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「SDGs経営」をスローガンで終わらせない~自社の事業価値と社会課題を重ね合わせる「優先順位」設定の3条件

「SDGsという言葉はよく聞くが、正直なところ何を指しているのか曖昧だ」「自社でもSDGs経営に取り組むべきと言われているが、どこから手を付ければよいのか分からない」

あらためてSDGsやSDGs経営を学ぼうとする方の多くが、こうした悩みを抱えています。SDGsは環境や社会に良い取り組み、という漠然としたイメージだけが先行し、経営とどう結びつくのかが見えにくいのが実情です。

しかし、SDGsは単なるスローガンではありません。正しく理解し、経営の文脈で捉え直すことで、企業の意思決定や優先順位を整理するための強力なフレームワークになります。本記事では、「そもそもSDGsとは何か」という基本から、SDGs経営に向けた最初の考え方までを、これから知りたい方向けに整理していきます。

企業はSDGsの17目標を全部追う必要はない

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語では「持続可能な開発目標」と訳されます。2015年に国連で採択され、2030年までに達成すべき17の目標と169のターゲットから構成されています。

ここで最初につまずきやすいのが、「17の目標すべてに取り組まなければならない」と思い込んでしまうことです。しかし、SDGsはもともと国家や国際社会全体に向けた目標であり、企業がそのまま全項目に対応することを前提としていません。

企業に求められているのは、SDGsを自社経営に翻訳し直すことです。自社の事業や強み、置かれている環境を踏まえたうえで、どの社会課題と向き合うのかを選び取る。そのための共通言語としてSDGsが存在している、と理解することが重要です。

社会課題への対応は、やらなければ事業が続かない条件

SDGsがここまで経営テーマとして注目される背景には、企業を取り巻く環境の変化があります。環境規制の強化、人手不足の深刻化、サプライチェーン全体への責任要請など、社会課題はすでに企業活動の前提条件になっています。

つまり、社会課題への対応は「余力があればやること」ではなく、やらなければ事業が続かない条件になりつつあります。SDGs経営とは、社会貢献を装った別枠の活動ではなく、事業継続と成長のために社会課題をどう捉えるか、という経営判断そのものなのです。

この視点を持たないままSDGsに取り組むと、ロゴを貼るだけ、目標を掲げるだけで終わり、現場や経営に何も残らない取り組みになってしまいます。

自社を取り巻く環境の整理からはじめよう

SDGs経営を考えるうえで、いきなり目標設定や施策検討から入るのはおすすめできません。最初に行うべきなのは、自社を取り巻く環境の整理です。

例えば、自社の事業がどの社会課題と接点を持っているのか、市場や顧客、規制動向はどう変化しているのかといった視点で整理していくと、SDGsとの接点が自然と浮かび上がってきます。これは経営企画で行う外部環境分析や内部資源分析と本質的に同じです。

SDGs経営とは、新しい特別な経営手法ではなく、既存の経営フレームワークに社会課題という視点を重ね合わせる営みだと言えます。

SDGs優先課題は3条件で決める~事業価値と社会価値の重ね方

SDGs経営で最も重要なのが、優先課題の設定です。ありがちなのは、「取り組みやすそうな目標」や「社内で反対が少なそうなテーマ」から選んでしまうことです。しかし、それでは経営インパクトの薄い活動に終わってしまいます。

  • 自社の事業価値に直結するかどうか
  • 自社が取り組むことで、社会にどのような変化をもたらせるのか
  • 自社の競争力や信頼性にどう跳ね返ってくるのか

優先課題を考える際には以上の3条件を意識してみてください。これらが重なる領域こそがSDGs経営の出発点になります。

SDGsを使える経営ツールに変える

SDGsを正しく知るとは、17の目標を暗記することではありません。SDGsを通じて、社会と経営の関係を構造的に理解し、自社の意思決定に活かせる状態になることです。

最初から完璧を目指す必要はありません。まずは、自社にとってのSDGsとは何かを言語化するところから始める。その積み重ねが、形だけではないSDGs経営につながっていきます。

SDGs導入研修~社会課題の解決と企業活動を結ぶ(冊子教材・テスト付き)

SDGsと企業価値は関係しており、これからの経営陣や管理職にはSDGsを理解し実現に向けて行動することが大切です。本動画ではSDGsを含めた経営戦略の立て方、そしてSDGs経営の実現について講師が解説します。

「そもそもSDGsとは」といった基本的な知識を解説したうえで、自社をSDGs視点で分析し、どのように導入していけばよいか学んでいただきます。講師がわかりやすく例を交えながら解説するのではじめてSDGs、そしてSDGs経営について学びたいといった管理職、経営者の方におすすめの動画です。

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セットでおすすめの研修・サービス

SDGs時代のマーケティング研修~2030sの顧客視点で売れるサービスとは

なぜ社会がSDGsを重視しているのか、自社の商品はどのように変わっていくのか、これから5~15年後の顧客はどのような志向に変わっていくのかなど、長期的な目線で考えていただきます。

そして、既存業務にSDGsを取り入れる方法や、これから自社や自分が何をしていけばよいか、具体的に考えられるようになっていただきます。

>公開講座の詳細はこちら

SDGsマインドとデータ活用で組織変革を目指すプラン

アパレル・ファッション業界向けのプランです。所属するすべての職種の方にSDGs企業として生まれ変わる意識を醸成し、データ活用による新規ビジネスモデル・新商品開発と、生産~販売までのフローを見直すソリューションです。

サスティナブルファッション・SDGsの達成に寄与するビジネス展開がなぜ必要かを全社員が理解する機会を設ける。DX導入により販売予測を立て、商品企画~製造工程の見直しと効果的な販促活動を考える。新規事業の検討や業務改善など、学びを現場での実践に落とし込む計画を立てる。という段階で解決に向けてご提案・伴走いたします。

>プラン詳細はこちら

SDGs研修

組織がSDGsに取り組むことで、経済価値と社会価値双方の創出が実現され、循環型の仕組みが生まれます。SDGsへの貢献を指針にすることで新規事業のアイデアが生まれるなど、ビジネスと社会活動の好循環が醸成されます。2030年のコミットに向けて目標を立て、自組織でSDGsを達成するためのPDCAを回していくこと、それがこれからの時代の企業戦略です。インソースでは、組織としてSDGsを推進するための研修やワークショップを数多く開発しています。

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