インソース マーケティング&デザイン室

今あらためて知っておきたい「DXとは何か?」~企業価値を高める6つの評価項目と対応策

DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉は、すでに多くの企業で語られ、取り組みも進んでいるように見えます。

しかしその一方で、「結局DXとは何なのか」「なぜDXをやるのか」「自社にとって何が必要なのか」といった根本的な疑問を理解できているでしょうか。本記事では、今あらためて知っておきたいDXの基本的な定義と目的、人材育成の重要性、そして企業が取り組む際の具体的な入り口について、実践的な視点から整理・解説します。

単なるIT導入ではない、企業価値向上のための経営改革

DX(デジタルトランスフォーメーション)とは、デジタル技術を活用して、企業のビジネスモデルや業務プロセスを根本的に変革し、企業価値を高める取り組みです。ここで重要なのは、「単なるIT導入」ではなく、「経営改革」であるという点です。

たとえば、紙ベースで行っていた業務をデジタル化するだけでは、DXとは言えません。DXの本質は、デジタル技術を活用して、業務の効率化だけでなく、新しい価値の創出や顧客体験の向上、収益構造の変革を実現することにあります。

国もこの動きを支援しており、例えば経済産業省は「DX銘柄」の選出などを通じて、DXに積極的な企業を評価・支援しています。こうした制度は、企業がDXに取り組む際の指針となるだけでなく、社内外へのメッセージとしても機能します。

DXは企業の未来をつくる戦略的な取り組み

企業がDXに取り組む目的は、大きく以下のように分類できます。

  • 収益向上・利益拡大:新しいサービスやビジネスモデルの創出による売上増加
  • 業務効率化・コスト削減:AI等による業務自動化、人的リソースの最適化
  • 競争力強化:市場の変化に迅速に対応できる柔軟な組織づくり
  • 顧客満足度の向上:デジタル技術によるパーソナライズされたサービス提供
  • 人材の活性化:従業員のスキルアップとキャリア形成支援

目的は企業によって異なりますが、共通しているのは「変化に強い企業体質をつくること」です。DXは、単なる技術導入ではなく、企業の未来を形づくる戦略的な取り組みであると言えます。

国が示す6つのDX人材育成テーマ

前述の「DX銘柄」では<デジタル人材の育成・確保>として6つの評価項目が設けられています。

  1. デジタルスキルの可視化
    まず必要なのは、社員一人ひとりのスキルレベルを把握することです。現状のスキルが分からなければ、育成の方向性も定まりません。可視化の方法としては、アセスメントツールを活用する方法があります。デジタル技術やデータ活用のリテラシーだけでなく、変革へのマインド・スタンスも重要です。
  2. 役員・管理職の積極的な関与
    DXは現場だけで進めるものではなく、経営層の理解と支援が不可欠です。特に、意思決定層がDXの必要性を理解し、推進の旗振り役となることで、社内の取り組みが加速します。管理職層には、マインドセットの変革と、部門横断的な推進力が求められます。
  3. リスキリング・リカレント教育の仕組み構築
    変化の激しい時代において、社員が継続的に学び続ける仕組みが必要です。単発の研修ではなく、体系的な教育プログラムや、職種別・階層別の学習ロードマップの整備が効果的です。特に、全社員を対象としたDX基礎教育は、組織全体の底上げにつながります。
  4. DX人材像の明確化
    どのような人材がDXを支えるのかを明確にすることも重要です。たとえば、「業務改善を自ら提案できる人材」「データを活用して意思決定できる人材」など、企業の目的に応じた人材像を定義することで、育成の方向性が具体化します。
  5. スキルの証明と的確な人材配置
    育成した人材を適切な部署やプロジェクトに配置することで、DXの成果が実現されます。そのためには、スキルの証明(資格、評価結果など)と、配置の判断基準の整備が必要です。人材配置は、単なる人事異動ではなく、戦略的な意思決定です。
  6. 自律的なキャリア形成の支援
    社員が自らのキャリアを主体的に考え、DXに関わるスキルを磨いていくための支援も欠かせません。評価制度やキャリアパスの提示、社内公募制度などを通じて、社員の自律性を高めることが求められます。

実践に向けた対応策:企業が取り組むべきステップ

これら6つのテーマを実践するためには、以下のようなステップが有効です。

  1. 現状把握と課題の明確化
    まずは、社内のDX推進状況と人材のスキルレベルを把握します。アセスメントツールやヒアリングを通じて、課題を可視化することが第一歩です。
  2. 育成対象者の選定
    全社員を対象にするのか、選抜者に絞るのかを判断します。選抜者を選定する際は、定量評価(スキル診断)と定性評価(意欲や適性)の両面からのアプローチが有効です。
  3. 育成プログラムの設計
    目的に応じた研修体系を設計します。たとえば、以下のような分類が考えられます:
    • 基礎研修(DXリテラシー、IT基礎、生成AI活用)
    • 応用研修(業務改善、データ分析・活用、デザイン思考、企画構想、プロジェクト管理)
    • 管理職向け研修(DX戦略立案、事業推進、組織マネジメント)
    • キャリア支援(社内資格、キャリアパス設計)
  4. 実施とフォローアップ
    研修の実施後は、フォローアップが重要です。実務への適用を支援する仕組みを整え、疑問に答える体制をつくることで、学びが定着します。ヘルプデスクや社内相談窓口の設置、定期的なフォローアップセッションの実施など、継続的な支援体制が効果的です。

