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行動習慣化の極意は66日間の継続にあり~研修を実務で活かし続ける人事の仕組みづくり

  • 研修を実施しても行動が続かない
  • 良い取り組みを始めても三日坊主で終わってしまう
  • 育成施策の効果が見えづらいと各部署からの声がある

人事部の方からはこのようなお悩みを多くうかがいます。行動が継続しない理由は、個人の意欲不足だけではありません。また組織としての習慣設計が不十分である場合、どれだけ意欲があっても、やがて行動は途切れてしまうことがあります。

本記事では、習慣化の科学やインキュベートの法則、66日間の定着プロセスをもとに、人事部が実践すべき施策を体系的に解説します。

行動の起点を感情に置くと続かない

研修後の社員が前向きな姿勢を見せると「やる気があるので研修内容を現場でも活かすだろう」と判断しがちです。しかし、行動科学の観点では、やる気は行動の起点としては不安定で、個々人の感情や刺激に左右されやすい要素とされています。

本人のやる気が低下した途端に行動が止まり、再開までに相応の労力がかかるため、継続できる人とそうでない人がはっきりと分かれてしまうのです。

行動が続く人に共通しているのは、前向きな感情ではなく、 決められたことをそのとおりに行うための環境づくりが整っていること です。行動がパターン化されると、やる気がなくても自然に動ける状態になります。

<事例:ランニング習慣>

好きなアイドルの「ステージで2時間走り切れるように、3年前からランニングやってます!今ではすっかりハマって、全国のフルマラソン大会を旅行も兼ねて巡ってます」に感化され、健康づくりも兼ねて「自分も明日から朝10キロ走るぞ!」と思ったとします。

コンサート翌日の日曜日、朝6時に起きるつもりが昨夜の疲れで時刻は、もうお昼前。カーテンを開けると小雨がぱらついていて、気温も低そうです。シンクには昨日使った食器がそのまま残っている。さあ、あなたは外に走りに行けるでしょうか。

行動するからやる気が湧いてくる~小さく始め、継続できる仕組みを作る

多くの研究では、 行動と感情の関係は順序が逆であり、行動するからやる気が湧いてくる と示されています。行動を積み重ねることで成功体験や自己効力感が生まれ、感情は後から追いついてきます。 人事部が先に整えるべきは、意欲を高める仕掛けよりも、最初の行動を小さく始め、継続できる仕組みです。

行動が定着するまでのリアルな時間は66日間

行動が習慣として脳に定着するまでには一定の時間が必要とされています。その一つが、およそ21日間継続すると脳が行動パターンを安定化させるというインキュベートの法則です。しかし、より詳細な研究では、 行動が完全に自動化し、負荷なくできるようになるには平均で66日間が必要 とされています。

途中でやる気が上下しようとも66日間継続して研修内容を継続する仕組みをつくることで、定着率が大きく高まります。例えば、研修後のフォロー期間を21日間や1カ月で終わらせず、約2カ月間の支援設計を組むことなどが有効です。

育成施策に習慣化を組み込む人事のメソッド

決められた行動をそのまま実行し続けるためには、 個人の強い意思ではなく、実行を妨げない環境設計 が欠かせません。特に次の3つがポイントです。

1.行動の開始障壁を限りなく低くする

行動が複雑だったり準備が多かったりすると、やる気が弱まった瞬間に取り組みが止まります。行動のハードルを低くすることは、単に続けやすさを高めるだけではありません。達成感が得やすくなるだけではなく、小さな成功体験を積み重ねることで自己肯定感が自然と上がり、またやろうと思える循環が生まれます。

<事例:ランニング習慣>

いきなり10kmから始めずに、

  • 朝洗面台で顔を洗ったついでに玄関を出て、最寄りのコンビニに小走りでコーヒーを買いに行く
  • コーヒーを飲み切る時間でご近所をウォーキングして家まで帰る

2.行うべき行動を明確に細分化する

曖昧な目標は継続の妨げになるため、具体的な単位まで落とし込みます。

<事例:ランニング習慣>
  • 1日に歩く歩数をこれまでよりも1000歩増やす
  • 1週間経過ごとに、2番目に近いコンビニ、3番目に近いコンビニと徐々に遠くしていく

3.行動ができたことを可視化し、確認できる仕組みを用意する

行動の見える化は継続に大きな効果があります。

<事例:ランニング習慣>
  • 歩数計、歩数カウントアプリを使って1日の運動量を記録する
  • 達成できた日はカレンダーに赤色のペンで花丸をつける

66日間続けるための組織サポート

66日間行動を継続させるには、行動を機械的に続けることが重要です。この期間に必要なのは、励ましよりもシステマチックな後押しです。たとえば、週次の進捗共有、部門内の短い振り返りミーティング、行動記録のテンプレートなどが有効です。行動を始めたばかりの従業員には、過度な期待をかけず、淡々と続けられる環境を提供します。

習慣化させる3つの仕組み~行動が続く組織の人事部は何をしているのか

仕組み1:行動を可視化し、負荷なく記録できる状態に

習慣化の初期段階では、記録を残すことが行動の後押しとなります。ただし、記録作業そのものが負担になると継続は難しくなるため、その仕組みは極めて簡素にすることが重要です。特に、日記型ではなくチェック形式にすると効果的です。行動の達成のみを選択する方式は入力負荷が小さく、記録の習慣化も自然に進みます。

仕組み2:周囲の目が自然なプレッシャーとなるような場づくり

人は完全な一人よりも、誰かに見られているほうが行動を継続させやすい傾向があります。周囲の関与は過度でなくても効果があります。たとえば、部門ごとの振り返り共有や、チームでの進捗をひとこと報告するなど、短い接点を組み込むことで行動の継続率が上がります。これは行動科学でいう社会的比較が作用した例で、自然な範囲での刺激が行動につながります。

仕組み3:行動の意味づけを定期的に伝え、目的を見失わせない

行動が続かない大きな理由の一つが、目的を見失うことです。初期のモチベーションが薄れた頃に、行動の意味や期待される成果を再度伝えることで、やる気が後から湧いてくる状態がつくられます。目的の再提示は、個人の意思を強めるというより、行動が習慣として根づくための安定剤として機能します。

行動デザインの観点で確認しておきたいポイント

次の5つの項目を満たしているかを確認することで、習慣化の確度が大きく変わります。

  1. 行動の開始準備に過度な手間がかからない
  2. 行動項目が適切に細分化され、迷わず取り組める状態である
  3. 行動したかどうかを即座に確認できる記録方法がある
  4. 行動を共有できる小さな場が定期的に設けられている
  5. 行動の目的が節目ごとに再度伝えられていること

この5つが揃うと、66日間の継続を支えることができます。

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