「育休、どうしたら......」育休取得当事者のお悩み・イクボスとしての管理職のあり方

「育休、どうしたら......」
育休取得当事者のお悩み・イクボスとしての管理職のあり方

近年、育児休暇取得や「イクボス」(男性・女性を問わず、部下・メンバーの出産・育児参加を理解し、支援する管理職のこと)推進の動きが加速しています。2019年の秋にも、政府が、「イクメン企業アワード2019」や「イクボスアワード2019」を発表するなど、男性・女性に限らず、従業員の育児と仕事の両立を推進する施策が進められています。

参考:厚生労働省『「イクメン企業アワード2019」・「イクボスアワード2019」の受賞企業・受賞者を決定しました』https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07189.html(最終アクセス日:2020/2/13)

一方、自分ごとになったらどうすればよいか、組織としては実際どう対応できるのか、と不安を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?

そこで本日は、育休取得当事者と、見守るイクボスとしての管理職、双方の視点から、「育児休暇と仕事の両立に関わる現場のお悩みとその解決策」をさぐります。管理職の方だけでなく、人事ご担当の方も「現場のお悩み」を知っていただき、働く現場に制度が正しく認識されスムーズに運用されるようお役立ていただければ幸いです。

【ケース1 当事者のお悩み】

「やりがいのある仕事も任せてもらえて充実した毎日。妊娠したのは嬉しいけれど、今自分が抜けるとかなり迷惑をかけることになりそう......」

「妻の産後の具合が思ったより悪い。制度があるなら活用したいが、自分にしかできない業務があって休みづらい......」

■何が問題?

・引き継ぎや業務の調整が難しい

・自身(配偶者)の不安定な体調

・復帰後は限られた勤務時間や突発的な早退・遅刻・欠勤が考えられる

このように、育休取得を検討するにあたっては、やらなければならないことや、思い通りにならないことの多さから不安を感じる当事者は多いものです。

中でも「周囲の人に迷惑をかけてしまう」という心配は大きなものではないでしょうか。

■解決のポイントは

[1]自己開示して上司や周囲の理解と支援を得る

責任感のある人ほど、周囲に迷惑がかかることを恐れて上司への申告が遅れることがあります。しかし、当事者の申告から休暇取得までの期間が短ければ短いほど、周囲のメンバーには負荷がかかります。

出産・子育ては予想外のことの連続です。

「できないことはできないと言う」「今までやってきたことを断る勇気を持つ」ことが必要です。今までの働き方から、「他のメンバーに助けてもらう」意識に変えていきましょう。

チームのメンバーが同じ状況になった時に「お互い様」と言えるよう、メンバーを信頼して「迷惑」をかけましょう。

ただし、フォローしてもらう立場であることを忘れ、「育休は当然の権利」「お互い様なんだから当たり前」といった態度には注意が必要です。子育て中は余裕がなく、自分のことで精一杯になりがちです。業務を引き取ってくれた周囲の大変さも想像しましょう。

また、上司に対し、今後どう働きたいかを開示し、仕事に対する熱意を表明することは、信頼関係につながることを理解しましょう。

[2]業務の標準化/見える化でスムーズな引継ぎを目指す

業務が滞らないよう、引継ぎ相手やスケジュールを職場で共有することは、組織で働く全員の義務といえます。日頃よりマニュアルなどで業務を標準化し、フローを明確にすることを心がけたいですね。

「あの人でなければできない」と言われるような仕事は最小限にしていきましょう。

こういった引継ぎ体制の構築にもやはり上司や周囲のメンバーの理解と協力が不可欠です。全て当事者ひとりでやろうとせず、周囲を巻き込んで考えることが解決のポイントになります。

【ケース2 管理職のお悩み:子どもができた部下に対して】

「おめでたい話だけど、いつまで働けるんだろう?」

「育休を取って、職場復帰はうまくいくだろうか、どんな業務をお願いしたらいいだろうか」

■何が問題?

・当事者にどこまで業務を配分していいのか、当事者がどうしたいのかがわからない

・産休、育休前から復帰までの妊産婦の知識がなく、何を負担に感じるのかが見えにくい

・自社の制度を知らない

・当事者の業務量を把握していない

このように、「知らない」ことが不安の要因であることは多いものです。

■解決のポイントは

[1]当事者の希望を確認する

まずは「おめでとう」と一緒に喜ぶ姿勢を取りましょう!当事者は、迷惑がかかることを恐れて本音を言えない人もいます。ネガティブな表情や発言は控えるよう配慮が必要です。

