務を見極められる
- 業務に組み込める実践的な生成AI活用フローとプロンプトを設計できる
- 安全性と効果を両立し、現場で成果を出せる生成AI活用を継続的に運用できる
セットでおすすめの研修・サービス
変化の時代の上級管理職研修~部門経営者としての成長戦略の構想
今日の事業成長にはデジタルの活用が不可欠で、そのメリットを最大限に享受するための運営ノウハウが欠かせません。
部門全体の成長戦略を描くうえで、既存事業の生産性を高めると同時に、長期的な視点を持ちイノベーションを通じて新たな事業を生み出すことが必要です。本研修は環境の変化にスピーディに対応していくための構想力を身につけることを目的としています。
生成AIを味方にするWebマーケティング戦略講座~AIO・LLMO対応の記事作成術で問合せを獲得する
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ゼロクリック検索の増加やAI検索の台頭といったトレンドを踏まえ、E-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)を意識したコンテンツ戦略の立て方を解説します。さらに、生成AIを使った記事執筆やHTMLコーディングのプロンプト例、生成文章の編集ポイントなど、すぐに使える実践的なノウハウを多数ご紹介します。




