株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

マネージャーは「堂々している」と見られるべきか|新任マネージャーの方法論7

「私は『堂々とした振る舞い』をするのが得意ではありません。堂々と振る舞う練習方法を教えていただきたいです」というご相談をいただきました。実は私もずっと同じ事で悩んでいます。大勢の人がいるパーティや、大勢の部下との宴会では堂々と振る舞えず、いつも居心地の悪い思いをしています。また、小さな会社の社長なので営業で動き回る事も多く、「なんか軽く見られているな」と感じる事はよくあります。でも、もうあまり気にしていません。

覚悟を持って真剣に仕事をしていれば「堂々」と見える

すべてのビジネスパーソン共通で大事な仕事は、「目の前の仕事をやっつける」ことです。このやっつける場面では、堂々と見えなければなりません。眼前の仕事が大事と強く自覚し、早く、確実に、徹底的に、やっつけようと考えれば、自然と迫力が出ます。要は誰もが真剣に仕事をしようとすれば、必ず「堂々」と見えます。それで十分なのではないでしょうか。

例えば、大きなトラブルがあった際、あなたが状況を冷静に観察、分析し、的確に指示を出し、「部下があなたに従い」、解決できた。日常がそんな状況であれば、私はあなたがマネージャーとして、業務の中で堂々とした振る舞いがしっかりできていると言っていいと思います。

加えて言えば、自分かわいさではなく、業績を上げ、部下と自分の生活を守る強い覚悟をマネージャーが持って日常業務をこなしていれば、間違いなく迫力が出ます。マネージャーの「堂々」はそこから生まれます。

いますぐできる「堂々」対策~外見に「よろい」を着る

仕事は真剣にやっている、でも、いますぐできるアドバイスを聞きたいという方には、外見に「よろい」をつけて安心感を持ちつつ、堂々としているように見える以下の2つの方法をお勧めします。

1.服装を「堂々」と見える様にする

アウターはいわゆる「パワースーツ」にしましょう。奮発してオーダーメードにし、自分の好みは極力抑えて、優秀なスタイリストに色やデザインを決めてもらいましょう。その際、自分のいる業界、営業や交渉する方はその相手の業界などをしっかり伝えます。

私は20代後半から髪が薄くなり、ずっと外見はいまいちです。なので、以来30年以上、同じ店でスーツをオーダーし、このルールにのっとり服装をコントロールしています。

女性の場合は、カラーコーディネーターに自分に似合う色を調査してもらい、スーツもそれを前提に選んでもらうと良いと思います。百貨店などでカラーコーディネーターは紹介してくれるそうです。

2.話し方を変える~真剣な表情で、相手の目を見て、通る声で話す

20年以上前になりますが、ソフトバンクの孫正義会長兼社長との会合で、直接指示を仰ぐ機会がありました。その際、他社で軽輩の私の目をじっと見て、「これは、ぜひ君に頼みたい」と話すのです。冷静に考えれば、私は他社の人なんですが、圧せられて、簡単にその気になりました。

アイコンタクト、声、話し方は「堂々」の要素です。これは、鏡を見ながら何度も練習すれば必ず上達します。ちょっと心配なら、インソースのプレゼンテーション研修に参加してください。1日で学べます。

「パートタイム」マネージャーでいいんじゃないですか~常に堂々と振る舞う必要はない

とある世界的大企業の創業期に社員だった方に聞いた話ですが、その創業者の方はパーティ会場ではいつも隅の方でひとり目立たず佇んでいたそうです。この話を聞いて私は大変ほっとしました。大経営者でもこんな感じなのかと。

管理職や経営者はある組織の中での役割であって、その役割を果たすために最適なふるまいができれば良い訳、と私は思います。なので、どんな時も堂々と振る舞う必要は、ないんじゃないでしょうか。パートタイム「堂々」マネージャーで良いと思います。仕事の中、重要な場面で大きく見えれば。また、堂々と振る舞えないのであれば、逆に「可愛がられ」愛されるのではないかと思います。それはそれで良いのではと思います。

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<本記事の筆者>
株式会社インソース 代表取締役 執行役員社長
舟橋 孝之(ふなはし たかゆき)

1964年生まれ。神戸大学経営学部商学科卒業後、株式会社三和銀行(現・株式会社三菱UFJ銀行)に入行し、システム開発や新商品開発を担当。店頭公開流通業で新規事業開発を担当後、教育・研修のコンサルティング会社である株式会社インソースを2002年に設立。2016年に東証マザーズ市場に上場、2017年には東証第一部市場(現プライム市場)に市場変更。

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