また、「迷惑をかける」と気に病むメンバーに対しては、「どんな支援が必要か具体的に言ってほしい。周囲やお客さまにとってのリスク軽減のためにも、気兼ねなく相談してほしい」と伝え、全力でサポートする姿勢を見せましょう。

1対1面談などで、当事者の今後の希望・おかれている環境・危惧している点などをすり合わせることで、どのくらいの分量の仕事を任せたらよいのか、といった具体的な方針を決めることができます。

インソースの研修では「カミングアウトシート」というワークシートを使い、当事者に書ける範囲で意向を書いてもらい、話し合うことおすすめしています。女性だから、男性だから、妊婦だからとひとくくりにせず、「1人ひとりに寄り添った個別対応」を心がけましょう。

<カミングアウトシート 項目例>

□身近な保育支援者 あり/なし

□出張       日帰りならOK/ 泊りでもOK/( )泊までならOK/できない

□キャリアについて(自由記述)
(記入例)子どもが小さいうちは業務量をセーブしたいと考えていますが、成長に合わせて責任のある仕事もこなしていきたいと考えています。

[2]ハラスメント発言に注意する

当事者と話をする際、下記のような言葉には注意が必要です。
「妊婦だから出張はできないよね?」(母親に対するマタニティハラスメント)
「男のくせに育休とってたら出世できないぞ」(父親に対するパタニティハラスメント)

このように、古い価値観からの無自覚な発言は、今の時代ではハラスメントと取られる場合もあります。育児・介護休業法では、不利益な扱いを禁止しています。

法令遵守の面からも円滑に育休を取得できるよう働きかけが必要です。リスク回避しながら制度を活用することは多様な働き方を選択することにつながります。メンバーの要望や思い、価値観を理解することに努め、不適切な言動・対応に注意していきましょう。

[3]自組織の制度や支援体制について知る

部下の意向に適切なアドバイスを出せるよう、管理職自らが出産から育児の流れを知り、制度や対象者の相談窓口などを理解していることが求められます。産休、育休、時短勤務、フレックス勤務などの勤務形態、支援体制について確認しておき、申請方法などを当事者に教えましょう。

なお、時系列で、「当事者が行うこと」「管理職が支援すること」が明記されている資料(「産休・育休ハンドブック」など)を利用すると効率的です。組織や自治体が用意していることも多いので確認しておきましょう。

【ケース3 管理職のお悩み:メンバーに対して】

「職場のメンバーから、『今でもいっぱいいっぱいなのに、あの人の仕事をどうするんですか?』と声があがって、仕事を振り分けしづらい......」

■何が問題?

・職場のメンバーに支援をあおぎづらい

・メンバー同士が補い合う環境がない

・職場環境に余裕がなく、当事者が休みにくい/帰りにくい雰囲気がある

例えば、職場の業務が属人化していたり、各メンバーがすでに多くの業務をかかえている場合、更なる仕事の振り分けは切り出しにくいものですよね。

■解決のポイントは

[1]管理職が「協働」の空気をつくる

上司が「全く困るよな、すまないけどフォローしてやってよ」という姿勢では、当事者の肩身が狭くなるばかりです。

この場合に注意すべきなのは、メンバーへねぎらいのつもりでかけた言葉が、休む当事者を責めるようなものになることです。管理職の価値観はそのままメンバーやチームの指針となりやすいため、言動に配慮が求められます。管理職自ら「協働」の姿勢を見せることが大切です。また、急なスケジュール変更や業務負荷がかかると、メンバーには負担やストレスが溜まります。育休当事者の時短や欠勤の支えには周囲のメンバーの理解が不可欠であり、不公平感が出るとメンバーのモチベーションが下がるので、業務の配分には工夫が必要です。管理職から「ありがとう」という気持ちを継続的に声がけするようにしましょう。

[2]「協働」は横展開できる

「休みが取れる組織」とは、そのまま介護休暇や働き方改革にも対応できる組織につながります。誰かが突然休んでもお互いに補い合える職場には、協働のマインドやコミュニケーションのスキルが必要です。
どんな環境におかれても当事者が能力を発揮でき、成果を出しやすい配慮や支援をお互いが意識することは企業の成長戦略につながります。

いかがでしょうか。このように変化が起きる時は問題に目が行きがちですが、仕事の分担見直し、コミュニケーションスキルの向上など、組織にもたらすメリットにも転換できます。前例がない職場では手探りで進んでいくことになりますが、後に続く人材に多様な働き方を示すことができます。

安心して育児休暇と仕事を両立できるという「感謝」は、組織に対するエンゲージメントにつながり、支えてもらったことがある人は、人を支えることができる人材に育つことでしょう。ぜひ育休取得推進の動きを貴組織の改善のきっかけとしていただければ幸いです。

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