株式会社インソース総合研究所

アートの創造性がビジネスを新しく、仕事を楽しくする~藝大美術学部との共催セミナー(アート・デザイン)

アートの創造性がビジネスを新しく、仕事を楽しくする~藝大美術学部との共催セミナー(アート・デザイン)

「型にはまったアイデアしか出てこない」
「新しいことに対して二の足を踏みがちになる」
「チームやプロジェクトが、何となくうまくまとまっていない」

いま、ビジネスの世界で求められているのは、誰かの「正解」をなぞることではなく、自分の感性で新しい価値を見つけ出し、その思いを推進する力です。アートの創造性は、その第一歩を踏み出すヒントをくれます。誰かの道ではなく、自分の道を描くことで、仕事はもっと自由に、もっと楽しくなる。そして、その自由な発想は、周囲の人にも伝わり、組織や社会に新しい風を吹かせていきます。

本コラムでは、「アート」そして「デザイン」とは何か、その本質と、これらをビジネスに取り入れる意義を解説します。

なぜ、ビジネスに「アートの創造性」が必要なのか~今の社会には自由な発想が求められている

多くの企業やビジネスパーソンが、日々の仕事の中で既成概念や固定観念に囚われ、自由な発想や行動ができなくなり、新しい価値を生み出しづらくなっていることがあります。アートは、こういった現状を異なる視点から捉えることが得意であり、近年、欧米や国内の大企業やベンチャー企業などでも、これらをビジネスに取り入れていく動きが進んでいます。

人を動かすのは、感性=アートであり、論理=ロジカルではない

たとえば、商品やサービスをお客さまに売りたいとき、どれだけロジカルに説明しても、相手の心が動かないことがあります。「ニーズはあるはずなのに、なぜか響かない...」そんな経験をお持ちではないでしょうか。

一方で、たった一枚の絵や言葉、あるいは営業担当者の「熱」が、瞬時にお客さまの感情を揺さぶり、「欲しい!」と思わせることがあります。アートは、理屈ではなく感性で伝わる力を持ちます。美しいデザイン、温かい声のトーン、まっすぐな想い......それらは言葉以上に人の心を動かします。人は、理解して動くのではなく、感じて動く。だからこそ、今の時代のビジネスにこそ、アート的な感性が求められているのです。

社会が効率ではなく、心を打つものを求めている

これまでのビジネスは、「いかに早く、正確に、合理的に」成果を出すかが最優先でした。しかし、便利なモノがあふれ、世の中が充足している今、人が価値を感じる基準は、もはや「効率」ではなくなっています。私たちは、単に便利なものよりも、「好き、美しい、面白い」と感じるものに惹かれ、そこにこそ、時間やお金をより使うようになり始めています。

効率化や最適化を追い求めてきた社会は、次第に「心の欠乏」を生み始めているとも言えます。顧客体験やブランド価値などのアプローチは「心の充足」を生み出します。そして、ビジネスにおいて、人々の「心を打つ価値」を生み出す源泉が、従業員一人ひとりが持つ「アートの創造性」ということになります。

ビジネスにおいて「デザインの持つ力」がなぜ必要か~課題を「見える化」し、他者と共有できる力

ビジネスが複雑化・多様化するなかで、課題はもはや一人の発想だけでは解けません。チームや顧客、社会の多様な視点をつなぎながら、共感と合意をつくり出す力が求められています。その大きな助けとなるのが「デザインの力」です。

デザインは、見た目を飾ることではなく、構造をつくること

デザインには、プロダクトデザイン、グラフィックデザイン、組織デザインなど、さまざまな領域があります。しかし、ビジネスにおける本質は「目的をもって対象に介入し、よりよい構造をつくること」にあります。デザインとは、見た目を美しく整えることではありません。本来のデザインは、課題やニーズを可視化し、他者の共感を生み、相手を動かすための道筋を描く――。そのプロセスや活動そのものがデザインであり、結果として「見た目の美しさ」や「機能の洗練」として表面に現れてくるのです。

アートは自由な発想、デザインはビジネスとの統合であり、両方が必要

アートが「自らから生まれる創造性」であるのに対し、デザインは「自分と他者の間の共感」を生みます。ビジネスにおいては、このどちらが欠けても真に新しい価値は生まれません。たとえば、「空を走る車をつくりたい!」という発想は、まさにアート的な創造性の表れです。常識や技術の制約を一度脇に置き、自由に未来を思い描く力。そこに「どうすれば安全に飛ばせるか」「どんなルールや市場を整えるべきか」といった構想や仕組みを加え、現実に落とし込みながら、周囲を巻き込んでいくプロセスがデザインの役割です。

アートやデザインの本質は、フレームワークだけでは学べない

いま、多くの企業が「デザイン思考」を取り入れています。しかし、どんなに精緻なフレームワークを導入しても、そこにアーティストが持つような「熱」や「想い」、そして「自ら手を動かして形にする行為」がなければ、何も生み出せないという現実があります。

「デザイン思考」は課題解決のフレームワークであり、新しい発想法ではない

デザイン思考のフレームワークは、デザイナーやクリエイターの思考プロセスを整理・形式化した「型」に過ぎず、この中には、アートのような自由な発想は含まれていません。近年注目を集める「デザイン思考」は、アイデアを出すための発想法ではなく、「どう解決に向かわせるか」という、ビジネス課題を解決するための手法として整理・活用されています。

