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「やります」と言ってやらない部下を「やりきる人」に変える~自律・協働・目的意識の実践ステップ

目標を立てるところまでは早い。企画のアイデアも出せる。しかし、いざ実行の段階に入ると急に動きが鈍り、自ら設定した計画のまま止まってしまう。

多くの管理職や人事ご担当者が、この「実行の壁」に悩んでいます。実行できない若手・部下の姿を前に、こんな声をよく耳にします。

  • 「頑張りますと言うけれど、進捗を見せてこない」
  • 「やる気はあるのに、成果に結びつかない」
  • 「課題を見つけるのは上手いのに、改善の一歩目が遅い」

実はこの「動けなさ」の背景には、個人の性格や意志力ではなく、仕事を前に進めるための「構造」を知らない・身につけていないという理由が大きくあります。

部下が実行に移れない本質的な理由

実行力が低い=根気がない、ではありません。現場でよく見られる3つの「つまずきポイント」があります。

① 目標が抽象的なままで、本人の中に景色が見えていない

「頑張ります」「気をつけます」「改善します」こうした「抽象語」だけが並んだ目標は、実行段階で迷いを生みます。明確さの欠如は、そのまま行動の停滞につながります。

② 行動への落とし込みが甘い

実行力が低い人ほど、計画を「やることリスト」のレベルから細分化できていません。

  • どの作業にどれだけ時間がかかるか
  • どの順番で手をつければよいか
  • 途中で何をチェックすべきか

これらの視点がないため、忙しさに流された瞬間に計画は消えます。

③ 周囲との関係性が「自分に都合よく働く」状態になっている

誰にも共有していない目標は、どれだけでも先延ばしができます。本来、実行力は個人だけで完結するものではなく、周囲による「支え」や「刺激」を前提とした力です。

実行力の高い人に共通する3つの軸

実行力の高い人が特別な性格を持っているわけではありません。行動、思考、環境づくりの3つを意識的に行っているだけです。

1.自律(セルフマネジメント)

  • 目標を数値化できる
  • 計画を日・週レベルまで分解できる
  • 迷った時の判断基準を自分で持つ

2.協働(周囲の力を借りる)

  • やることを宣言する
  • 定期的に進捗を共有する
  • 課題が出たらすぐ相談する

3.目的意識(Why?を見失わない)

「なぜそれをやるのか」を理解している人は、行動の優先順位を自然と判断できます。逆に目的を見失うと、行動が「作業化」し、惰性に陥ります。

実行力を引き出すための、管理職ができる5つのアプローチ

ここからは「明日から使える実践策」を、現場での変化が起きやすい順で紹介します。

① 抽象的な目標を「測れる目標」に言い換える

部下の口癖が「気をつけます」「もっと頑張ります」の場合、その目標はスタート地点にすら立てていません。管理職が介入すべきポイントは、「達成したか否かを、誰が見ても判断できる」状態をつくることです。

測れる目標の例:

×「ミスを減らす」
〇「誤入力件数を今月10件 → 来月5件へ減らす」
〇「チェックリストを全件使用し、朝会で1回報告する」

これだけで行動の解像度が一気に上がります。

② 計画を「行動の粒度」まで分解するサポートをする

「企画書をつくる」は作業の塊です。実行力が低い人は、この塊を小さく割れません。

管理職がサポートできるのは、「この作業、何分で終わる?」と聞くことです。質問だけで、部下は作業の粒度を細かくせざるを得なくなります。

行動の粒度の例:

  • 情報収集:30分
  • 構成案の作成:45分
  • ドラフト作成:1時間
  • レビュー依頼:15分

細分化すると、途端に「やれる気」が湧き、着手率も高まります。

③ KPIを設定し「見える進捗管理」を習慣化させる

計画が崩れる人の共通点は、「動いているつもり」になってしまうことです。そこでKPI(重要指標)を使います。

重要指標の例:

  • 目標:メルマガからのCV数100件
  • KPI:週2本の原稿作成と、配信後の効果分析

数字が見えると、行動が嘘をつけなくなります。週1回のミーティングで進捗を確認するだけで、部下の行動の「質」が変わっていきます。

④ 宣言と共有で、部下が逃げにくい環境にする

実行力が低い人ほど「ひとりで抱える」傾向があります。しかし、実行力を高める最短ルートは、周囲に「宣言」することです。

宣言の例:

