こなしている感はあるのに、満足度は高まらないあなたへ「仕事の景色が変わる」ジョブクラフティング入門

働き続けるほど業務には慣れ、効率よくこなせるようになります。しかしその一方で、
- 「成長実感がなくなってきた」
- 「自分の仕事の価値が見えにくい」
- 「刺激や手応えが減ってきた」
と感じる中堅社員は多くいます。特にキャリアの真ん中に差し掛かる時期は、新人育成・後輩フォロー・部署間調整といった「誰かを支える役割」が増えるため、「自分の仕事に集中できる時間が減る」という構造的な要因もあります。
その結果、「こなしている感」はあるのに、満足度は高まらないというギャップが生まれやすいのです。ここで役立つのがジョブクラフティングという考え方です。ジョブクラフティングの考え方が組織に浸透すると、社員のモチベーションやエンゲージメントが高まるだけでなく、業務の質向上や創意工夫の文化づくりにもつながります。
仕事のやる気が下がる「停滞期」は、誰にでも訪れる
ある企業の中堅社員Aさんは「日々の業務に慣れすぎて新鮮さがなく、朝起きると職場に向かうのが重たい」と感じていました。上司や人事に相談しても、業務量を減らすことやキャリアの方向性を変えることには限界があります。
Aさんは「環境が変わらないから、自分も変われない」と思い込んでいました。しかし、実際には環境が変わらなくても、仕事の「捉え方」と「関わり方」を変えることで、日々の充実度は大きく変化します。ジョブクラフティングとは、この「見えない部分の変革」に着目する発想です。
ジョブクラフティングとは何か~同じ業務の意味づけを変えること
ジョブクラフティングは、アメリカの組織心理学者エイミー・レズネスキー教授が提唱した概念です。人は仕事をただの作業として捉えることもできますが、「自分の価値観」「他者への貢献」「社会とのつながり」を見いだすことによって、同じ業務でも意味づけが大きく変わるとしています。ジョブクラフティングには、主に次の3つのアプローチがあります。
①タスク・クラフティング(仕事の内容に変化をつける)
担当する業務のやり方、順番、工夫の仕方を自ら見直し、やりがいや成長につながる形に再構成する方法です。例えば、作業的に行っていた資料作成に「社内で活用されやすいようにストーリー性をつける」など、自分なりの意図を加えることで、業務は単なる作業から価値創造に変わります。
② リレーショナル・クラフティング(関わる人を変える・広げる)
仕事で関わる人やコミュニケーションの仕方を工夫することで、やりがいや仕事観に変化が生まれます。顧客と直接会話をする時間を増やしたり、他部署と連携する機会を意図的につくったりすることで、視野が広がり、新たな学びやモチベーションが生まります。
③ コグニティブ・クラフティング(仕事の意味の再解釈)
最も効果が高いと言われるアプローチが「意味づけ」の作り直しです。例えば、同じ「営業資料の作成」でも、「提案のためのルーティン作業」と捉えるか、「お客様の未来を共に描くための価値創造」と捉えるかで、やる気や集中力が大きく変わります。つまり、仕事に対する「認知の枠組み」を変えることで、日々のパフォーマンスが向上するのです。
ジョブクラフティングが中堅社員に効く理由~コントロールできるから
中堅層が陥りやすい停滞感の背景には、次のような構造があります。
- 経験が増えた分、業務への慣れからマンネリ化が起こりやすい
- 新しい挑戦が減り、「できること」を求められ続ける
- 周囲から頼られ責任は増えるが、成長実感が薄れやすい
これらは環境を変えるだけでは解決しにくい特徴を持ちます。しかし、ジョブクラフティングの発想を取り入れることで、日々の仕事に「自分らしさ」と「主体性」を取り戻すことができます。中堅期は次期リーダーや次期管理職などの「役割変化の途上」であり、ジョブクラフティングはその変化を自分の意思でコントロールするための手段になるのです。
管理職・人事が果たすべき役割~ジョブクラフティングには支援が必要
ジョブクラフティングは個人の行動に焦点を当てる概念ですが、管理職や人事の支援があることで組織全体に広がります。
- 管理職は、メンバーが自分なりの工夫や挑戦を行える余白をつくる
- 人事は、キャリア自律を支援する研修や対話の機会を提供する
- 評価制度や目標管理の運用を見直し、挑戦が評価される文化を育てる
これらが揃うと、ジョブクラフティングは一部の人の取り組みではなく、組織文化の一部として定着していきます。
明日からできる、小さなジョブクラフティングの例
例えば、次のような行動はすべてジョブクラフティングに該当します。
- 毎週1回、業務の「意味」を振り返る時間を設ける
- 顧客の声を直接聞きに行く
- 自分が得意な分野を小さな改善に生かす
- 他部署の人とのランチや情報交換を習慣化する