具体的にはユーザー共感→課題定義→アイデア創造→プロトタイプ作成→ユーザーテストという一連の流れを提示し、プロセスとして再現可能にしたフレームワークです。これは、あくまで課題解決の道筋を見せる地図であり、その地図の上をどう歩むかは、個々の感性と経験に委ねられています。

「デザイン思考」の前に、「アート」や「デザイン」自体を学ぶことが不可欠

多くの企業がデザイン思考を導入しても成果が上がらないのは、この「デザインの本質」を体感していないからと言えます。

アートやデザインとは、見た目を整えることではなく、描く・作る・語るという「行為」そのものの中に本質があります。頭で理解するのではなく、手を動かし、五感で確かめること。その体験こそが、創造性を呼び覚ます唯一の道です。そこには、感じる力、構造を描く力、他者に伝える力――つまり、生きた創造のプロセスが存在します。

だからこそ、デザイン思考を学ぶ前に、まず「アートで自由に発想する力」と「デザインで動かす力」を体感することが必要です。この2つの経験があってこそ、はじめてデザイン思考は中身を伴い、「型」から「生きた力」へと変わっていきます。

【共催:東京藝術大学 美術学部】アートやデザインの視点をビジネスに取り入れる

東京藝術大学美術学部 × インソースの共催セミナーで創造を体感する~アートとデザインの特別講座です。※特別講座の総合ページです。内訳は下記の「セットでおすすめの研修・サービス」または、詳細をご確認ください。

国内最高峰の芸術系総合大学である藝大の知見をもとに、ビジネス課題を解決できる人材を育成することを目的とした講座を開講しています。現役のビジネスパーソンとしての知見をアップデートしたうえで、現状を打破しながら、チームや世の中を適切に力強く導いていく力を身に付けていただくことを目指します。

講師は、1部・2部を「東京藝術大学美術学部デザイン科」の山﨑教授に登壇をいただきます。実際に、数多くの企業や現場でアートやデザインを経営に取り入れ、後進や学生を育成してきた方です。講義とワークショップ形式での学び、講師からの講評を通じて、実践的にアートの力をビジネスに取り入れられるようになることを目指します。

3部・4部は「東京藝術大学 芸術未来研究場」の井上裕史特任准教授にご登壇をいただきます。企業デザイナーとして、顧客体験を大切にしたホテルやショールーム・文化施設・オフィス等のデザイン・設計を担当されてきた方です。自身の当たり前を疑い、本質を見つめる視点を養っていただくことを目指します。

>特別講座の詳細はこちら

セットでおすすめの研修・サービス

【共催:東京藝術大学美術学部】ビジネス推進力研修~デザインの視点でプロジェクトを導く

正解のない課題に挑むリーダー、企画・開発・マネジメント職の方にオススメです。デザインの力は、ビジネスにおける複雑な状況を整理し、チームを同じ方向に動かす力になっていきます。

ここでいうデザインは、「見た目の色や形をかっこよくすること」という狭義の意味ではありません。「相手にとって具体的に役に立ったり満足度を高めたりすること」や「解のない課題を可視化し道筋を描き導くこと」です。デザインの手法やプロセスを体験するワークを通じて、デザインの視点を取り入れてチームやプロジェクトを導く際のポイントを身に付けます。

>公開講座の詳細はこちら

【共催:東京藝術大学美術学部】現状打破研修~アートの力で既成概念を打ち壊す

日々の仕事の中で、型にはまった思考に縛られている方にオススメです。アートは、そんな固定観念を壊し、新しい視点からビジネスを見つめ直す力を与えてくれます。

アート・感性と聞くと「センスがない人には難しい」と思われる方も多いですが、アートは「自らの意思」で発信されるものであり、その視点はトレーニングや実践を通じて磨くことができます。本研修では、自らの「感性(右脳)の力」を掘り起こし、これらを自身が抱える課題解決につなげていくための知識や学びを得ます。

>公開講座の詳細はこちら

【共催:東京藝術大学美術学部】(ノンデザイナー向け)コンセプト創造研修~人と空間・素材から「本当のニーズ」を探る

ブランディングに関わる方、企画やマーケティングに携わる方、店舗や施設などの現場で直接お客様に対面する方にオススメです。「当たり前」を疑い、自分の本音を起点に、他者の思いを重ね合わせて発想することで、本当に価値のあるものをつくるのに必要なコンセプトづくりを体験します。

ユーザーにとって価値のある体験・特別な居場所を設計するために、自身の当たり前を疑い、本質を見つめる視点を養っていただくことをゴール・コンセプトとしています。

>公開講座の詳細はこちら

【共催:東京藝術大学美術学部】(ノンデザイナー向け)空間デザイン研修~顧客・従業員視点で考える「伝えたいことが伝わる」 空間づくり

オフィスのレイアウトに関わっている方、店舗、ショールーム、展示ブースなどを運営・企画している方、店舗の売上に責任を持つ方にオススメです。「もっと知りたい」「もっと伝えたい」と思える空間の「ストーリーの作り方」 を学びます。

「どんな場所を作ればいいのか」「どんな切り口で空間デザインを企画すればいいのか」を悩んでいるデザイナーでない方を対象に、ストーリーと体験が連動した空間の作り方をお伝えします。「自社でも活かせる空間づくり」を実践的に学びます。

>公開講座の詳細はこちら

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