  • チーム朝会で目標を発表
  • 週次で進捗を共有
  • KPIをデスク周りに掲示

周囲の目が入ることで、行動のブレがぐっと減ります。

⑤ 振り返りの量が、実行力の伸び幅を決める

実行力の高い人は、例外なく「振り返り」が上手いです。行動を振り返らない=成長のエンジンが止まる、とも言えます。振り返りに効果的なのはKPT(Keep / Problem / Try)です。

KPTとは:

  • Keep⋯⋯よかったこと
  • Problem⋯⋯問題だったこと
  • Try⋯⋯次回試したいこと

よかったこと、問題だったこと、次回試したいこと、これを毎週書き出して整理するだけで、部下の「自己改善サイクル」が回り始めます。

実行力は、継続して初めて「成果」を生む

実行力は一時的なブームではありません。継続し、改善し、習慣化して初めて力になります。

  • うまくいったことは仕組み化してチームに共有する
  • うまくいかなかったことは原因を分析し改善策を試す
  • 成果が出なくても、プロセスを続ける

実行力が高い人は「進み続ける人」であり、その姿勢こそが組織の文化をつくります。

「やりきる」人材へ変わってもらうために

「やります」と言って終わる人材から、「やりきる」人材へ。コラムで説明してきた内容を体系的に身に付けて頂けるように、インソースでは「仕事の実行力研修」をご用意しています。「実行できない状態」が変わると、職場全体のスピード・品質・生産性が劇的に変化します。

仕事の実行力研修~「自律」「協働」「目的意識」で仕事を前に進める

実行力を高めるための方法として、①自分を律する、②まわりの力を借りる、③自分の仕事の意義を確認するという3つのポイントに分けて解説します。

演習を行いながら、適切な目標や計画の立て方を学び、「目標や計画は立てたが、実行に結びつかなかった」とならないよう、どのように実行して継続していくか、どうすれば早く目標に近づいていけるかといった実行のポイントを学びます。

本研修のゴール

  1. 目標の立て方、計画の仕方を学ぶことで、実行へ結びつけることができるようになる
  2. 振り返りの重要性を学び、振り返りのポイントをおさえることで、継続するための方法を知る
  3. まわりの力を借りる、自分の仕事の意義を確認するなど、早く目標に到達できる方法を学ぶ

よくあるお悩み・ニーズ

  1. 目標や計画を立てただけで終わってしまい、なかなか実行に結びつかない
  2. 決めたことをうまくやりきることができない
  3. 継続して実行する力を身につけたい

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セットでおすすめの研修・サービス

仕事の生産性向上研修~「デキる人」に共通する時間の使い方・習慣を取り入れる

研修の冒頭で、なぜ自分の仕事は遅いのかというところに踏み込みます。そのうえで、では具体的に何をどのように変えていけばよいのかを、デキる人がいつも心掛けている観点・実践している工夫を着手前・着手中に分けてお伝えします。

個々人の能力の差以外の、締め切りの設定方法・時間の生み出し方といった段取りのつけ方をブラッシュアップする機会としていただけます。

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部下モチベーション向上研修~アドラー心理学を活用し、部下を勇気づける

本研修では、アドラー心理学を活用して部下のモチベーションを向上させ、勇気づけるためのコミュニケーションのポイントを学びます。

研修では、受講者自身と部下との関係性を改めて振り返っていただき、上司が部下の上に立つ縦の関係から「横の関係」になることの有効性について理解していただきます。

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主体性発揮研修~6つの行動で仕事の向き合い方を変える

20代を中心とした入社半年~5年目程度の方へ向けて、主体的に行動するために必要なことを、6つの行動にまとめています。

主体的な行動、相手への配慮と言われても何から始めたらわからないという声も多く、具体的な行動で示すことを重視しました。主体性の土台にはモラルや謙虚さ、感謝の気持ちなど、人としての姿勢の部分があります。社会人として成長し続けるために必要な考え方や行動を早い段階で身につけて習慣化していただく研修です。

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