売上不振時の対処策~あらゆるマネージャーに知って欲しい6つの回復ステップ|営業活動・業績拡大の方法論4
売上アップは企業の経営者・マネージャーにとって常に課題です。今回は、「3.売上不振時の対処策」についてご説明します。
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- 売上不振時の対処策~あらゆるマネージャーに知って欲しい6つの回復ステップ
- 全社的な総合対策を行う~すぐに行動する
- 「誰か」「何か」のせいにしてはいけない
補足:全社一丸営業の超カンタンな方法~セールスメールを送ってみる
3.売上不振時の危機対処策~あらゆるマネージャーに知って欲しい6つの回復ステップ
インソースを起業して23年、創業期もしかり、最近ではコロナ禍で破綻しそうになりました。そんな当社を見限って去っていく人もあり、心ない言葉をわざわざ伝えに来る人もいました。苦しい毎日を過ごしましたが、社員一同のがんばりもあり、なんとか乗り越える事ができました。心より感謝しています。
何度もあった売上不振をなんとか乗り越えてきた経験を踏まえ、売上不振時に経営者やマネージャーは何をすべきかを知ってもらいたいと思います。「大企業だしそんなことはまず起きない」とお考えの方もいるかもしれませんが、あらゆるマネージャーがこの方法論を頭に入れておいて損はありません。巨大企業でも危機は来ます。天下の日立製作所でも2009年3月期には製造業として当時過去最大の約7,800億円の最終赤字となり、危機的状況に陥っています。
日立製作所の元会長である川村隆氏の著書『ザ・ラストマン 日立グループのV字回復を導いた「やり抜く力」』に書かれている危機対処のヒリヒリした現場感、資金確保の大変さ、スピード感を持って課題解決にあたる姿などは、当社の様な規模の小さな企業でも、まさに参考になる内容です。危機対応には定石があるようです。
3-1.全社的な総合対策を行う~すぐに行動する
売上不振時でも「売上確保は営業担当者の責任」とだけ考えている企業はまず消滅します。特に業績が不振な場合や外部環境の大きな変化があった場合、徹底的に全社員で組織を守り、売上を上げようと徹底的に思う事が大事です。そんな時、私は以下のステップ・順番で進めます。
①資金確保~現金流出を最大限止める
仕入れ先への支払いや銀行への返済ができなくなれば、いわゆる「不渡り」となり、企業活動はできなくなります。全社的なコストダウンによる資金の捻出を実施し、運転資金を確保します。具体的には、人件費以外の経費については全部カットすべく行動します。会社は毎日現金が流出しますので、まず、流出を止めます。スピード勝負です。早く動くのが勝ちです。
②選択と集中を実施~現在の資金、能力の範囲で徹底的に営業する
短期的には、現有能力で売上確保できる範囲にお客様や商品・サービスを絞り込み、選択と集中を実施し、資金流出を最小限にしながら確実に売上を確保します。
③すぐ行動する~改めて顧客の話を直接聞く
売り上げが落ちたなら、必ず自社や自社の営業担当者、サービスや商品に何か課題があるはずです。自社の業績が伸びない、そんな時は社長や営業トップ自ら不振原因を探ることが必要です。外部環境を原因にして思考停止してはいけません。
まず、10社位の顧客から直接ヒアリングします。直接聞きに行けば、自社サービス・商品や営業方法の悪い点や競合の良い点をあっさり教えてくれるのがお客様です。課題を把握したら大至急改善に着手します。また、お得意先であれば、経営者や営業トップ自ら訪問すれば、新しい仕事がいただける可能性もあります。
④全社営業~全社一丸となり売上を確保する
全社一丸となって、今ある商品・サービスを徹底的に売ります。一人ひとりがわずかな力でも全社員で営業活動を実施すれば、大きな営業パワーになります。売上が確保でき、資金に少しでも余裕ができれば、早期に通常状態に戻ることができます。営業以外の人でもWebを作ったり、セールスメールを送ったり、DMを作成して送ったりして営業する事は可能です。また、経理の担当者が顧客と親密なこともよくあります。
手帳で有名な出版社の高橋書店は、編集者も12月は営業担当者となり、全社員で手帳の営業に集中するとのことです。インソースでは、現在に至るまで20年間定期的に全社員でお客さま宛の架電を実施し、全社で営業の重要性を認識する機会を持っています。
全社架電は自社のコアビジネスを再確認する、全社員が顧客ニーズを再確認する場となると同時に全社のベクトルをあわせる場になります。
⑤危機を脱したら迅速に新商品・新サービスを投入する
危機を脱したら、さらに売上を拡大するために、資金面で無理ない範囲で新商品・新サービス開発を再開し、新規売上を増していきます。ダメな企業は全社営業による売上確保より、こちらを先行しがちですが、資金流出が早まるだけなのでオススメできません。
⑥最後に人員増、設備投資を行う
最後に採用を再開し、設備投資を増やしていき、新たな売上確保を目指します。
3-2.「誰か」「何か」のせいにしてはいけない
経営者や営業マネージャーにありがちな事として「誰々が悪い」「サービス・製品が悪い」と考える事は厳禁です。これは思考停止の最たるものです。
犯人捜し、部署間に非難合戦をしても、業績は良くなりません。大体において売上不振の理由は1つではありません。会社全体に散在する課題を一つひとつ洗い出して改善するしかないのです。
自分がラストマン~売上責任は全員が持つ事が重要
売上不振や危機においては、あらゆる部署のマネージャーが「ラストマンシップ」(最後は自分が責任を持つという精神)を持って臨むことが重要だと思います。川村氏の言葉になりますが、マネージャーだけでなく、社員一人ひとりが「自分が最終意思決定者であり、最後は自分が責任を持つ」という覚悟が持てれば売上確保は実現できるのではないかと思います。松下幸之助氏の言葉にあるように「強く思えば、必ず道は開けてくる」信じて思う事です。
補足:全社一丸営業の超カンタンな方法~セールスメールを送ってみる
①名刺からデータベースを作る
創業から少したった会社だったら、社内に1万枚ぐらい名刺はあるものです。この名刺から簡単なデータベースを作って、営業担当者以外でセールスメールを作って送ってみましょう。名刺登録は面倒ですが、最近は高性能なOCR機能付きスキャナーが10万円以下で出回っています。これを使えば1万枚ぐらいなら1週間以内でデータベース化できると思います。
②セールスメールを作る
メールの内容は、新商品についてでも、最近の販売事例でもかまいません。また、「期末なので、ぜひご支援ください」という内容でも良いと思います。開発者や研究者の方がサービスや製品をよく知っており、詳細なサービスや商品説明は得意だと思います。
③セールスメールを送る
私の経験では1万通のセールスメールを初めて送ると、初回メールでは200件程度の返信やレスポンスが期待できます。「頑張れ」という返信もありますし、「こんな提案が欲しい」と商談になるのが20件程度はあるのではないかと思います。これをフックに売上増を確保して欲しいと思います。
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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)
1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。
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