「外部研修は効果がない」は本当か? 外部研修ならではのメリットと研修企画のコツ

「外部研修は効果がない」は本当か? 外部研修ならではのメリットと研修企画のコツ

1.外部研修とは

個々の従業員のスキルアップや業務遂行に欠かせないノウハウを習得する研修のうち、その実施を外部組織に委託するものを外部研修といいます。

研修を内製化する場合、各階層の人材要件を満たす知識やスキルを明確にしたうえで、それらを獲得できる研修を体系化し、実施する研修のカリキュラムを作成する必要があります。これらすべてを独自に実現できる組織はそう多くはなく、外部の研修事業会社からの提案を受けて、あるいは研修会社がもつ研修プログラムをうまく活用して、研修を実施している組織がほとんどです。

2.外部研修のメリット・デメリット

■メリット

①研修テーマに詳しいスペシャリストを講師に招くことができる
②研修で使用するテキストなどを作成する必要がなく、研修担当者の負担が減らせる
③組織内にないスキルや新鮮な考え方・新たな学びを得られる

外部研修を検討するメリットとして代表的なものを3つ掲げました。

研修会社に所属し登壇をする講師は、いわゆるその道のプロフェッショナルです。特定の分野において豊富な知識をもち、特殊な経験も積んできた方や困難な状況で責任者として現場の最前線に立ち続けた方も少なくありません。学術的な知見から物事の考え方を解説し提案をする「先生・教授」のようなタイプの講師と、ビジネスの現場で活躍してきたノウハウを共有するタイプの講師に大別されます。

外部研修の場合は、研修時に使用するテキストも研修会社が準備します。自組織で研修テキストを作成しなくてもよいので、単純にその分の業務負担はなくなりますし、プロフェッショナルが制作するテキストなので精度が高い成果物であることはおおよそ約束されています。従業員の各種教育・トレーニングは総務人事部の方や各現場の指導役の方に一任されているという状況も多いので、外注してしまえば、研修担当者自身は通常業務に集中できるようになります。

いわゆる「自組織内部でだけ通用するもの」以外の、広く一般的なビジネスパーソンとしての姿やスキルを身につけさせたい、あるいは近年のトレンドをふまえた学びの場を提供して知見を広げさせたいなどの場合には、外部研修が効果的です。組織内部の慣例にとらわれないフレッシュなものの見方・トレンドの考え方を取り入れることができます。

■デメリット

①自組織の状況にぴったり合う研修内容にならないこともある
②状況により、希望の講師を選定できない可能性がある
③予算金額よりも多くの研修費用がかかることもある
④一般的すぎる研修内容だった場合、受講者の満足度が下がる

前述のとおりメリットが多い外部研修ですが、デメリットが全くないかというと、残念ながらそうではありません。実施を委託する教育会社に自組織内の状況や課題・受講者に伝えてほしいことなどを要望として提示できていなければ、想定と異なるプログラムで事を進められたり、多額の費用を請求されてしまったりするなどのトラブルにつながります。

また、受講者の現場での悩みや課題に全くそぐわないテーマを選定してしまうと、内容は良いものだったが肝心の受講者の満足度が低く、「現場で使えない・役に立たない研修だった」と評価されかねません。

その他、せっかく外注したのにいわゆる一般論の範囲内の研修内容にとどまってしまい、目新しい学びを全く得られなかったという結果になることもあります。委託する研修会社によっては、対応する研修内容に偏りがあったり、ビジネスマナー・OAの分野を専門としているスクールや、コールセンター等の特定の業界への人材支援に事業を集中させている会社もあります。問い合せる際は、依頼しようとしている研修テーマを得意としているか、信頼できる実績があるか注意するとよいでしょう。

3.内部研修のメリット・デメリット

■メリット

①組織内部の状況にあわせ、自由に研修を設計できる
②同じ組織で働く方が講師となるため、業務でよくある個別具体的な事例を提示することができ、受講者の理解度が高まる
③研修内容を自分事として受け止められる

内部研修のメリットは、何といっても組織の内情が分かっている方が研修を企画し、テキストを作り解説するので、臨場感があるところです。受講者自身が組織から示されている教育を受けているという実感を覚えやすく、「明日からすぐにでも自分の業務に活用できる」テクニックを直接的にレクチャーしてもらえるという印象を抱きます。

