OJTの仕事はまず業務プロセスの整理から~未経験者早期活躍のための仕事の見える化3ステップ
初めて若手社員や未経験者のOJT担当を任されると、「何をどう教えればよいか分からない」と、戸惑いや不安を感じることがあります。こうした不安を減らし、スムーズにOJTを進めるためには、教える仕事そのものを可視化することが非常に有効です。
本コラムでは、OJT担当者が押さえるべき「仕事のプロセスの見える化」の方法を解説します。
OJTで押さえたい「仕事の見える化」とは
OJTにおける「仕事の見える化」とは、仕事を工程・作業・動作に分解し、誰が見ても理解できる形に整理することです。教えられる側は、仕事の手順やコツが言語化されることで、「どこで何を確認すればよいか」が具体的に分かるようになります。
OJTで仕事の見える化が必要な理由
社会人経験がまだ浅い人や、業務未経験者は、仕事の流れや判断基準がつかみにくく、経験者が当たり前に行っている作業が理解できないことがあります。そこで、仕事の手順や基準をあらかじめ整理し、見える形にして共有することで、指導の抜け漏れを防ぎ、安心して学べる環境をつくることができます。
- 暗黙知を減らす:経験者だけが知っているやり方を明文化できる
- 指示が明確になる:教えるべきポイントと確認タイミングが整理される
- 評価基準を統一できる:何をもって「できた」と判断するかが新人と共有できる
仕事のプロセスを整理する3つのステップ
ステップ1.仕事を工程・作業・動作に分解する
教える仕事をそのまま説明しようとすると、どうしても抜け漏れが出たり、うまく伝わらなかったりしがちです。そこで、仕事を工程・作業・動作のように段階的に分けて整理すると、教えられる側がイメージしやすく、担当者自身も指導ポイントをつかみやすくなります。まずは大枠から細部へと順番に分解していくことが効果的です。
- 工程:資料作成、データ集計、報告など大きな区切り
- 作業:工程内のまとまった作業単位
- 動作:作業を行う具体的な動き(クリック操作やファイル整理など)
この分解により、仕事の全体像と細部の両方を理解しやすくなります。
ステップ2.仕事をチェックリストやマニュアルに落とし込む
仕事の流れを分解したら、それを業務未経験者でも実際に使える形にまとめておくことが大切です。チェックリストや簡易マニュアルとして整理しておくことで、初めてその仕事に取り組む人でも自分の進捗を確認しやすくなり、OJT担当者も教え忘れや確認漏れを防ぎやすくなります。現場の業務に合わせて、必要な項目をシンプルにまとめることがポイントです。
- チェックリストでステップごとに進捗を確認できる形式に整理
- 合格ラインを明示し、どこまでできれば次に進めるかを示す
ステップ3.仕事の基準を言語化して新人と共有する
特に、社会人経験の浅い新人は「どこまでできれば合格なのか」が分からないまま作業を進めがちで、意図せず品質のばらつきが出てしまいます。例えば、資料作成で「丁寧に」とだけ伝えたところ、新人が一文字ずつ確認して極端に時間がかかった、という声もよく聞かれました。あらかじめ基準を言語化して共有しておくことで、迷いや手戻りを減らすことができます。
- なぜこの手順が必要か
- どの部分が重要か
- どの状態が「基準に合っている」か
言語化して説明することで、新人の理解が深まり、OJTの指導もスムーズになります。
OJT担当者が抱え込まない工夫
OJTは一人で抱え込むと負担が大きくなります。仕事を見える化し、品質基準を明確にすることで新人の育成の進捗をチームで共有したり、サポートを依頼したりすることがしやすくなります。OJTを担当者個人が抱え込むのではなく、チーム全体で無理なく進められることが、結果的に新人の育成につながるのです。
経験ゼロから育てるOJT研修~伴走型マネジメントで「できる」を広げる(1日間)
初めてOJT担当になった方でも実践しやすい「仕事の見える化」や指示・フィードバック方法を体系的に学ぶなら、伴走型OJTマネジメント研修がおすすめです。実務で使えるノウハウを習得したい方に最適です。
よくあるお悩み・ニーズ
- 部下・後輩が仕事のコツをなかなか掴めない
- 未経験者にも着任直後から業務を担ってほしい
- 伴走型の細やかな指導を効果的に実施したい
本研修の目標
- 業務未経験の若手の不安や特徴を理解する
- 教えたい仕事のプロセスを分解し、言語化できるようになる
- 指示やフィードバックの手法を身につける
対象者
- 若手社員のOJTを担当することになった方
- 工程や注意点が多い仕事を教えている方
セットでおすすめの研修・サービス
部下指導アップデート研修~若手部下との距離感をつかむ
本研修は、これまでのやり方を変えられない、変えたくないと思っている管理職や指導をする方に向けて今の若手の価値観や行動の傾向と指導方法を伝える研修です。
悩みの多い指導者側の気持ちを軽くしつつ、部下へ任せる仕事を変える、コミュニケーションの仕方を変えるなど、ワークを通じてなにを変えるとよいのか、実践的な指導方法を学びます。
メンター研修~メンティのよき相談相手となる
新入社員や後輩のよき相談相手となるべく、メンターとしての役割や心構えを認識し、必要なコミュニケーションスキルを習得していただきます。
メンターに任命された方は、その責務を果たそうと頑張りますが、メンタリングに正解はないため、難しさや不安を覚える方は少なくありません。メンターが安心してメンタリングに取り組めるように作成された研修です。
生産性向上研修~仕事の見える化でムダなく成果につなげる
働き方改革時代に最適な効率がよい仕事術を学び、生産性向上をめざす研修です。「ムダ」をなくす分析方法、「見える」仕事の流れをつくる管理方法といった、組織の一員として生産性を高めるためのポイントを学びます。
自分の仕事の流れを書き出し、「見える」ようにして管理することは、業務状況の把握、問題点の洗い出しを容易にします。本研修では、自分の業務状況を他者に「見える」ようにする「マイかんばん方式」を学ぶことで、仕事の受け渡しを円滑にします。





