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現場の若手指導に悩むベテランへ~「安全を守る厳しさ」と「人を育てる関わり方」を両立するには

「安全を守るために厳しく言ったのに、若手に引かれてしまった」そんな経験はないでしょうか?

建設業界では、ベテラン社員が安全と品質を守る「最後の砦」です。しかし近年、「叱るとパワハラと言われそう」「若手が何を考えているのか分からない」といった戸惑いの声が増えています。一方で、若手も「丁寧に教えてもらいたい」「理由を理解して動きたい」と感じており、そこには「世代間のすれ違い」が潜んでいます。

本記事では、現場の安全を守りつつ、若手の成長を後押しする「これからの部下指導」の考え方と実践のポイントを紹介します。

世代間ギャップが「安全意識」にも影響する

現場事故の多くは、ちょっとした油断や声かけ不足から起こります。ベテランにとっては「当たり前」の確認も、若手には「なぜ必要なのか」が伝わっていないことがあります。その背景には、仕事観の違いがあります。

  • ベテラン世代:「失敗して覚える」「現場で鍛えられる」
  • 若手世代:「丁寧に教わりたい」「理由を理解して納得したい」

どちらが正しいかではなく、「考え方が違う」というだけのこと。だからこそ、相手の価値観に合わせた「伝わる指導」が求められます。

厳しさとは「成長を願う優しさ」

安全のために厳しく指導することは必要なこと。厳しさとは、相手の成長を願う気持ちの裏返しです。しかし、伝え方を誤ればパワハラと受け取られてしまうことがあります。感情的な叱責ではなく、相手を育てる厳しさに変えることが大切です。

安全を守るために必要な厳しさを保ちながら、相手の立場を理解し、伝え方を工夫することが、これからの時代の「部下指導」に求められています。

「厳しさ」と「叱る」は違う~伝わる指導の3原則

1.行動と結果をセットで伝える

「ちゃんとやれ」「危ないだろう」ではなく、「この手順を省くと、事故につながる恐れがある」このように、行動とリスクを具体的に結びつけることで、若手が「なぜそうするのか」を理解できます。

2.感情を整理してから伝える

その場の怒りで言葉を発すると、受け取る側は防御的になります。一呼吸おいて「怒る」ではなく「伝える」意識を持つことで、信頼が生まれます。

3.成長のサインを見逃さず、褒めて伸ばす

「できていない点」ばかりに注目せず、「昨日より声が出ていたね」「確認が早くなったね」など小さな進歩を認めることで、若手のモチベーションが持続します。

若手は「自由」より「安心できる枠組み」で育つ

最近では、若手の自主性を尊重するあまり、「好きにやってみろ」と任せすぎてしまうケースも見られます。

しかし、若手にとっては、明確なルールや基準がある方が安心して行動できることもあります。特に安全に関わる業務では、「自由」よりも、「ここまでなら任せても大丈夫」という安心の枠組みがある方が動きやすいのです。ルールを押し付けるのではなく、「安全を守るための約束」として共有することが、成長を支える土台になります。

まとめ:指導は一方通行ではなく「対話」から生まれる

若手が自分の考えを話しやすい雰囲気をつくることも、信頼関係の第一歩です。

「なぜその方法を選んだの?」
「どうすればやりやすいと思う?」

このように問いかけることで、若手は「自分で考える習慣」を身につけ、同時に安全意識も高まります。「怒られるからやる」ではなく、「納得して行動する」状態を目指しましょう。

部下指導アップデート研修~若手部下との距離感をつかむ

「最近の若手は何を考えているかわからない」と感じているベテラン世代に、「叱る」か「甘やかす」かの二択ではなく、「ちょうどよい距離感」を探っていただけるプログラムです。

若手がやる気を出すポイントや距離感の取り方を学び、

  • 若手がつまずきやすい仕事を想定し、実践のコツをあいまいな表現をなくして伝える
  • つい言ってしまいそうな表現をプラスに言い換える練習をする

といったワークの実践を通じて、日々の安全指導や関わり方をアップデートします。

よくあるニーズ・お悩み

  • 管理職が新人の考え方や行動の特性をつかめておらず、指導に課題を抱えている
  • 上司側と新人・若手側の世代間ギャップが大きく、育成がうまくいっていない
  • 上司側がハラスメントを恐れ、指導にストレスを感じていて必要な指導ができていない

本研修の目標

  • 今の若手の考え方・気持ちを理解する
  • 部下への仕事の任せ方を知る
  • 仕事の指示を明確に言語化するポイントを学ぶ
  • 部下とのコミュニケーションの取り方を具体的に学ぶ

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セットでおすすめの研修・サービス

逆張りの部下指導研修~ルールと制約で部下の成長を促す(1日間)

人の成熟度には個人差があり、未成熟な段階で自由度の高い環境に置かれても人は成長できません。建設現場でいきなり「自由にやってみろ」と言われても若手は動けず、かえって事故や手戻りのリスクが増す可能性もあります。

本研修では、あえてルールや制約を与えることが若手の安心感につながり、成長にプラスになるという視点を学びます。

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建設業界向け若手社員研修~仕事の進め方編(1.5日間)

上司や先輩、協力業者にいる年上の職人とのコミュニケーションが難しいと感じている若手向けのプログラムです。

「忙しそうな先輩に、CAD設計図を確認してもらいたい」「ベテランの左官職人に現場入り時間の変更を依頼する」といった建設現場や現場事務所でよくあるリアルなケーススタディを通して、適切な報連相などのコミュニケーションや、組織外のステークホルダーとの信頼関係の築き方を学びます。

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【VRで体験】JOLLYGOOD+

建設現場の高所作業やフォークリフト操作、外装・内装作業など、座学では再現の難しい場面を、VRゴーグルをかけるだけでリアルに体験学習していただけます。

難しい現場特有のスキルも、講師の力量に頼ることなく誰でも均一なレベルで提供可能です。危険が伴い、指導が厳しくなりがちな現場作業のOJTも、完全デジタル化することで、安全かつ指導担当者の心理的負担の軽減につながります。

>JOLLYGOOD+の詳細はこちら

AIが企業独自のケーススタディを生成し、現場での事故を未然に防ぐプラットフォーム「AI-OJT」

本プロダクトは、企業が保有する事故報告書などの社内文書を活用し、企業独自のケーススタディを生成することができるプラットフォームです。

フォーマットを問わず各社独自の文書に対応可能で、短時間で教育に活用できる教材を自動生成できる点が特長です。複合的な原因分析を含む実践的なケーススタディを生成することで、事故や不祥事の未然防止をご支援いたします。後半の要素が引きが良さそうなので、厳しさと叱るを合体させての記載はどうでしょうか?

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