■デメリット

①研修テーマに詳しい人材が組織内にいない場合、誰もその分野の教育を実施できない
②研修で使用するテキストをイチから作成しなくてはならず、コストがかかる
③講師として研修に登壇する方の通常業務が滞ってしまう
④講師として研修を行う方の知識に偏りがある・伝え方のスキルがあまり高くないと、受講者の理解度が低くなる可能性がある
⑤既知のメンバー同士で集まるので、緊張感が削がれて学びを吸収しようという受講者の意欲が下がることもある

組織の状況を充分に把握できていたとしても、課題を解決に導く策がうまく提示できない・効果的な研修の「実施運用」が難しい・建設的な学びの場を作れないなどが良くない点として挙げられます。費用コストは外部研修より多くかからないかもしれませんが、ヒトと時間のコストを考えると外部に委託したほうが総体的に安くつく場合もあります。

このように、内部研修と外部研修のそれぞれの特性を理解したうえで、研修を内部で実施するか外部に委託するかを検討するのがおすすめです。

4.研修に関するお問い合わせをいただいた際に、インソースが心がけていること

日々多くの組織から研修実施のお問合せを受けているインソースですが、例えば「管理職層にコミュニケーション研修を実施したい」とおっしゃるお客さまにそのまま「ではそのとおりに実施しましょう」とはお伝えしません。必ず、なぜコミュニケーション研修を実施しようというお考えに至ったのか・管理職層が対象なのか・対象者がどういう状況になれば実施効果があったとご判断いただけるのかをうかがいます。

このようなやりとりを通じて、組織における人材育成の課題を浮き彫りにしていきます。以下の点が曖昧なままに研修を企画・実施してしまうと、受講者のレベルに合わない難易度や現場で活用できない学びを無理に与えることとなり、結果として受講者も満足感を得られず、コストに見合わない「効果のない研修」に陥ってしまうことが過去の実績から容易に想像できるからです。実施時間や、対面受講かオンライン受講かといった運用面・その他のご希望もこの時にあわせてお尋ねします。

①研修を外部に依頼しようと思われた組織課題や背景・目的

②受講対象者が携わっている業務の概要、所属部署・年齢や階層、人数

③研修のゴール ~受講者がどのような姿になれば、①の目的を果たせたといえるのか

④研修の実施時間、実施形態

①研修を外部に依頼しようと思われた組織課題や背景・目的

当社が最も重要視しているのが「何のためのその研修を実施するのか」という目的の部分です。お客さまの想いを丁寧にヒアリングしてニーズを分析します。組織課題と目的が一致しているかどうかを早い段階で見極め、研修企画の方向性を定めます。目的がぐらぐらと揺れていたり、あまりに多くのことを求めていらっしゃったりするようであれば、営業担当者が一緒にご要望を整理して優先順位をつけるお手伝いをします。

②受講対象者が携わっている業務の概要、所属部署・年齢や階層、人数

全従業員の方にマインドチェンジ・スキルアップを図りたいのか、それとも部下を束ねる立場にある管理職のみにまずは先行して受講させることとするか、顧客に直に接する機会がある職種メンバーに対象を絞るかなどを確認します。

対象者が普段従事している業務の質を上げるものとしてその研修を企画するのか、全く知識やノウハウのない方に新たな考え方を付与するために企画するものなのかという違いは大きいです。研修内容の理解度が受講者レベルに合致していなければ、よく分からない無駄な時間を過ごさせ、現場で使いこなせないオーバースペックな情報を詰め込むだけの「残念な・使えない研修」となってしまいかねません。この点を明らかにすることも、重要視しています。

厳しい口調できびきびと解説してほしいなどのご要望や、派遣する講師は○○業界出身者がよいなどのご要望にも可能な限りお応えします。受講者の現場での困りごとを理解し時には代弁し、具体的な回答や道しるべを経験談も踏まえながら受講者を引き込んで解説できる(研修効果を最大化できる)人材をアサインします。

一度の研修に参加いただく受講者人数は、30名程度で1クラスの設定をお願いしています。対面型実施でもオンライン型実施でも、講師の解説を受講者全員が理解できているか、ワーク内容を理解し遅れずに取り組めているかを講師がしっかりと確認・把握するためには、おおよそこの人数が上限です。そのため受講者数がさらに多くなる研修では、1回で全員同時受講ではなく2回~3回と分割実施する、あるいはメインで研修を進める講師だけでなく受講者フォローを行うサブ講師を追加したり、あるいは貴組織の研修担当者さまにご支援をお願いしたりする場合もございます。

