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「初めてなのでわかりません...」と言わない新入社員を育てる~トラブル対応のケーススタディで学ぶ問題解決力

現場に入って間もない頃、新入社員の多くが口にする言葉が「初めてなのでわかりません」です。もちろん、初めての業務に戸惑うのは自然なことですが、指示待ちの姿勢だけでは、自分で考えて動ける人材には育ちません。

社会人として求められるのは、予期せぬ事態に直面しても臨機応変に判断し、周囲と連携しながら業務を前に進める力です。

臨機応変に判断する力は「状況整理」から生まれる

社会人になると、日常業務の中で想定外の出来事に遭遇することが少なくありません。例えば、納期が急に前倒しになったり、担当者の急な欠勤で対応が変わったりする場合があります。このような状況で重要なのは、慌てずに状況を整理し、判断の材料を集めることです。

状況整理のステップ

  1. 事実を正確に把握する:何が起きているか、誰が関わっているか、どの時間までに対応すべきかを客観的に確認します
  2. 業務の優先順位を決める:緊急度と重要度の両面から「今すぐ対応すべきこと」と「後で対応可能なこと」を明確にします
  3. 対応の影響範囲を考える:自分だけで解決できるのか、他部署や取引先に影響するのかを把握します

このプロセスを踏むことで、予期せぬ事態でもより冷静に判断し、適切な行動を取ることが可能になります。

自分の考えを論理的に説明する力を鍛える

仕事では、単に行動するだけでなく、「なぜその対応を選んだのか」を説明する力が求められます。「なんとなくこうした」という曖昧な理由では、上司やチームは意思決定の参考にできません。論理的に説明するには、結論 → 理由 → 具体例の順で整理して伝えることが効果的です。

報告・提案の例

結論:「B案で進めたいと考えています」
理由:「A案よりもコストを20%削減でき、納期も短縮できるためです」
具体例:「以前の案件で同様の方法を採用した際も、スムーズに納品できました」

この型を意識して報告するだけでも、相手により考えが伝わりやすくなり、信頼される行動につながります。

予期せぬ事態でもホウ・レン・ソウを欠かさない

自分で考えて動くことと独断で行動することは異なります。特に新入社員は、迷ったときにホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)を適切に行うことが重要です。

  • 報告:状況と対応方針を簡潔にまとめて早めに共有する
  • 連絡:関係者への影響を考え、誰にどの順番で伝えるか整理する
  • 相談:判断に迷った場合は早めに上司や先輩に意見を求める

ホウ・レン・ソウを意識することで、チーム全体としての対応力が向上し、自立した行動がより安全に行えるようになります。

新人研修で見えた「次に強化すべき力」

インソースでは毎年、新人研修を実施しています。その中で近年の傾向として、多くの新入社員は、与えられた指示を正確に実行する能力、いわゆる「指示を確実に実行できる力」に優れていることがわかっています。この力は業務の正確性や信頼性を保つうえで不可欠であり、現場でも高く評価される強みです。

しかし一方で、新人研修を通じて明らかになった課題は、自ら考え、動く力が十分に身についていないことです。自動化やAI技術の進展により、単純作業や指示通りの業務は機械でも対応可能な時代になっています。そのため、人間だからこそ発揮できる判断力や柔軟な対応力、周囲と連携しながら自律的に行動する力が、現場でより一層求められています。

問題解決力を伸ばすための研修設計

問題解決力を養うための研修では、1日かけて全5題のトラブルケースを取り扱います。研修の流れは、実際の職場で起こりうる事例を想定したケースを読み、状況を把握することから始まります。

ワークの進め方

  1. 個人ワーク:ケースを読んで、自分ならどう対応するかをじっくり考えます
  2. グループワーク:各自の対応方法とその理由を共有し、他の受講者の考えを聞きながら理解を深めます
  3. 講師によるインプット:必要に応じて、適切な視点や注意点を講師が解説します

ケースの正解は存在しません。現実の職場でも、問題に対する対応策は一つではないためです。他の受講者の回答を参考に新たな視点を学ぶことも、自分の考えをブラッシュアップすることも可能です。このプロセスを通じて、受講者は判断力・優先順位付け・論理的説明力を自然と身につけることができます。

現場で自分で考えて動ける人材になるために

日々の業務の中で「なぜこの対応なのか」「他に方法はないか」と立ち止まって考える習慣をつけることが、臨機応変な判断力や説明力の土台となります。研修でのケーススタディを通じて経験を積むことで、入社1年目から自立して行動できる若手社員の育成につながります。

【ケースで学ぶシリーズ】入社1年目向け問題解決ワークショップ

本ワークショップでは、1年目社員が直面する可能性のある問題を取り上げ、グループで討議しながらどのように対応するかを考えます。

大事なデータを誤って削除してしまった、自身のミスでお客さまへの納品遅延が発生した、といったシチュエーションのワークに取り組み、タスクの優先順位や考慮すべき要素などを踏まえた対応スキルを鍛えます。

受講者同士のディスカッションを通して、多様な視点で気づきが得られることもポイントです。

本研修のゴール

  1. 問題解決に必要な視点や臨機応変に判断する力を身につける
  2. 自分の考えを論理的に説明し、解決策を考案できるようになる
  3. 問題が及ぼす影響範囲を正確に把握し、状況に合った結論を導き出せる

よくあるお悩み・ニーズ

  • トラブルが発生したときに、どこから手をつけていいかわからない
  • 問題を細かく分析できず、論理だてて判断することが難しい
  • 同時に複数の問題が起こった場合に、うまく対処できるようになってほしい

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セットでおすすめの研修・サービス

(若手向け)ロジカルシンキング研修~情報を整理し、結論を導く

本研修では、論理的思考力を鍛えるべく、ロジカルシンキングのフレームを用い、「いつ・どのように考えるべきなのか」を理解していただきます。

若手でもわかりやすいよう、具体的な仕事の場面のケースに沿って、考えていただきます。

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アサーティブコミュニケーション研修~自他尊重のスタンスで言いにくいことを伝える

本研修では、「言いにくいこと」を伝えるアサーティブコミュニケーションの手法を習得します。アサーティブとは、相手の状況・気持ちを尊重しながら、自分の主張を正直に伝えることです。

講義と豊富なワーク・ケーススタディを通じて、アサーティブであるための心の持ち方を理解し、具体的なコミュニケーションスキルを身につけていただきます。

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