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環境局職員の「誇り」を取り戻す~なくてはならない仕事の本質に光を当てる

大気汚染対策や地域の清掃、廃棄物処理・リサイクルなど、環境局の業務は市民の生活を支える重要な仕事です。

その一方で「汚い」「きつい」といったイメージが先行し、若手の定着や士気の維持に課題を抱えている行政機関は少なくありません。

さらに、閉鎖的な職場環境や上下関係の硬直化が、不祥事やモチベーション低下を招くリスクもあります。

本記事では、環境局職員が自らの仕事に誇りを持ち、地域に貢献する「やりがい」を実感できるようにするための人材育成の考え方をご紹介します。

現場の「当たり前」を見直す~環境局の仕事が軽視されやすい背景

社会的な認知ギャップが職員の誇りを奪う

環境局の仕事は、市民生活を支える根幹業務であるにもかかわらず、社会的には3Kの仕事のイメージが根強く残っています。

職員自身が「自分の仕事は周りから評価されない」と感じてしまうようなことがあればと、使命感ややりがいを失いかねません。

特に河川港湾の清掃や廃棄物処理業務に携わる職員は、市民から感謝される機会が少なく、外部との交流も限られています。これが閉鎖的な環境を生み出し、組織の風通しを悪化させてしまうのです。

「慣れ」と「我慢」が蔓延する職場文化

長年の慣習により、「新人は先輩の背中を見て仕事を覚えろ」「ベテランの言うことは絶対」という風土が残っている職場も少なくありません。

こうした文化では、ミスや不正を報告しにくい雰囲気が生まれ、結果として不祥事が起こったり安全上のリスクが高まることになります。まずはこれまで当たり前とされてきた仕事の進め方や人間関係を、組織として見直すことが求められます。

やりがいを再構築する~使命と感謝を可視化する仕組みづくり

住民サービスとしての価値を再定義する

環境局の業務は、単なる「汚物処理」ではなく、地域の衛生と安全を守る公共サービスです。この社会的使命を明確に言語化し、全職員に共有することが重要です。

たとえば、朝の清掃活動を「市民の1日を気持ちよく始めてもらうための大切な仕事」と位置づけるだけで、仕事の見方が大きく変わります。管理職がこうした価値を日々の会話で伝え、職員の行動を認める習慣をつくることが、やりがいの再構築につながります

感謝の声を見える化する取り組み

環境局の中には、市民から届いた感謝の声や清掃後の地域の変化を写真で共有するなど、職員の努力が目に見える形で残る仕組みを導入している組織もあります。

感謝の可視化は、単なるモチベーション向上にとどまらず、職員が自分の行動の社会的意義を再確認する機会にもなります。これは離職防止や新人の定着にも大きな効果をもたらします。

不祥事を防ぐための人材育成~規律よりも信頼の文化を育てる

指導ではなく対話を中心にしたマネジメント

不祥事の背景には、「先輩の良くない行為を上司に相談できない」「注意してもベテランメンバーから反発される」といったコミュニケーション不全が潜んでいます。

これを防ぐには、指導中心のマネジメントから、対話を重ねる育成型マネジメントへの転換が欠かせません。上司が日常的に職員の意見や不安を聞き、判断の背景を共有することで、「監視されている」という感覚から「信頼されている」という安心感へと変わります。

「倫理教育」は一度きりではなく、継続的に

不祥事防止のために倫理研修を実施しても、形式的に終わってしまうケースは少なくありません。倫理教育は、年1回の集合研修で終えるのではなく、繰り返し話題にすることが大切です。

たとえば、チームミーティングの冒頭で「市民から見て誇れる対応とは何か」を5分間ディスカッションするだけでも、意識の定着につながります。

職場の閉鎖性を打破する~外とのつながりが職員を変える

他部署・地域との協働が刺激を生む

環境局職員が抱える「閉鎖的な環境」という課題を解消するためには、外部との連携が有効です。

たとえば、学校や地域団体と協働してリサイクル活動を行ったり、他部署と合同で安全啓発イベントを実施したりすることで、新たな視点や達成感が生まれます。他職種と関わる経験は、職員の柔軟な発想を育て、日々の業務にも良い刺激を与えます。

若手の意見を吸い上げる場の設計

若手職員の意見を積極的に取り入れる仕組みを整えることも重要です。「提案ボックス」や「現場改善会議」など、小さな声を拾い上げる機会をつくることで、組織に新しい風が生まれます。

これにより、ベテランと若手の間に健全な対話が生まれ、世代を超えた信頼関係が生まれます。

まとめ~「地味だが誇れる仕事」に光を当てる人材育成へ

環境局の仕事は、派手さないが、地域社会の安全・衛生・安心を支えるなくてはならない存在です。

しかし、誇りややりがいは自然に育つものではなく、組織が意識的に育成し、伝え続ける必要があります。「使命の共有」「感謝の可視化」「対話によるマネジメント」「外部連携」の4つを意識することで、職員は自分の仕事に価値を感じ、モラルとモチベーションを両立できるようになります。

ジョブ・クラフティング研修~目の前の仕事をやりがいのある仕事に変える(1日間)

若手~中堅社員向けの、やらされ感のある仕事を「仕事の捉え方」「仕事のやり方」「人との関わり方」の3つの枠組みで考えて再定義し、仕事の取組み姿勢をより前向きにすることを目指します。

仕事のやり方の創意工夫・改善案の検討を通じて働く個人の主体性を引き出し、組織全体のパフォーマンスを向上させます。

よくあるお悩み・ニーズ

  • 気が乗らない仕事や退屈だと感じる仕事がある
  • 分業やマニュアル化により、仕事の成果が見えづらくモチベーションが低下している
  • 若手・中堅社員のワーク・エンゲージメントを高めたい

研修のゴール

  1. 自分の仕事が誰にどのように役立っているか(=仕事の意義)の検討・自己分析を通じて、仕事を前向きに捉えるための考え方を学ぶ
  2. 仕事を円滑にしたり、効率を上げたりするために現場で取り組むことのできる「創意工夫」を、受講者同士で意見を出し合いながら発見する
  3. 周囲との関わり方の見直しにより、チームワークを向上し、仕事の充実度を高める
  4. 自分の仕事を「仕事の捉え方」「仕事のやり方」「人との関わり方」の3つの観点で振り返り、今後取り組むことをまとめ、実践計画を作る

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