③研修のゴール ~受講者がどのような姿になれば、①の目的を果たせたといえるのか

ダイバーシティの知識を付与したい、エンジニアなどの技術職にもCSマインドを醸成させたい、などが研修の目的であったとします。では適切な知識を付与できた・マインドを醸成できたかどうかは、どのように測られるのでしょうか。多くの場合、それは受講者が学びを現場でたくさん発揮することで証明されます。

当社が企画する研修は、受講者が職場で実践できるところまで落とし込むワークやケーススタディに研修時間全体の約60%を割いています。講義によるインプットの後時間をおかずにアウトプットの時間を設け、翌日からの現場での実践につなげます。研修をきっかけに普段の仕事での自身の行動を変えられるように導きます。どうせ現場で使えないノウハウしか教えてもらえないから、外部研修はモチベーションが上がらない・意味がないと思っている受講者が多いのであれば、それはこのゴールの設定が不明瞭だからかもしれません。

④研修の実施時間、実施形態

研修テーマにもよりますが、基本的には多くの研修は1日間6~7時間を使って実施することをおすすめしています。受講者の業務を終日止めてしまうことは避けたいので半日や2時間程度で実施できないか、というお声も多く寄せられますが、現場で実践できるレベルにまで学びを落とし込むという部分を大幅に省いてしまっては、ゴールを達成できにくくなる可能性が高まることをご理解ください。

先に述べたとおり、じっくりとお話をうかがった結果、時には研修ご担当者さまが当初想定していた内容の研修とは異なるテーマを提案する場合もございます。組織内部で認知なさっている課題が、実は真の課題ではない、あるいは1番最初に改善すべき課題ではないかもしれないのです。その場合は、当社内に蓄積された多くの知見から導き出したおすすめのプログラムをご紹介し、検討いただきます。

5.内部研修の質を上げるインソースのサービス

外部に委託することができない内部研修の質を上げるサービスも展開しているのが、他の研修事業会社にはないインソースの強みです。

■「伝わる・わかる」社内講師を養成する研修の実施

例えば工場での製造ノウハウ・保険商品の設計のしかたなど、社外秘の情報を従業員にレクチャーするのは、外部研修会社に依頼できないものです。そういった教育は組織内で企画・実施せざるを得ませんが、その研修の講師役となる方は普段は講師業務以外の業務に就いておいでのいわばセミプロです。

講師・インストラクター養成研修

インソースの講師・インストラクター養成研修では、「研修企画スキル」「インストラクションスキル」「コミュニケーションスキル」の3つをバランスよく身につけることによって、効果的に受講者をゴールに導くことを目指します。内部講師を組織内に複数人養成できれば、これまで外部に委託していた研修までも内製化できるようになります。

■社内研修素材(テキスト・スライド・動画)をさらに分かりやすく・美しく

多種多様なお客さまにさまざまな研修を提供してきたインソースグループでは、研修に使用するテキストやマニュアルをコンサルティングするサービスも提供しています。学ばせたい組織独自のノウハウややり方・商材の中には、書面による解説資料ではなく「その様子を見て学ぶ」方が理解しやすいというものも多くあるのではないでしょうか。ナレッジを文字で表現するのではなく、図・表や動画に落とし込んだものに作り替えたいとお考えのお客さまの手間を軽減できます。

社員教育の課題を「映像・スライド・漫画」でサポート!マニュアルを映像化

動画テキスト制作、日本語マニュアルの他言語化やスライド化など、お客さま組織の状況に合わせ企画段階からご支援します。

動画百貨店 カスタマイズ動画教材 制作サービス

お客さま組織内で撮影いただいた動画をもとにテロップやご要望に応じて編集するのがこちらのサービスです。明るさや画角の調整、BGMなどを追加し、精度を高めます。

■社内テキストをいつでも参照でき、学べるプラットフォーム構築

LMS・教育管理システム「Leaf」

内部研修テキストは、それを必要としている社員に必要なタイミングでいつでも提供され、そして管理者によって適切に更新されなければなりません。インソースが開発した教育管理システム「Leaf(リーフ)」は、業界屈指の安さを誇るLMSです。動画などデータの格納容量は無制限で、何本の動画を載せても追加費用はかかりません。インターネット環境さえあれば、国内外のオフィス・自宅でリモートワーク中・出張先などどこからでも利用いただけます。

職務経験に合わせて学ばせたいレベルの動画や、あるいは次回の配属現場で必要となるノウハウマニュアルを上席者や管理者があらかじめ指定し、期限までに対象者に視聴させるといったOff-JT教育も可能になります。このサービスを導入いただくと、組織における社員教育制度そのものの在り方を変えられ、教育コストを劇的に圧縮できます。

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