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「どこかに競り勝つ」のではなく、「全員が幸せになれる地域づくり」を目指す

労働人口が都市部に集中する長期トレンドに変化が見られたのは、やはりコロナ禍でした。以前よりも、空き家再生や移住促進プロジェクト、地域コミュニティの活性化への注目度が高まっています。また、ふるさと納税制度が普及したことも手伝って、地域の課題を自分事に感じ、応援したいという気持ちを行動に移すことができるようになりました。農林水産省が推進するＧＩ制度（地理的表示）では、地域の生産者を守ることはもちろん、日本の高品質な食材を世界に売り込もうとする動きも見られます。

就業者減少が著しい第一次産業ではＩＴ技術を活用したスマート化、経営収支の改善や設備投資に公的機関の支援が欠かせません。世界に誇る自動車産業をはじめとした第ニ次産業でも生産工程の効率化や付加価値の向上、サプライチェーン全体のリスクマネジメントなどの指導が求められます。ステークホルダー全員が輝けるように、産業や官民、組織と個人などの違いを超えた全体最適を目指すうえで、ハブとなる役割を担うのが経済局（経済産業局）や観光局の皆さまです。

現場を知り、現場に還す。プロジェクトは机上では動かない

資金調達や設備投資、経営改善の業務に携わる職員は、単に必要な知識を有しているだけでは仕事になりません。対象の組織や関係事業者との関わりをふまえ、時にそれらの中に踏み込んで問題点を洗い出し、解消へと導くリーダーシップや高い交渉スキルを身につける必要があります。補助金制度の周知や申請受理の場面では、煩雑な内容をわかりやすく説明し、相手を動かすことも多いでしょう。ステークホルダーの実情を慮りながらも、適正な方向や手段へと着実に推し進めるプロジェクトマネジメントが望まれます。自走化を促進し、中長期的な事業発展を共に考える姿勢が大切です。

膨大なデータを活かせるのが行政機関の強み。誘致・観光マーケティングへの活用

企業誘致や観光開発は蓄積された多種多様なデータを用いたマーケティング活動が重要です。データ分析は単なる数値の操作や集計ではなく、ビジネス上の課題を解決するための意思決定を支援することにその目的があります。インバウンド顧客が「面白い、興味深い」と感じることは、実は予算をかけなくても見つけられる場合もあります。清潔で美味しい食べ物があるうえ物価が割安で過ごしやすいことに感動し２回・３回と日本を訪れるリピーターは、都市部のみならず地方へと興味を拡大していきます。雄大な自然の中でのトレッキング、原風景が残る棚田での農業体験、郷土料理ワークショップなどは、ＳＮＳを使った販促も有効です。

スペシャリストが地方創生を支援。ワークショップやディスカッションの場づくりも

インソースグループのミテモ株式会社は、地方創生と地方活性のための人材育成を支援する組織です。地方・中小企業のブランド開発、デザインイノベーションの具体的な事例を学べるイベント開催やワークショップの実施、デザイナーおよびマーケター・販路開拓アドバイザーなどの専門家による伴走支援サービスを展開しています。失われそうな伝統事業の承継を推進するアトツギ育成事業では、承継予定者のイノベーション創出を図り、既存事業の発展や第二創業を促します。