こうした取り組みを積み重ねることで、「仕事が自分に合っていない」という思い込みは、小さな変化の連続によって次第に薄れ、本来の主体性が取り戻されていきます。
「仕事に意味を取り戻す」ことが、最強のモチベーションになる
モチベーションは外から与えられるものではなく、自らの手でつくることができます。そのために必要なのが、ジョブクラフティングという視点です。仕事の本質的な価値や、誰の役に立ちたいのかといった問いに向き合うことで、再び仕事へのエネルギーが湧き上がる瞬間があります。これは中堅社員だけでなく、管理職や人事にとっても、自らの働きがいを再発見するヒントになります。
「仕事のモチベーションが上がらない」。その悩みは、必ずしも環境が原因ではありません。あなた自身の視点と行動で、仕事は必ず「自分ごと化」できます。ジョブクラフティングは、今日からでも始められる一歩です。
中堅社員向けジョブクラフティング研修~目の前の仕事が、やりがいのある仕事に変わる
仕事の振り返りや自身の役割を考えるだけでなく、自身の仕事について深く掘り下げます。仕事の意義や今後できる工夫を演習で考えながら、自分の仕事を自身で面白いものにしていくための考え方を学びます。
本研修のゴール
- 自身のこれまでの仕事の成果を振り返り、成長を実感する
- 自身の仕事の意義を考え、仕事をやりがいのあるものに変える考え方を学ぶ
- 自身の仕事でできる創意工夫を考える
よくあるお悩み・ニーズ
- 仕事の成果や変化が見えづらく、やりがいを感じにくい
- 日々の業務の忙しさで、モチベーションを上手く保てない
- 中堅層のモチベーションや仕事への意識をもっと高めたい
セットでおすすめの研修・サービス
【いろいろな年齢別の研修をご用意しています!】社会人として仕事をするなかでは、具体的な仕事の悩みだけでなく、漠然とした不安やもやもやした気持ちをかかえることがあります。その悩みや不安を「壁」と考え、年齢別にぶつかりやすい壁とそれに対する対策を学ぶ研修です。
25歳の壁を乗り越える研修~考え方を切り替え、ワンランク上の仕事を目指す
社会人3年目にあたる25歳頃は、仕事の慣れや失敗などからモチベーション低下を起こしやすい時期です。研修では、壁をチャンスと捉えるポイントとして「考え方の切り替え」をお伝えいたします。
また「プロフェッショナルとは何か」、「自分はどのような姿勢で仕事に臨むのか」など仕事の姿勢を改めて見直し、今後の目標設定をしていただきます。
27歳の壁を乗り越える研修~仕事の「慣れ」に打ち勝ち、成長を続ける
社会人5年目にあたる27歳頃は仕事の慣れがモチベーション低下の大きな要因の一つとなります。慣れて満足するのではなく、そこからどのようにステップアップできるか、研修内では自身の業務での新しいチャレンジや目標を考えます。
また、教わっていた立場から教わる立場になるなど、変わる役割や立場に対応するための仕事の進め方を学びます。将来への不安を解消するため、自身のキャリアの見通しをつける演習を行うことで、自分がどのように成長していけるかのイメージを持っていただきます。周囲と比べない、など自身の視野を広げるためのヒントも多く盛り込んでいます。
30代向けキャリアデザイン研修~主体的かつ戦略的にキャリアを考える
「仕事」「ライフ」「お金」の観点から、今後の「キャリア」を主体的に考えることで、仕事に対するモチベーションを高めていただきます。
<研修のポイント>
- マインドセット ~現在は「キャリアをつかむ」時代であることを理解する
- 現在・5年後・10年後という3つの視点から自分に求められる役割を考える
- 20代から60代までの年代別キャリアを「仕事面」「生活面」「経済面・資金面」の3つの面から知ることができる
- 今後30年を具体的に考える
40歳の壁を乗り越える研修~体と心の変化に向き合い、長く活躍し続ける
40歳になると、管理職として仕事をする人が増え、その分管理する範囲や責任の大きさに悩むことも多くなります。体力低下を感じる年齢でもあり、自分の思うように働けないストレスを感じることが増えていきます。長く活躍するためには健康面への気づかいも大切です。
研修内では自身の日頃の運動量を把握したうえで、今後の体力づくりの計画を立てます。無理がきかなくなるからこそ、仕事の仕方を見直すタイミングでもあり、仕事術やマネジメントスキルについても学んでいきます。
50代活動(いそかつ)研修~これからのワークスタイルを考える
まずはこれまでの仕事人生を棚卸しして、期待と現実に向き合います。そのうえで経験や知見が豊富な50代だからこそできる、中長期的な組織課題の解決や提言を考えていただきます。
目の前の仕事を処理していくことに精いっぱいの後進を支え、真に所属企業の発展・維持に欠かせないイノベーターの役割も担う人材になれるように、マインドチェンジを図ります。






