改善のその先を見据えた価値創造とは?~3つの観点で新たな価値を届ける
「改善のその先を見据えた価値創造」とは、単なる業務の効率化や改善にとどまらず、改善のプロセスを通じて新しい価値を生み出すアプローチを指します。「価値」とは、「ビジネスモデル」の構築と、その「ビジネスモデル」の遂行によって生み出されるものです。ビジネスモデルの遂行過程における「業務改善」は、アウトプットとしての価値を増大させるとともに、その業務改善を通じて新たなビジネスモデルの出現を促進します
価値創造のためのイノベーションとは
価値創造のためのイノベーションは、ビジネスの成長や進化を支える鍵となりますが、そのアプローチは大きく2つに分けられます。
①破壊的イノベーション
破壊的イノベーションとは、従来の市場を根本から覆し、まったく新しいビジネスモデルや技術を導入することで、既存のプレイヤーを圧倒するイノベーションです。破壊的イノベーションは、最初小規模であることが多いですが、急速に拡大し、既存の市場を変革します。
②持続的イノベーション
既存顧客のニーズに合わせ、自社商品やサービスの価値を向上させるために継続して生み出されるイノベーションのことを指します。
破壊的イノベーションは大きなリスクを伴う一方で、成功すれば劇的な変革をもたらします。持続的イノベーションは安定した成長を見込める反面、劇的な変化にはつながりにくいですが、競争力を維持するためには不可欠です。
改善対象を見極めるためのフレームワーク~アンゾフの成長マトリクス
アンゾフの成長マトリクスは、企業がどのように成長できるかを示す4つの戦略を提供するフレームワークです。これを業務改善に応用することで、どの分野に対して改善が行われるべきか、またどのように価値創造ができるかを理解することができます。
「新規技術×新市場」の多角化戦略は、最も革新的でリスクの高いものです。まず「既存技術×既存顧客」を対象にし、そこから徐々に新しい技術や市場にシフトしていくのが最もリスクの少ないアプローチとなります。
3つの観点で価値創造を実現する
「既存技術×既存顧客」を基にした業務改善は、LTVの拡大、客単価の向上と満足度の両立、収益モデルの革新という3つのテーマに分けて考えることで、具体的な戦略を持って実施することができます。
①LTVの拡大
顧客生涯価値(LTV:Life Time Value)とは、顧客が企業と取引を続ける期間中にどれだけの収益をもたらすかを示す指標であり、LTVの拡大は既存顧客からの収益を最大化するための重要な戦略です。そのためには、長期的に収益に貢献する顧客を育てる視点が欠かせません。具体的には、CX(顧客体験)を起点に業務を見直し、ペルソナ設定やカスタマージャーニーマップの活用を通じて「個客」の行動やインサイトを掘り起こし、改善点を明確にします。
さらに、ファン体験の再設計や共創型のコミュニティづくりなど、パーソナライズされた特別感を提供することでエンゲージメントを高め、顧客との継続的な関係構築による価値提供へとつなげていきます。
②客単価向上と満足度の両立
客単価とは、1回の購入で顧客が支払う平均金額を指し、客単価の向上は収益を増加させるための重要な手段です。しかし、単に高く売るのではなく、顧客満足度を損なわないように配慮することが不可欠です。そのためには、顧客にとって価値のあるアップセルやクロスセルの提案を行い、納得感と満足度を両立させることが求められます。
③収益モデルの革新
収益モデルの革新とは、ビジネスの収益源を見直し、新しいモデルを導入することで、顧客にとっての利便性を高めながら、企業にとっての収益性を向上させる取り組みです。たとえば、月額制で継続的にサービスを提供するサブスクリプションモデルは、顧客の利便性を高めると同時に、企業にとっては安定した収益を確保できる手法です。
また、無料で基本機能を提供し、有料プランへの移行を促すフリーミアムモデルは、サービスに対する不安を軽減しながら、段階的な収益化を可能にします。
まとめ
顕在化した課題への対応にとどまらず、業務改善を起点に新たな価値を創造することで、顧客の期待を超える体験を提供できます。ここで挙げたような3つの観点から戦略的にアプローチすることが、収益性と満足度を両立させる鍵となります。
事例で学ぶ業務改善研修~価値創造編
業務改善の起点が不満や問題であるケースは一般的ですが、改善効果を最大化して「価値創造」をするためには、どのように問題に向き合えばよいのでしょうか。
本研修では、業務改善テーマを選ぶノウハウや着目すべき観点を学び、長期的・俯瞰的な視野で顧客への価値創造を実現するための業務改善のポイントを習得します。
特にLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の拡大、客単価向上と満足度の両立、収益モデルの革新の3つのテーマに沿った事例により理解を深めます。
よくあるお悩み・ニーズ
- 顧客目線で不便・不満を解消し、満足度向上や客単価増を図りたい
- 収益性の向上に課題を感じているが具体策が思いつかない
- 顧客と長期的な関係を築きLTV(顧客生涯価値)を向上させたい
本研修の目標
- 目先の改善だけでなく、顧客の価値創造の観点から業務改善を実施することの重要性を理解する
- 業務改善の事例を教訓に、自身の業務に活かせるようになる
- CX視点で改善策を考えられる
セットでおすすめの研修・サービス
CX向上研修~デジタルがもたらした顧客の変化に対応する
お客さまに選ばれ続けることで業績の拡大を実現するうえで、「CX(カスタマーエクスペリエンス)」は避けて通ることのできない概念となっています。
これまで取り組んできた「顧客満足」や「顧客志向」とは何が違うのか、ITとの連携やデータ活用がカギになると言われるのはなぜか、CX活用によってどのような経営的メリットが期待できるのか、などの疑問点を整理したうえで、自社の顧客価値向上に活かすきっかけとしていただくためのプログラムです
<名著から学ぶ>リーダーシップ研修~顧客と現場を軸にして、組織の価値を高める『真実の瞬間』
事前に「真実の瞬間」の書籍を熟読いただいたうえで、読書会形式で議論を重ねていく研修です。
研修においては、講師から内容や用語、本戦略の本質などの説明をさせていただいた後、書籍から学びを現場に持ち帰るためのワークに取り組んでいただきます。
<名著から学ぶ>経営戦略研修1~戦略経営プロセスと環境分析
経営戦略の基本、市場で競争優位性を確立・維持するための知識を学ぶ研修です。
プランニング戦略の考え方を軸に、外部・内部環境分析の考え方や分析手法の理解、そして、本書の軸になるリソース・ベースト・ビュー(RBV)やVRIOフレームワークについて学びます。そして、最終的には、自社の競争優位性を持続的するために何を行えばよいかについても考えます。
<名著から学ぶ>経営戦略研修2~競争優位性を追求する差別化戦略とコスト戦略
企業が市場で競争優位を確立するための「コストリーダーシップ戦略」と「差別化戦略」を学びます。
そして、バリューチェーン分析やVRIOフレームワークを用いて、コスト削減と付加価値の向上、差別化の追求によって、競争優位を持続的にする戦略・施策をそれぞれ考えたうえで、これらを統合して戦略に取り入れるにはどうすば良いかを考えます