DX推進の3つのアプローチ方法

DXに取り組む際、企業の状況や目的に応じて、以下のようなアプローチが考えられます。

トップダウン型:経営層主導の変革

経営層が新規事業創出や業績向上を目的にDXを推進するケースです。意思決定のスピードや予算の確保がしやすく、大規模な変革に適しています。特に、既存のビジネスモデルを抜本的に見直す場合には、トップダウン型が有効です。

ボトムアップ型:現場主導の業務改善

現場部門が業務効率化や自動化を目的にDXを進めるケースです。RPAやExcelマクロなどのツールを活用した業務改善は、現場主導でも成果を出しやすい領域です。現場の課題感を起点にすることで、実務に即した改善が可能になります。

スモールスタート:小さな成功から全社展開へ

一部の対象者や選抜者から始め、社内に刺激やコミュニケーションを生み出すことで、全社的な推進へとつなげることも有効な手法です。たとえば、全新入社員にDX研修を受講させ、習得したスキルを現場の業務改善に使用させることで、社内にDXを浸透させ、全社的な推進へと繋げることが可能となります。

このように企業の状況に応じてアプローチを選択することで、DXの定着と成果創出が加速します。

まとめ:DXは全社的な継続プロセスであり、未来への投資である

DXは、単なるツール導入や一度きりの研修で完結するものではありません。むしろ、それはスタート地点に過ぎず、継続的な学びと実践を通じて、企業文化として根付かせていくべき取り組みです。

また、DXは一部の担当者や専門部署だけが担うものではなく、企業全体で取り組むべき経営課題です。大企業であっても、現場の一人ひとりが自らの業務にデジタル技術を取り入れ、改善を積み重ねていくことで、組織全体の変革が実現されます。

DX推進を成功させるためのポイント

  • 目的の明確化:「なぜDXを行うのか」「何を実現したいのか」を明確にする
  • 経営戦略との連携:中期経営計画とDX戦略を連動させる
  • 対象者の選定:アセスメントと定性評価を組み合わせて選抜する
  • 継続的な支援体制:研修後の伴走支援やヘルプデスクの整備
  • 社内コミュニケーション:成功事例の共有と横展開による文化醸成
  • 全社的な取り組みとしての位置づけ:一部の担当者任せにせず、全社員が関与する体制づくり

これらを踏まえたうえで、企業の目的に合った人材育成と推進体制を整えることが、DX成功への近道となります。DXは、未来の競争力を育てるための「投資」であり、企業の持続的な成長を支える基盤です。

DX活用・推進研修

本研修では、DXを組織内で推進するための流れと、担当者としての役割や進め方について1日間で理解できるようになります。実際に理解したうえで、今後担当者としてどのように取り組めばよいかをイメージしやすいように、事例やワークを通じて学んでいただきます。

組織内における担当者としての役割や覚悟、プロジェクトとして推進するための手順などを丁寧に確認していきます。

研修のゴール

  • DXの基礎知識について学ぶ
  • 組織でDXを推進するための基本的な考え方を知る
  • DX推進におけるITプロジェクトの進め方を理解する

よくあるお悩み・ニーズ

  • DXについて組織内で説明する立場だが、理解がおぼつかない
  • DXを組織内で活用するときいてもイメージがわかないイメージがわかない
  • 組織内でDXを推進しようと考えているが、どのように進めたらよいかわからず困っている
  • DXを活用するという目標があるが、実現までのプロセスを知りたい

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セットでおすすめの研修・サービス

DXリテラシーアセスメント

DXリテラシーアセスメントは「デジタルスキル標準(DXリテラシー標準)」に準拠したサービスです。組織内人材のDXスキルを客観的に評価し、伸ばすべき領域を可視化します。

DX推進に必要な人材育成の第一歩にお役立てください。

>サービスの詳細はこちら

組織のDXを推進するために社内人材を育成する支援プラン

DX推進に向けた体制づくりから、「全社員へのDX知識付与」「既存業務を整理するDX推進人材の育成」「AIを活用できるスペシャリストの育成」までを長期的に支援します。

人数・ご予算に応じて、最適な方法・コストになるようプラン内容をご提案いたします。

>コア・ソリューソンプランの詳細はこちら

(若手向け)DX入門研修~ChatGPTに触れ、業務効率化のマインドを獲得する

本研修では、ChatGPTを用いて、文章要約やプログラミングを体感することで、若手社員の情報感度を高め、業務効率化のマインドを獲得していただきます。

また、身近なデジタル技術に目を向ける機会を設け、データを活用したビジネスモデルの強みを学びます。今後社内で活躍できる人材になるために、DXを理解し、デジタル技術を活用できることを目指していただきます。

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