株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

マネージャーとして仕事をスタートさせる~さまざまな確認|新任マネージャーの方法論4

新任マネージャーとして着任した場合、まず、さまざまな確認を実施する必要があります。確認する際は、自分の中の常識と、現場の仕事の仕方や常識を、すり合わせていくようにしています。

  1. 社内ルールやマニュアルを確認する
  2. 業務フローを確認する
  3. 仕事の深さを確認する

1.社内ルールやマニュアルを確認する~ルール軽視はヤバい

重大なトラブルは、決まって「ルールを守らなかった時」に起きます。現場では無意識に社内ルールやマニュアルを逸脱していることがよくあります。合理的な理由がある場合もあれば、作業を楽にするために、どこかのタイミングで逸脱が発生し、それがずっと現場の常識になり、逸脱していることが、わからなくなっている場合もあります。

  1. 社内ルールやマニュアルをマネージャー自身がしっかり読む
    現場ヒアリングで納得しない。根拠やエビデンスを確認します。
  2. 過去事例を学ぶ
    過去の事故事例からルールができた理由などを確認します。
  3. 正当な理由でルールの逸脱があれば「新ルール」に変更する
    ルール逸脱を発見したら、まずは話を聞き、それが妥当であると判断したら、関係部署と協議し、マネージャーが責任を持ってルールを変更すべきです。

2.業務フローを確認する~生産性向上のために確認する

着任した際、現場は何かバタバタしているなと感じる場合、業務改善の余地がどこかにあるということです。本来あるべき業務の流れになっていないのではないかと考え、チェックしていきます。

①まずは、チームの仕事量を確認する

自らの常識や残業時間などをチェックし、人数の割に仕事量が多い場合、最優先でカイゼンを検討します。仕事量が少ない場合は新しくすべき業務を検討します。

②業務フローを確認する

仕事のやり方に違和感がないか確認。私が感じる違和感は、以下の通りです。これらの課題を取り除く事で業務は大幅に効率化します。

  • 大勢の人が一心不乱に同じ事務や作業をやっている場合
  • 業務の繁閑が発生しており、「手待ち時間」がどこかにある場合
  • 書類などが何度も同じ人を通過している場合

③時間管理の仕方を確認する

各メンバーの1週間の仕事時間割を30マスに書いてもらい確認する。全員一緒に仕事をすれば、はかどる業務は多く、めいめいが自己の裁量で業務を行って良い時間と、一緒に仕事をすべき時間を、後日、決める元データとする。

④スキル状況を確認する

各メンバーの知識・スキル状況を確認します。生産性の低い現場は「忙しくて教育なんてやっている暇がない」事が多いので、今後スキルの低いメンバーに対し、教育時間を確保していけば、生産性は向上します。

⑤デジタル化の可能性を確認する~生成AIやoffice365等活用状況確認

私が元SEだからというのもありますが、生成AIや既存のoffice365やGoogleWorkplaceなどを、うまくつかえば大きな業務削減ができます。現場での活用状況をいちいちチェックします。

インソースでは煩雑な健康診断事務を簡単なPythonのプログラムとoffice365のforms機能を組み合わせて大幅に削減したり、給与計算事務のチェックを生成AIにやらせたりしています。これらは数時間程度学べば、開発できるものです。

以上の様な観点で現場業務をチェックします。

3.仕事の深さを確認する~職場がタコつぼ化していないか?

マネージャーとして着任した時、チームで協力して仕事をしているか、めいめいがタコつぼ化した一人業務を、ちくちくやっている状態かチェックします。各メンバーが自分だけの仕事に没頭し、タコつぼ化していれば業務の幅が広がらず、生産性向上は難しくないります。

加えて、タコつぼ化した業務の担当者は、余人に代えがたく、異動や昇進のチャンスが奪われたままになります。Job制が普及しつつあるこの時代、仕事の幅が広がらなければ、まず昇進はありません。前任者がマネジメント努力を怠ったからの現状ですが、新任マネージャーが覚悟を決めてタコつぼ改善をすべきです。

確認した後は改善に邁進

まずルールを守ること、時間管理方法を変えること、仕事の幅を広げること――どれも派手ではないかもしれませんが、これらを徹底することでリーダーとチームは必ずハッピーになります。業務を一つひとつ丁寧に見直し、マネージャーが一緒になって業務改善していくことで、チームの仕事の質は確実に向上します

関連する研修

業務フロー作成研修~業務の視覚化で、改善やリスク管理につなげる

業務の視覚化や標準化、業務フローの改善を行いたい方向けの研修です。

組織のタイムマネジメント研修~管理職の立場から組織の効率化を目指す

「30マス週間計画表」など時間管理の考え方と手法を習得するための研修です。

DX推進のための業務改革研修~デジタル活用の視点を持つ

現状の業務を見直し、ITやデジタルによる効率化で組織のDX推進を考える研修です。

はじめての業務自動化研修~生成AIとPythonで1日1時間を生みだす

生成AIとPythonを活用し、日常業務を自動化できるようになるための研修です。

<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。

新任マネージャーの方法論シリーズ

  1. 新しくマネージャーに着任した時はどうすればいいか|新任マネージャーの方法論1
  2. あらためて知っておくべきマネージャーの役割と行動の基本|新任マネージャーの方法論2
  3. マネージャーとして覚悟を決める|新任マネージャーの方法論3
  4. マネージャーとして仕事をスタートさせる~さまざまな確認|新任マネージャーの方法論4
  5. チームのベクトルをそろえる~8つのステップ|新任マネージャーの方法論5
  6. マネージャーとしての上手な話し方・説明の仕方|新任マネージャーの方法論6
  7. マネージャーは「堂々している」と見られるべきか|新任マネージャーの方法論7

関連研修シリーズ