たった10万円で試せる現場の「見える化」~Raspberry Piで始める、最短・最安のPoC

データ活用の技術(生成AI、ビッグデータ分析、IoT、機械学習など)が身近になる一方で、「うちではまだ何もできていない」と不安に思っていませんか。課題は認識しているものの、具体的な進め方が分からず最初の一歩を踏み出せない...そんな声をよく聞きます。
たとえば、現場で「見える化」を始めようとしても、次のような実務上のつまずきで止まってしまうケースが多いです。
- センサーやデバイスが高額で、導入の可否を巡る議論に時間がかかり、検証が進まない
- 現場の通信環境や電源の制約が多く、実証実験(PoC)が思うように進められない
このように、取り組み始めても検証・改善につながらなければ効果は出ません。そうなると判断が現場の勘に頼る形になり、原因の切り分けに時間がかかってしまうため、改善は「そのうちやろう」と先送りされがちです。
見える化が止まる3つの壁~費用・準備・続け方
1.費用の壁
「まず、どのくらい掛かるのか」が見えないと、検討が進みにくくなります。試行のつもりでも本番仕様が混ざって見積もりが膨らみ、ケーブルや固定具、通信やクラウドの月額、社内工数などの細かな出費があとから積み上がります。その結果、効果と費用のバランスを説明しづらくなります。
最初は目的に直結する最小構成に絞り、期間と上限費用を先に決めることが肝心です。小さく始めて必要な分だけ広げられる選択肢があると、一歩目はぐっと軽くなります。
2.準備の壁
動かす前に「何を測り、何ができたら成功か」をはっきりさせないと、手戻りが増えます。センサー位置や配線・通信は現場事情に左右され、時間の単位・記録間隔・時刻合わせ・OK/NG基準といったデータの約束事が曖昧だと、集めても使えないデータになります。安全・品質・情報管理との調整も欠かせません。理想は、仮設でさっと流して現場で基準を合わせ、合意形成まで一気通貫で進めることです。置きやすく入れ替えやすい仕立てなら、準備は自然と前に進みます。
3.続け方の壁
つまずきやすいのは、集めたデータの「使い道」を先に決めていないことです。ここが曖昧だと、誰も見なくなる、アラートに慣れて無視される、解釈が人によってばらつく、改善が進まず測っただけになるといったことが起きます。
使い道を先に決め、軽い運用ルールと自分たちで直せる前提を用意しておくと、見える化は日常に根づき、数字の改善につながります。
解決策の提示:Raspberry Pi(ラズパイ)という選択肢
ここでおすすめしたいのが、Raspberry Pi(ラズベリーパイ/ラズパイ)を軸にしたスモールスタートです。ラズパイは手のひらサイズの小型コンピュータで、安価・低電力・拡張性が高い点が特徴です。プログラミングは主にPythonで行い、センサーと組み合わせることで現場データの収集・記録・簡易可視化が手軽にできます。
例:ラズパイを用いた温湿度監視システム

ラズパイの概要
- 基板型の小型コンピュータで、一般的なパソコン同様にプログラムを実行できる
- 温湿度、人感、距離など多様なセンサーを低コストで接続できる
- 消費電力で運用しやすく、通信や電源に制約のある現場でも工夫して導入しやすい
- PythonでCSV記録や折れ線・棒グラフの可視化まで一連の流れを短時間で作れる
現場改善に役立つラズパイ活用法3選
1.製造現場の温湿度管理~品質を守るための温度チェック
製造業において、品質を保つためには温度と湿度の管理が欠かせません。特に、製品の品質に直接影響を与える冷蔵倉庫や保管エリアでは、温湿度のモニタリングが非常に重要です。
ここでラズパイを使えば、コストを抑えながら簡単に環境データを収集できます。例えば、温湿度センサーを倉庫の特定エリアに設置し、ラズパイを使ってデータをリアルタイムで記録。記録されたデータを定期的にグラフ化し、管理者が確認できれば、環境の異常を早期に発見できます。
また、基準値を設定してアラート機能を付けることで、異常が発生した際には即座に対応できるため、品質の低下を防ぐ手助けになります。
2.小売店の客動線管理~簡単な人流分析
小売業において、顧客がどのように店舗内を移動するかを把握することは、売上を向上させる上で非常に重要です。ラズパイと人感センサーを活用すれば、どの場所に顧客が多く集まるのかを簡単に知ることができます。
人感センサーを店舗内の特定エリアに設置し、ラズパイでデータを収集した後、棒グラフや円グラフを使ってそのデータを視覚化します。これにより、混雑しやすい時間帯やエリアが明確になり、スタッフ配置の最適化や、混雑を避けるためのレイアウト変更が可能になります。
3.物流倉庫の滞留管理~通路の混雑を見える化
物流現場では、効率的な動線が作業効率に直結します。ラズパイを利用することで、倉庫内の滞留や混雑のタイミングを測定でき、改善に役立てることができます。
距離センサーを使って、特定の通路を通る商品の数をカウントしたり、滞留時間を測定することで、どの通路がボトルネックになっているのかを特定できます。そのデータをラズパイで記録し、グラフやヒートマップとして視覚化することで、混雑しやすい時間帯や場所が一目でわかります。これにより、通路の改善や作業フローの見直しが即座に行えるため、作業効率の向上に繋がります。
IoT入門研修~Raspberry Piで「見えないデータ」を可視化する(2日間)
ラズパイを活用した現場の見える化を、Pythonを使って実践的に学べる実習型の研修を提供しています。初心者でも確実に再現できるよう、ステップバイステップでサポートします。これから始める方に最適な内容です。
研修の特徴
- 実践的なカリキュラム:Pythonの基礎からラズパイを使った現場の見える化まで、一貫して学べるプログラム
- 初心者向けのステップバイステップ:プログラミング未経験者でも理解できるよう、丁寧にサポートしながら進めます
- 現場で即活用できるスキル:学んだ内容をすぐに現場に適用できる実用的なスキルを身につけることができます
受講者コメント
- ラズパイとPythonの基礎から実践的な見える化まで学べ、実際にデータを収集し、可視化する手順が分かりやすかったです。
- 初心者でも理解しやすく、手を動かしながら学べたので実務に役立つスキルが身につきました。
- 研修後すぐに使える技術が学べ、現場改善に活かせるツールを実感できて満足しています。
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AI・IoTの周辺知識や導入プロセスに沿って準備すべきことを学ぶ研修です。
講師からの説明や参考事例を通して理解を深め、職場での活用を考えていきます。研修の後半では具体的な計画を立てるワークに取り組み、その成果物を活かして現場での実践につなげていただきます。
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