
コロナ禍で思うような仕事ができなかったり、在宅勤務で適切な指導が受けられなかったりなど、仕事のモチベーションが上がらなかった人が多くいらっしゃいます。働く意欲の低下は離職の引き金となりやすいため、組織として早急な対策が必要です。
そこで今回は、自分を客観的に見直すことで成長を実感し、モチベーション向上につなげる「リフレクション」についてご紹介します。
これまでの仕事を振り返ることで課題を見つけ、今後何をしていくべきか、具体的な目標策定に役立てていただければ幸いです。
社会人教育の手法としてのリフレクション(reflection)とは、「日々の業務や職場から一旦離れ、これまでに行ってきた仕事を振り返り、内省すること」をいいます。ここでの"内省"とは、これまでの仕事における自分の言動を、感情に流されることなく客観的に振り返ることを意味します。
良かった点も悪かった点も、一定期間を置いてフラットな視点で見つめ直すことで新たな気づきを得られ、改善へとつなげることができます。
リフレクションを通じて、「上手くいかなかった時の自分」から、改善策を見出せるようになった「今の自分」に気づき、成長を実感することで、モチベーションがグッと上がります。これこそリフレクションを行う最大のメリットです。
振り返りのための手法としてよく知られているのが、「KPT法」のフレームワークです。
自身の現状や仕事について、
1.Keep(良い結果が出ている=続けること)と
2.Problem(問題と感じていること)を整理し、それを踏まえて
3.Try/Trial(課題解決のために今後どうするか)を考えていきます。
このフレームワークの良いところは、「Keepから考える仕組み」になっている点です。成長過程の新人や、新しいポジションに就いたばかりの人は、つい「失敗したこと」に目が行きがちです。
しかし、ネガティブな感情で振り返っても、自分や周りを責めるばかりで、前向きな改善策につながりません。
Keepから振り返ることで、自己肯定感を持ちながら客観的に課題を探り、ポジティブな行動へと変容できるようになります。
【新人のKPTの例~自身の仕事の取り組み方を振り返る】
配属されたばかりの新人には、初めて経験する仕事ばかりです。上手くいかず自己嫌悪に陥ったり、上司から叱られたりすることもあるでしょう。
しかし、それは誰もが通る道。若いうちは失敗を恐れず、それを乗り越えて成長できるようになってほしいものです。そこで、ミスした原因をそのままにしないよう、上司が部下のリフレクションを促していきましょう。
例えば、部下がKPT法を実践して感じたことを、1対1面談などで上司と話し合う機会をつくります。 前向きな改善策を共有したうえで、さらに継続的なリフレクションをすすめ、何度失敗してもいいから挑戦し続けるマインドを醸成することが大切です。また、定期的に「KPTミーティング」を開催するのもおすすめです。チーム全体の仕事の進め方が適正かを振り返ることで、個々人の仕事の取り組み方も変わります。
【新任管理職のKPTの例~チームの残業削減の取り組みを振り返る】
管理職には、「組織目標の達成」「部下の育成」という責任を果たすために、一般社員よりも強い権限が付与されます。そして、査定や異動といった人事権や業務分配、あるいは業務上の厳しい指導を通じて、部下のメンタル、生活、人生に大きな影響を与える立場となります。
そこで、管理職として相応しい行動が取れているか、以下4つの視点から振り返ってみるとよいでしょう。管理職が自身の「人間力」を高め、成長し続けることで、チームもさらに成長します。
▼管理職としての行動を振り返る4つの視点
(1)率先垂範できているか
(2)問題解決志向か
(3)確固たる判断基準があるか
(4)素直で謙虚か
新型コロナの感染拡大を契機に、完全リモート化に舵を切る組織もあれば、出社と在宅勤務を組み合わせた「ハイブリットワーク」を取り入れるなど、新しい勤務形態を模索する組織も多く見られました。職種や業界によって程度の差はあれ、今後コロナ禍が終息しても、リモートワークは多様な働き方の選択肢のひとつとして定着していくと見込まれます。
そこで、早いうちに組織を上げてリフレクションを行っておきたいテーマが、「リモートワークへの対応」です。在宅勤務者へのディレクションやセキュリティ面の課題、評価の仕方などを振り返っておけば、世の流れが更なる「リモート化の推進」に向かったとしても、組織として盤石の対策を打つことができます。
また、個人レベルでもリフレクションを行い、リモートワークで感じた不安があれば今のうちに解消しておきましょう。
「相手の様子が見えない状況で、どうコミュニケーションを取ればよいか分からない」
「在宅だとサボっているのではないかと思われている気がする」
といった不安は、以下の視点から振り返り、改善策を講じることで解消につながります。
▼リモートワークへの対応を振り返る視点
・オンラインツールを活用できているか(Web会議システムやチャットなど)
・自分の仕事を可視化できているか(1日の作業目標と達成度は数値で示す)
・上司への報告の回数は適切か(最低でも朝・昼・終了時の3回は必要) など
社会は「出した成果をセルフプロモーションし、組織に評価させる時代」へ移行しています。この変化を理解し、組織の中での動き方を変えていくことが重要です。
「今年は状況変化に対応するだけで精いっぱいだった」という思いをお持ちの方も多いと存じます。
新しい働き方に順応することに意識が向かいがちで、自分の業務姿勢が適切かどうか振り返る余裕などなかったかもしれません。
特に今年入社した新人や、新任管理職の中には、例年と比べ充分な研修機会もないまま、とりあえずここまでやってきたという方も少なからずいらっしゃいます。
ここはひとつ前向きな気持ちで、自分やチームが成長できたことはなかったかを振り返ってみませんか?
「思うように仕事ができていない」、「現状のやり方のままで大丈夫か?」
といった不安を持ったままにしないためにも、自分の置かれた立場や仕事の進め方を検証することが大事です。
良かったことも悪かったことも一旦棚卸して、更なる飛躍のきっかけを掴んでいきましょう!
<関連リンク>
【カリキュラム】若手社員向けビジネスマインド強化研修~主体性、業務・役割の領域拡大、自分で考える
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