自治体DX推進とは?デジタル改革を成功させるための手順と要素
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自治体DX推進とは、デジタル技術とデータを活用し、行政サービスを向上させる取組みです。
単にデジタルツールを導入するだけでなく、利用者目線でのサービス改善と業務効率化を目指す、組織全体の変革を指します。この推進は、住民の利便性を高める基幹システムの標準化や行政手続のオンライン化を重点的に進めるものです。
AIやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入、テレワークの推進、そして強固なセキュリティ対策も自治体DXを実現するために重要な要素となります。首長の強力なリーダーシップのもと、「誰一人取り残さない」デジタル社会の実現を目指す、それが自治体DX推進の大きな目標です。
自治体DX推進のステップ~総務省の「自治体DX推進手順書」より
総務省は、各自治体がDXを円滑に進められるよう、具体的な手順を示した「自治体DX推進手順書」を公開しています。現在は令和7年3月に公開された第4.0版が活用されており、この手順書に沿ってDX推進のステップを見ていきましょう。
- STEP0:DXの認識共有・機運醸成
- STEP1:全体方針の決定
- STEP2:推進体制の整備
- STEP3:DXの取組みの実行
STEP0:DXの認識共有・機運醸成~推進の重要性を理解し、「住民目線」を身につける
DX推進の第一歩は、組織全体で「DXとは何か」を理解し、その重要性を共有することです。デジタル社会形成基本法の理念に基づき、自治体は住民がより良いデジタルサービスを受けられるよう、自律的に施策を実施する責務を負います。
この変革を成功させるには、首長や幹部職員による強力なリーダーシップとコミットメントが不可欠です。トップダウンで強いメッセージを発信し、一般職員まで含め、DXの基礎的な理解と実践への意識を醸成することが求められます。
また、行政サービスの利用者である住民の視点に立ち、彼らが本当に求めているサービスを設計していく「サービスデザイン思考」の共有も重要です。組織全体で共通の目標認識を持つことが、DX推進の最初の大きな一歩となるでしょう。
STEP1:全体方針の決定~自治体の特性に合わせたビジョンを描く
DX推進の方向性を定めるために、明確な全体方針を策定します。この方針は、目指すべき姿を示すビジョンと、そこに至るまでの道筋を示す工程表で構成されます。
総務省の手順書を参考にしつつも、大切なのは地域の実情を踏まえることです。それぞれの自治体が抱える課題や特性に合わせて、独自のDX推進ビジョンを描くことで、より実効性の高い計画となります。現在のデジタル化の進捗状況を把握し、これから取組むべき内容とその順序を大まかな工程表に落とし込みましょう。明確な方針を示すことで、組織内全体のベクトルを合わせ、DX推進の迷いをなくすことができます。
STEP2:推進体制の整備~担当部門の設置と、デジタル人材の育成
DXは特定の部署だけで進められるものではありません。全庁的かつ横断的な推進体制の構築が不可欠です。具体的には、DXの司令塔となるDX推進担当部門を設置し、各業務担当部門と緊密に連携できる体制を築く必要があります。そして、それぞれの部門の役割に見合ったデジタル人材の配置を進めるため、人材育成や外部人材の活用を積極的に行うべきです。
一般職員も含め、職位に応じたデジタル技術の知識や能力を体系的に育成することも重要です。OJTやOFF-JTによる研修を組み合わせるだけでなく、人事運用上の取組みも並行して進めることで、組織全体のデジタルスキル底上げが期待できます。
STEP3:DXの取組みの実行~OODAループで迅速に進める
体制が整ったら、いよいよ個別のDXの取組みを計画的に実行に移します。総務省の関連ガイドラインなどを参考にしながら、具体的な施策を進めていきましょう。進捗管理には、おなじみの「PDCA」サイクル(Plan:計画、Do:実行、Check:評価、Act:改善)を活用し、継続的な改善を図ることが重要です。しかし、変化のスピードが速いDX推進においては、PDCAだけでは対応しきれない場面もあります。
そこで推奨されるのが、「OODA(ウーダ)」のフレームワークを活用した柔軟で迅速な意思決定です。OODAとは、

- Observe(観察、情報収集)
- Orient(状況、方向性判断)
- Decide(意思決定)
- Act(行動、実行)
の頭文字をつないだ言葉で、意思決定プロセスを理論化したものです。状況を素早く認識し、柔軟に判断し、迅速に行動することで、変化に対応しながら効果的にDXを推進していくことができるでしょう。
持続可能なDXに必要な3つの要素~人材・体制・予算
自治体DXを推進するには、人材・体制・予算の3つの要素が欠かせません。これらが相互に連携しながら適切に機能することで、持続的なDXが実現します。
1.DX推進の要となる人材の確保と育成
DXの成功には適切な人材が不可欠であり、その人材は高度専門人材・DX推進リーダー・一般行政職員の3類型に分けられます。特に、デジタルと行政をつなぐDX推進リーダーは重要です。体系的な研修や外部人材の活用で、全職員のデジタルスキル底上げと適材配置を目指しましょう。
2.首長が牽引する推進体制の整備
前述の通り、DX推進には首長の強力なリーダーシップのもと、組織横断的な体制整備が必須です。DX推進担当部門を司令塔に各部門と連携し、一貫した取組みを進めます。組織文化の変革に加え、広域・官民連携も重要です。
3.予算の確保と効果的な活用
適切な予算確保と効率的な活用にあたって、一般財源に加え、令和7年度までの特別交付税も活用可能です。コスト削減のため、既存システムの応用やローコード・ノーコードツールによる内製化、複数自治体での共同調達も検討しましょう。
行政(官公庁・自治体)向けサービス
自治体DXの推進は、一朝一夕に成し遂げられるものではありません。職員一人ひとりのデジタル人材化をはかり、ねばり強く組織改革を行うことが必要です。
インソースでは、DX推進の要となる人材育成をはじめ、組織全体の推進体制構築、そして持続可能なDXを実現するための戦略的なコンサルティングまで、幅広いサービスを提供しています。デジタル社会の実現に向けたDX推進を支援します。
セットでおすすめの研修・サービス
行政(自治体・地方公共団体)の人事業務を助けるLeaf
自治体の人事業務を支援するシステムやサービスです。すべてLGWAN対応で、DXの推進を応援します。
- Leaf LGWAN Learning:自組織のコンテンツを載せ放題・見放題のeラーニングを実施できます
- ストレスチェック支援サービス:名簿提出のみで、受検から分析まで行うことができます
- Leaf LGWAN Eva:100種類以上のテンプレートから評価シートを選び、人事評価を手軽にペーパーレス化できます
官公庁・自治体向けDX研修ラインナップ
官公庁・自治体向けのDX教育として、DXの基本を理解する研修をはじめ、プロジェクトマネジメントや外部のシステム会社への開発の委託・管理に関する内容など、幅広い研修・サービスを開発しています。
EBPM実現のためにDX推進で業務フローを見直すプラン
現場の最前線で実質的な業務を進行している若手・中堅・リーダー層を対象に、EBPMに基づいた政策立案と、その政策成果を最大化するための業務フローの再設計(BPR)をはかるプランです。適切な課題設定と業務自動化のためのDX推進を検討します。
問題解決の基本プロセスをはじめ、EBPMのためのビックデータの利活用やAIによる有効な情報の抽出・分析を通じて、限られた資源・予算の中で政策効果を最大化するノウハウを習得します。





