後継者不足に悩む中小企業の事業承継~M&Aを含む第三者承継という解決策

日本の中小企業の多くが直面している大きな課題が後継者不足です。経営者の高齢化が進む一方で、親族や従業員の中に後継候補が見つからず、事業の存続に不安を抱える企業は少なくありません。
近年は、M&A(事業売却)など、第三者承継という新たな選択肢も広がっており、経営者が早めに準備を進めることが求められています。
本コラムでは、中小企業が事業承継を考える際に押さえておきたいポイントと具体的な取り組みを解説します。
中小企業における後継者不足の現状
中小企業庁の調査によれば、経営者の平均年齢は60歳を超えており、今後10年で大量の事業承継が発生すると見込まれています。しかし、親族や社内の従業員に承継を託せるケースは減少しており、結果として廃業に至る企業も少なくありません。地域経済や雇用にも影響が及ぶため、事業承継は一企業の問題にとどまらず、社会全体で解決すべきテーマとなっています。
事業承継の3つの選択肢
事業承継には大きく分けて、以下の3つの方法があります。
1. 親族内承継
従来、最も一般的だった方法です。経営理念や価値観を引き継ぎやすい一方、後継者の育成に時間を要することが課題です。
2. 社内承継
幹部社員や役員に経営を引き継ぐ形です。従業員に安心感を与えやすいメリットがありますが、資金調達や経営責任の面でハードルがあります。
3. 第三者承継(M&A含む)
親族や社内に後継候補がいない場合、外部の第三者に経営を委ねる方法です。M&Aによる事業売却は、経営資源を外部に引き継ぐことで企業の存続を可能にします。地域内の同業他社や成長を目指す企業が買い手となるケースも増えています。
事業承継を進めるための準備
事業承継は短期間で進められるものではありません。少なくとも5年程度の準備期間を見据え、段階的に取り組むことが重要です。
- 経営状況の「見える化」:財務状況や取引先、組織体制を整理し、後継者や買い手にとって分かりやすい形にする
- 後継者候補の育成:親族や従業員を後継者にする場合は、経営に必要な知識・経験を積む機会を早期に与える
- 外部専門家の活用:税理士や金融機関、M&A仲介会社などの専門家の知見を取り入れる
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後継者不足が深刻化する中、中小企業にとって事業承継は避けて通れない課題です。親族内承継だけでなく、M&Aを含む第三者承継といった多様な選択肢を理解し、早めに準備を進めることが企業の未来を守る第一歩となります。
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