プレイングマネージャーに必要な3つの転換~指示を減らし、任せて育てる技術
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「毎日がタスクで埋まり、部下を見る余裕がない」と感じていませんか?
プレイングマネージャーとして、現場の最前線で自らも成果を上げながら、部下の育成やチーム全体のマネジメントも求められる。多くの管理職がこの「二重のプレッシャー」に悩み、知らず知らずのうちに「偏ったリーダーシップ」に陥っています。
その典型が、「強権的リーダー」と「自己犠牲型リーダー」の2タイプです。
1.自分本位で引っ張る「強権的リーダー」
強権的リーダーは、「自分が成果を出さなければチームは終わる」という使命感から、「自分の正解を部下にも押し付けてしまう」タイプです。一見リーダーシップが強く、決断力があるように見えますが、実は部下の自発性を奪い、チームの成長を止めてしまう危険があります。
事例1:営業部長Aさんの場合
大手商社の営業部長Aさんは、トップセールスとして数々の実績を残してきた人物でした。しかしマネージャーになっても「自分のやり方が一番効率的」と信じ、商談の進め方からメール文面、資料の作り方まで細かく指示します。
「部下の時間は自分の延長」と考え、全員を自分の分身のように動かしました。短期的には成果を上げましたが、部下の思考は停止。やがて「指示がないと動けない」状態になり、半年後には若手2名が離職。チームは上司のスケジュール次第でしか動かない、属人的な組織になってしまいました。
事例2:製造業B課長の場合
ある製造業のB課長は、ミスを防ぐために全工程を自分でチェックしていました。「品質を守るのが自分の責任」という信念からでしたが、結果的に判断のボトルネックとなり、現場はB課長の承認待ちでストップすることもしばしば起こりました。生産性は低下し、納期遅延が増加、部下からは「信頼されていない」と不満が噴出しました。
このように、強権的リーダーはコントロールしようとする力が強すぎるため、部下が「自分で考える」「挑戦する」機会を奪ってしまいます。結果として、本人も部下も疲弊してしまうのです。
2.部下を守りすぎる「自己犠牲型リーダー」
一方で、部下思いが強すぎて自分を犠牲にするタイプもいます。「部下に無理をさせたくない」「自分が動けば早い」と考え、本来は部下に任せるべき業務を抱え込み、優しさがチームの停滞を生むケースです。
事例1:開発チームC課長の場合
IT企業のC課長は、若手メンバーの失敗を恐れ、「自分がカバーした方が早い」と考えていました。結果、夜遅くまで残業を重ね、納期をなんとか守る日々。しかしメンバーは「どうせ最後は課長がやってくれる」と受け身になり、C課長が体調を崩した瞬間、プロジェクトは停滞しました。「優しい上司」ではあっても、部下の成長機会を奪っていたのです。
事例2:人事部Dマネージャーの場合
ある企業のDマネージャーは、部下のミスを自分の責任としてすべて引き受けるタイプでした。「上に立つ者が矢面に立つべき」との信念でしたが、部下は「自分が責任を取らなくても大丈夫」という意識になり、報告・相談のタイミングも遅れがちに。結果的に小さなトラブルが大きな問題へと発展しました。
自己犠牲型リーダーは一見チーム思いですが、その優しさが結果として「依存を生む構造」を作ってしまうのです。
正しさがすれ違う理由~2タイプに共通する盲点
強権的リーダーも、自己犠牲型リーダーも、根底には共通して「チームのために」という思いがあります。しかし、その方向性が偏ることで、結果的にチームが動かなくなってしまいます。
これはリーダー個人の資質ではなく、「プレイングマネージャー」という構造的な矛盾が引き起こす課題でもあります。現場で成果を出すプレイヤーでありながら、チームを育てる管理者でもある。どちらに軸足を置くか迷い、極端に振れてしまうのです。
自走チームは「目的の共有」から生まれる~今日から変える3つの行動
チームと自分の両方の成果を両立できるプレイングマネージャーは、「任せ方」と「信頼の築き方」に共通点があります。プレイングマネージャーが変えるべき「3つの行動」は以下のとおりです。
- 目的の共有
仕事をただ指示するのではなく、「なぜこの仕事が必要なのか」「どうすれば最終的な目的を達成できるのか」といった判断の軸を部下と共有します。目的を共有することで、部下は自ら考えて行動できるようになり、上司が逐一指示しなくてもチームが回り始めます。 - 支援の立場で関わる
部下の仕事に過剰に介入せず、定期的な1対1ミーティングなどを通じて支援の立場で関わることも重要です。「見守る姿勢」を持ちつつ、必要なときにだけ手を差し伸べる。このスタイルが、部下の自立を促す土台になります。 - 業務状況を共有する
自分自身の業務負荷を「見える化」してチームと共有するのも有効です。上司が「ここは助けてほしい」「一緒に考えてほしい」とオープンに話すことで、部下も安心して相談できる雰囲気が生まれ、チームの信頼関係が強まります。
まとめ:リーダーが変われば、チームも変わる
プレイングマネージャーが「自分中心のマネジメント」から「支援と信頼のマネジメント」へと転換することで、チームは確実に変わります。リーダー自身が変化のきっかけとなることこそ、組織の成長を加速させる第一歩なのです。
プレイングマネージャー研修~時間・チーム・リスクをマネジメントし、走りながら成果を出す
プレイングマネージャーに求められる「タイムマネジメント」「チームマネジメント」「リスクマネジメント」を軸に、プレイングマネージャーが直面する課題の解消を目指します。
日々忙しいプレイングマネージャーのみなさまに、マネジメントの押さえどころを、時間管理や組織図作成などの実践演習を通して体得いただく研修です。
本研修のゴール
- 時間の使い方、仕事の任せ方を理解し、「とにかく忙しい!」を解消する
- メンバーとの関わり方やチームマネジメントのポイントを理解する
- ミス・トラブルを未然に防ぐ部下の仕事のチェックの仕方を学ぶ
よくあるお悩み・ニーズ
- プレイヤーとして忙しく、マネジメントに割く時間がない
- プレイングマネージャーとして、メンバーとどう関わればよいか分からない
- トラブルやミスへの対応がいつも後手になってしまう
セットでおすすめの研修・サービス
はじめてのリーダーシップ研修~仕事力とコミュニケーション力強化編
リーダーとしての心構えや実践すべき具体的な行動について考えていただきます。メンバーの自主性を引き出し、チームの活性化を図ることを目指していただきます。
<研修のポイント>
- 周囲から求められるリーダーとしての役割と心構え
- メンバーの仕事の管理方法~管理の基本PDCA
- チームを目標達成に導き、信頼関係をつくるコミュニケーションスキル
新任管理職研修~自信を持ってマネジメントを始める編(2日間)
本研修は、新任管理職としての仕事の始め方を具体的に知り、役割を遂行するために必要なスキルを習得し、3ヶ月後に大きな成果を発揮していただくための研修です。
- 新任管理職としてやるべきことが分かる。昇格した以上、優秀な管理職であると思われたいもの。管理職として求められていることを知り、研修を通じて役割を遂行するための行動、計画の立て方、準備の仕方が分かります。
- 新任管理職として防ぐべきことが分かる。新任管理職であっても業務上、トラブル、事故が発生すれば管理責任を問われます。リスク事項を知り、その上で、研修を通じて事前対策の立て方を学びます。








